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J.フロントリテイリング:百貨店、SC、不動産の融合で価値創出、積極還元も実施

*10:32JST J.フロントリテイリング:百貨店、SC、不動産の融合で価値創出、積極還元も実施
J.フロントリテイリング<3086>は2007年、老舗百貨店の大丸と松坂屋ホールディングスの経営統合により誕生した日本を代表する小売グループである。現在は、百貨店事業に加え、パルコを軸としたショッピングセンター(SC)事業やリテールの店舗を中心としてエリアの価値を最大化させるデベロッパー事業、金融事業を一体運営するマルチサービスの提供を行い、独自のポジショニングを確立している。

同社の事業は4つのセグメントで構成される。百貨店事業は同社の売上高の約6割を占め中核事業となっている。大丸松坂屋百貨店やGINZA SIXを中心に、全国の主要都市の一等地に構える店舗資産と長年の信頼に立脚した外商が強みである。次に、SC事業はPARCOを展開し、若年層や特定のカルチャー層をターゲットにアニメやゲーム等のグローバルニッチなコンテンツ活用で競合との差別化を図っている。デベロッパー事業については、グループ保有不動産の開発・運営を担い、百貨店を都市再生の核と捉えた街づくりを推進している。直近では、名古屋・栄の複合開発「HAERA」などに取り組んでいる。最後に、決済・金融事業はカード事業を通じて顧客データを集約し、グループ内シナジーの最大化を図る役割を担っている。

事業環境については、コロナ禍からの脱却と円安を背景としたインバウンド需要が近年では強力な追い風となっていたが足元では一服している。また、直近の日中関係の悪化を受け、百貨店売上に対する影響は当面継続することが見込まれる。一方、日本政府は観光立国を重要テーマと掲げている。訪日外国人数は2025年に初めて4,000万人超となり、2030年の政府目標値は6,000万人であることから中長期的なポジティブトレンドが継続するだろう。また、国内経済が堅調であり、株式・不動産市況の上昇を受け、消費に対する資産効果が期待できる。富裕層における消費のみならず、こだわり消費、推し活など消費の活性化が期待される。


2026年2月期の連結業績予想は、売上収益は前期比2.3%増の4,520億円、事業利益は同9.3%減の485億円、親会社株主に帰属する当期利益は同37.2%減の260億円を見込む。直近の第3四半期累計期間では、百貨店事業における国内顧客の売上、またショッピングセンター(SC)事業が堅調に推移した一方、昨年度に大きく伸長した百貨店事業の免税売上高が大幅に減少した結果、増収減益となっている。尚、同社は2025年10月14日に今期業績予想を下方修正している。足下では、日中関係の悪化による影響など不透明要因はあるものの、国内市場が堅調なこともあり、今期の計画達成確度は高いと考える。


同社は変革期と位置付ける中期経営計画(FY2024-2026)を策定し、初年度の好調を受けて数値目標の上方修正を実施している。最終年度の事業利益目標は560億円へ、ROE8%以上などの定量目標を掲げ、資本効率を重視する姿勢を鮮明にしている。
今期業績予想において事業利益を485億円と見込むことから、最終年度の目標達成まで距離感があるものの、顧客、エリア、コンテンツを融合し、シナジー効果を創出するとの変革は順調に推移しており、次期中計以降におけるさらなる成長戦略が期待される。

同社は株主還元・配当政策については、継続的な増配、自己株式取得による自己資本額適正化を掲げている。今期については、配当性向40%以上に基づき増配するとし、前期比2円増の年間54円(予想配当利回り2.35%)としている。

投資の視点としては、名古屋再開発プロジェクト「HAERA」の稼働などに加え、富裕層市場の拡大やインバウンド強化などポジティブなトレンドが続くと見込む。足下の株価バリエーションはPBR1.41倍、予想配当利回り2.35%と過熱感はなく、中長期的な視点から投資を検討したい。


<KM>



 
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