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紀文食品 Research Memo(5):業績下方修正も、既に対策を講じている

*13:05JST 紀文食品 Research Memo(5):業績下方修正も、既に対策を講じている
■紀文食品<2933>の業績動向

3. 2026年3月期の業績予想
2026年3月期の業績予想について同社は、売上高111,164百万円(前期比2.1%増)、営業利益3,702百万円(同18.0%減)、経常利益2,956百万円(同29.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,543百万円(同40.4%減)と見込んでいる。第3四半期までの厳しい実績を考慮し、売上高で4,462百万円、営業利益で1,318百万円、経常利益で1,494百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で1,457百万円の下方修正となった。

国内食品事業では、ブランド力のある製品は価格改定のなかでも想定どおり売上高を確保したが、競争環境の厳しいその他のスリミ製品、惣菜商品は想定以上に販売数量を落とした。海外食品事業では、想定外のバーツ高でタイ工場の輸出競争力が低下した。この結果、期初予想売上高に対する進捗率が第3四半期累計で73.3%にとどまった。利益面では、国内食品事業で、夏場の天候不順により野菜や鶏卵など副原料、円安などにより資材の価格が想定を超えて上昇し、海外食品事業では、急速なバーツ高に伴う輸出競争力の低下、工場稼働率の低下、自社製品比率の下落など想定以上の影響が生じた。この結果、期初予想営業利益に対する進捗率が第3四半期累計で52.9%にとどまった。こうした業績を受け、第4四半期を含めて通期業績予想を引き下げることとなった。

こうした業績に対して同社は、第4四半期以降、特に2027年3月期へ向けて、既に様々な策を打ちはじめている。国内食品事業では、売上高を確保することで利益水準の回復を目指すこととし、春夏の商品が入れ替わるタイミングで、TVCMを使ってカニカマプレミアムを訴求するほか、チーちく(R)など高支持製品や健康志向の訴求を強める一方、競合対抗上の価格訴求力が不足している惣菜などは環境に合わせて低価格品を開発する。プロモーション例として、デパ地下大手中食業者と組んだ限定販売商品の提供や、「プロテインを手軽に摂取できる」というコンセプトのままロングライフ化と値ごろ価格へとバージョンアップした「SURIMI BAR」を訴求する。さらに、若者の練り製品に対する見方が変わってきた流れを捉え、プロテインやワンハンドといった製品の開発を強化する。海外食品事業では、回復の兆しが見える米国で品質訴求を強め、拡大中の中国では地方有力卸との直接取引を一層強化する。その他の地域は売上高の確保に向け、市場に合った価格帯での打ち出しと食シーンに合わせた惣菜などの新商品開発を推進する。バーツ高は落ち着きつつあるが、タイ工場の自働化や産地の多角化も検討する。



■中期経営計画

「総合食品グループ」への深化を目指す

1. 長期経営戦略
同社は、「革新と挑戦と夢」という経営理念に基づき、「世の中を“すこやかなおいしさ”で満たしつづける。」というミッションに向け、強みを武器に「日本の食の力でWell-beingな世界に貢献する食の総合グループ。」に進化するというビジョンの実現に取り組んでいる。このため、創業100周年を迎える2038年を目標に長期経営戦略を策定し、おいしさとともに健康に貢献する「総合食品グループ」、新たなおいしさと楽しさを創造する「開発型企業」、おいしさで世界の食文化に根付く「グローバルカンパニー」を目指している。こうした長期の目標に向け、人口減少が続く国内市場では、DXを推進するとともに、春夏秋冬の季節性に影響されず1年を通して様々な食シーンで喜ばれるアイテムや、健康・おいしさ・利便性の面で付加価値の高い商品・サービスを消費者へ届けることで、ブランド力をさらに向上する考えである。海外市場では、得意のタンパク加工技術を使ったアイテムで健康とおいしさを提案し、魚食を中心とした日本食材や食べ方など食文化とともに一層広めていく方針である。これにより、2038年度に売上高2,500億円、営業利益175億円(営業利益率7.0%)を目指す。また、長期目標を達成するため、バックキャストして5段階の3ヶ年中期経営計画を策定し、目標へ向けて着実に実績を積み上げていく考えである。


対策によって営業利益目標に近づける

2. 中期経営計画(2026)
長期経営戦略の第1段階として、同社は2024年5月に第1次中期経営計画(2026)を策定した。中期経営計画では「成長戦略の推進と新たな価値創造」「資本効率の改善」「経営基盤の整備」の3つの基本戦略を核に、既存領域の拡大を図る一方、温度帯を含め商材の幅を様々に広げることで新たな価値を創造する考えである。これにより、2027年3月期に売上高1,203億円、営業利益60億円を目指すことになった。また、KPIとして、海外売上高比率13%以上(2024年3月期11%)、自己資本比率30%以上(同26.4%)、ROE15%以上(同17.4%)、ROIC※10%以上(同8.1%)、営業キャッシュ・フロー年間50億円以上(同年間55.5億円)などを定めた。なお、売上高の成長は既存事業の着実な成長に加え新規事業領域への展開、海外売上高比率は新製品の投入と市場拡大、営業利益率は生産性の向上と業務の効率化、調達力の向上、自己資本比率とROEは利益志向への体質転換、ROICは営業利益の拡大と資本の効率化、営業キャッシュ・フローは利益の拡大と資産の効率化を進めることで目標達成を目指す。

※ ROIC=NOPAT(利息控除前税引後営業利益)÷投下資本(純有利子負債+純資産)

中期経営計画(2026)2年目の2026年3月期途中まで、「総合食品グループ」の実現に向けた子会社再編、工場再編の検討開始など、計画に沿って順調に推移してきた。しかし、2026年3月期は厳しい外部環境のなか基本戦略を着実に進めたものの、期中業績面でつまずいた格好となった。このため、中期経営計画(2026)最終年度2027年3月期の目標営業利益60億円の達成が危ぶまれたが、基本戦略や目標数値を変えず、前述した対策によってできるだけ60億円に近づける考えである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)



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