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スカラ Research Memo(8):2028年6月期に営業利益11億円を目指す新中期経営計画を策定
2025/10/02 16:48
*16:48JST スカラ Research Memo(8):2028年6月期に営業利益11億円を目指す新中期経営計画を策定
■スカラ<4845>の今後の見通し
3. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要と業績目標
同社は2026年6月期からスタートする3ヶ年の中期経営計画を発表した。事業ポートフォリオマネジメントの強化を通じた主力事業の成長力強化を図りつつ、収益性や効率性を重視しながらさらなる利益成長を目指す方針だ。業績目標として、2028年6月期に売上収益11,800百万円、営業利益1,100百万円を掲げた。年平均成長率は売上収益で13.0%、営業利益(Non-GAAP)で25.2%となり、営業利益率(Non-GAAP)は2025年6月期の6.9%から2028年6月期は9.3%と右肩上がりの上昇を目指す。
全社戦略として、「グループの理念」及び「創業からの歴史」を踏まえ、5つの重要テーマ(新たな価値の創出、成長機会の提供、ベストマッチの実現・リスキリング促進、デジタルデバイドの解消、AI技術向上と倫理的利用の両立)を特定した。各事業会社で策定した事業戦略を推進することで、これら重要テーマへの対応を図る方針だ。
(2) 主要3事業の業績目標と事業戦略
a) DX事業
DX事業では、2028年6月期に売上収益6,340百万円、営業利益620百万円を目標に掲げた。年平均成長率は売上収益で11.2%となる。このうち、SaaS/ASP事業におけるMRRは、2025年6月の2億円から、3年後には2.5億円を目指す。年換算では約6億円の増収要因となり、増収分の約3分の1を占める計算だ。営業利益は2025年6月期の776百万円に対して低い水準となるが、Non-GAAPの営業利益586百万円に対しては若干上回る水準となる。既述のとおり2026年6月期の利益水準が先行投資により一時的に落ち込むためだが、2027年6月期以降の2年間だけで見ると23.0%成長となる。
事業戦略として、スカラコミュニケーションズでは主力サービスとなる「iシリーズ」のアップセルを意識した機能追加(音声連携、検索最適化、レポート機能強化)や導入支援モデルの体系化を推進する。また、医療・不動産・畜産など専門業界でのアライアンス型SaaS開発の継続拡充を推進するほか、業界別BPaaS※モデルを確立し事業領域の拡大を目指す。さらに、マーケティング能力の強化やAI人材の採用・育成、新規サービスの開発やエッグとの協業による「行政連携SaaS群」の商品化も推進する。
※ Business Process as a Serviceの略。特定の業務プロセスをクラウド上で提供するサービス。単に人手による業務代行ではなく、SaaSなどのクラウドプラットフォーム上で業務を遂行する点が特徴。顧客企業は自社でのシステム構築・運用や専門人材の確保といった負担を負うことなく、必要な業務プロセスをクラウドサービスとして利用できる。特に、バックオフィス業務で普及が進んでいる。
b) 人材事業
人材事業では、2028年6月期に売上収益1,930百万円、営業利益280百万円を目標に掲げた。年平均成長率は売上収益で24.1%、営業利益で23.7%となる。2027年6月期までは人材投資などを積極的に行い、その効果が2028年6月期に顕在化する計画となっている。
アスプラは、新規事業拠点を開設し、サービスエリアの拡大と人的リソースの拡充を図る。また、会員(就活生)獲得のため、コンテンツ拡充とWebマーケティングの強化も進めていく。さらに、人材紹介の成約率向上のための各種マニュアルの更新や社員教育だけでなく、社員の定着率向上を図るための人事制度の見直しなども進める。GeaREmakeでは、強みとなる紹介先企業の特定と、集客用のサービス開発に注力する。
c) TCG事業
TCG事業では、2028年6月期に売上収益3,260百万円、営業利益500百万円を目標に掲げた。年平均成長率は売上収益で12.7%、営業利益で23.7%となる。
事業戦略として、成長余地の大きい海外需要を取り込むため、動画広告展開などを積極的に推進する。また、発送業務に一部適用しているAI画像認識ソリューションの精度を高め、目視で行っている買取査定・真贋判定プロセスを自動化することで生産性の向上を図る。そのほか、卸売会社向けに自社開発した業務システムのSaaS展開にも取り組む。
d) インキュベーション事業
インキュベーション事業については業績目標を設定していないが、ソーシャル・エックスを通じて「ソーシャルXアクセラレーション」や「逆プロポ」といった共創案件を多く手掛けることで、DX事業の商機拡大につなげていく。同社は、M&A後のバリューアップ戦略として、グループリソースを最大限活用する共創体制を確立していく。なお、直近2期は凍結していた自社のM&A戦略も再始動する意向である。対象は、DX事業や人材事業でシナジーが見込める企業とし、1社当たりの投資額としては5~10億円を目安に、借入金なども活用しながら実施していく。
(3) 人的資本の取り組み
同社は、人が最大の財産かつ成長の原動力であり、価値創造の源泉であると認識している。中期経営計画を推進する経営基盤として、人材価値の最大化に取り組む方針だ。
人材戦略の最重要項目は「事業戦略に即した人事制度・人材育成」である。事業戦略に基づく人材ポートフォリオを充足するため、採用を強化すると同時に、社員の能力・スキルを可視化し、向上を図る。また、社員の能力スキルの向上につながる機会を創出し提供するほか、成果に適切に報いる「処遇・評価制度」の導入も進める予定である。
2025年6月期末の連結従業員数は408名だが、今後は年間40名前後の純増ペースで経営基盤の体制強化を図る計画である。会社別ではスカラコミュニケーションズ及びアスプラを中心に人員を増強する方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■スカラ<4845>の今後の見通し
3. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要と業績目標
同社は2026年6月期からスタートする3ヶ年の中期経営計画を発表した。事業ポートフォリオマネジメントの強化を通じた主力事業の成長力強化を図りつつ、収益性や効率性を重視しながらさらなる利益成長を目指す方針だ。業績目標として、2028年6月期に売上収益11,800百万円、営業利益1,100百万円を掲げた。年平均成長率は売上収益で13.0%、営業利益(Non-GAAP)で25.2%となり、営業利益率(Non-GAAP)は2025年6月期の6.9%から2028年6月期は9.3%と右肩上がりの上昇を目指す。
全社戦略として、「グループの理念」及び「創業からの歴史」を踏まえ、5つの重要テーマ(新たな価値の創出、成長機会の提供、ベストマッチの実現・リスキリング促進、デジタルデバイドの解消、AI技術向上と倫理的利用の両立)を特定した。各事業会社で策定した事業戦略を推進することで、これら重要テーマへの対応を図る方針だ。
(2) 主要3事業の業績目標と事業戦略
a) DX事業
DX事業では、2028年6月期に売上収益6,340百万円、営業利益620百万円を目標に掲げた。年平均成長率は売上収益で11.2%となる。このうち、SaaS/ASP事業におけるMRRは、2025年6月の2億円から、3年後には2.5億円を目指す。年換算では約6億円の増収要因となり、増収分の約3分の1を占める計算だ。営業利益は2025年6月期の776百万円に対して低い水準となるが、Non-GAAPの営業利益586百万円に対しては若干上回る水準となる。既述のとおり2026年6月期の利益水準が先行投資により一時的に落ち込むためだが、2027年6月期以降の2年間だけで見ると23.0%成長となる。
事業戦略として、スカラコミュニケーションズでは主力サービスとなる「iシリーズ」のアップセルを意識した機能追加(音声連携、検索最適化、レポート機能強化)や導入支援モデルの体系化を推進する。また、医療・不動産・畜産など専門業界でのアライアンス型SaaS開発の継続拡充を推進するほか、業界別BPaaS※モデルを確立し事業領域の拡大を目指す。さらに、マーケティング能力の強化やAI人材の採用・育成、新規サービスの開発やエッグとの協業による「行政連携SaaS群」の商品化も推進する。
※ Business Process as a Serviceの略。特定の業務プロセスをクラウド上で提供するサービス。単に人手による業務代行ではなく、SaaSなどのクラウドプラットフォーム上で業務を遂行する点が特徴。顧客企業は自社でのシステム構築・運用や専門人材の確保といった負担を負うことなく、必要な業務プロセスをクラウドサービスとして利用できる。特に、バックオフィス業務で普及が進んでいる。
b) 人材事業
人材事業では、2028年6月期に売上収益1,930百万円、営業利益280百万円を目標に掲げた。年平均成長率は売上収益で24.1%、営業利益で23.7%となる。2027年6月期までは人材投資などを積極的に行い、その効果が2028年6月期に顕在化する計画となっている。
アスプラは、新規事業拠点を開設し、サービスエリアの拡大と人的リソースの拡充を図る。また、会員(就活生)獲得のため、コンテンツ拡充とWebマーケティングの強化も進めていく。さらに、人材紹介の成約率向上のための各種マニュアルの更新や社員教育だけでなく、社員の定着率向上を図るための人事制度の見直しなども進める。GeaREmakeでは、強みとなる紹介先企業の特定と、集客用のサービス開発に注力する。
c) TCG事業
TCG事業では、2028年6月期に売上収益3,260百万円、営業利益500百万円を目標に掲げた。年平均成長率は売上収益で12.7%、営業利益で23.7%となる。
事業戦略として、成長余地の大きい海外需要を取り込むため、動画広告展開などを積極的に推進する。また、発送業務に一部適用しているAI画像認識ソリューションの精度を高め、目視で行っている買取査定・真贋判定プロセスを自動化することで生産性の向上を図る。そのほか、卸売会社向けに自社開発した業務システムのSaaS展開にも取り組む。
d) インキュベーション事業
インキュベーション事業については業績目標を設定していないが、ソーシャル・エックスを通じて「ソーシャルXアクセラレーション」や「逆プロポ」といった共創案件を多く手掛けることで、DX事業の商機拡大につなげていく。同社は、M&A後のバリューアップ戦略として、グループリソースを最大限活用する共創体制を確立していく。なお、直近2期は凍結していた自社のM&A戦略も再始動する意向である。対象は、DX事業や人材事業でシナジーが見込める企業とし、1社当たりの投資額としては5~10億円を目安に、借入金なども活用しながら実施していく。
(3) 人的資本の取り組み
同社は、人が最大の財産かつ成長の原動力であり、価値創造の源泉であると認識している。中期経営計画を推進する経営基盤として、人材価値の最大化に取り組む方針だ。
人材戦略の最重要項目は「事業戦略に即した人事制度・人材育成」である。事業戦略に基づく人材ポートフォリオを充足するため、採用を強化すると同時に、社員の能力・スキルを可視化し、向上を図る。また、社員の能力スキルの向上につながる機会を創出し提供するほか、成果に適切に報いる「処遇・評価制度」の導入も進める予定である。
2025年6月期末の連結従業員数は408名だが、今後は年間40名前後の純増ペースで経営基盤の体制強化を図る計画である。会社別ではスカラコミュニケーションズ及びアスプラを中心に人員を増強する方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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