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スカラ Research Memo(7):DX事業は先行投資で減益となるも人材事業とTCG事業は2ケタ増益を予想
2025/10/02 16:47
*16:47JST スカラ Research Memo(7):DX事業は先行投資で減益となるも人材事業とTCG事業は2ケタ増益を予想
■スカラ<4845>の今後の見通し
2. 事業セグメント別見通し
(1) DX事業
DX事業の売上収益は前期比7.2%減の4,950百万円、営業利益は同47.2%減の410百万円を予想している。売上収益は、SaaS/ASP事業やSES事業の伸長によりスカラコミュニケーションズが増収となるほか、エッグもふるさと納税事業を中心に増収に転じる見通しである。営業利益は、一過性の収益を除いたNon-GAAP指標との比較においても30.0%減益となる見込みだ。これはスカラコミュニケーションズにおいて、サーバーの移転増強、生成AI機能を実装したサービスの開発強化、積極的な人材投資(前期末比30名増の200人体制へ)など先行投資を実施することが要因である。これら投資の効果が顕在化する2027年6月期以降は増収増益基調に復帰する見通しとなっている。
生成AI機能の実装に関しては「i-ask」(FAQシステム)に「ChatGPT」を連携し、「i-ask with AI support」として進化するための開発を進めている。既に数社でトライアル導入されており、順調に進めば2026年前半にリリースできる見通しだ。また、保険会社と共同で「Smart RAG」の開発も進めている。同サービスは、毎月自動で更新される最新の法令データのみを参照し、コンテンツ原稿・保険募集文書の初稿を添削するサービスで、2026年以降のサービス開始を目指す。保険業界では法令遵守がより厳格に求められており、共同開発先以外にも横展開する計画だ。
アライアンス事業については、売上規模こそ小さいものの着実に育ちつつある。2022年から大塚製薬との共創プロジェクトとして開発を進めてきた「スマートヘルスケアプラットフォーム」は、第1弾として2024年9月より法人向け健康サポートプログラム「fitbiz」のサービス提供を開始した。これは、スマートフォンアプリを通じて“従業員の健康習慣づくりのためのサポート”や“健康施策結果の見える化”を行う「従業員の健康習慣づくり」のためのサービスである。提供する「生活習慣学習サポートプログラム」では学習コンテンツに加え、大塚製薬の製品も用いながら生活習慣を見直す12週間の有償プログラム(1万円/人)である。プログラム終了後の結果や課題についての結果レポートは、健康経営優良法人※の認定要件にも活用可能となっているため、健康経営に取り組む企業にとっては同サービスを活用する動機付けとなる。同社はシステム開発費に加え、サービスの運営・保守料や利用料の一定割合を売上に計上する。2025年6月期は大手企業数社に導入され、受注見込み案件も含めると10社が見えてきた状況にある。大塚製薬でも営業を強化するようで、2026年6月期の売上高として20百万円を見込んでいる。
※ 特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を「見える化」するための、日本健康会議が認定する顕彰制度。従業員や求職者、関係企業や金融機関などから社会的な評価を受けられる環境整備を目的としている。
畜産DXについては、デザミス(株)、三井住友海上火災保険(株)と共同で、牛の遠隔診療や電子カルテ、指示書作成などの機能を備えた総合診療サポートツール「U-メディカルサポート」を開発し、2023年1月より提供している。デザミスが開発した牛の行動モニタリングシステム「U-motion※1」を通じて牛の健康状態の異変を察知し、酪農家がスマートフォンアプリ「U-メディカルサポート」を使って獣医師が遠隔で診療できるようにする仕組みである。これにより、診断遅れによる牛の健康状態の悪化を防ぎ、獣医師の業務負荷が軽減にもつながる。「U-motion」は、国内の乳用牛約137万頭のうち、約10万頭に導入されている。また、「U-メディカルサポート」についても順調に導入が進んでいる。しかし、同社の売上は獣医師が支払う月額利用料※2のうち一定比率を受け取る仕組みであるため、売上規模は2025年6月期で約10百万円と小さい。このため同社は、酪農家が簡単な治療を行えるよう、動画コンテンツの有料配信サービスを、早ければ2026年1~3月頃に開始する予定だ。獣医師不足のなかでセルフメディケーションに対するニーズは強く、同社は月額数百円程度の料金で良質なコンテンツを提供し、収益化を図る。
※1 牛の首に取り付けたセンサーが反芻・動態・横臥・起立等の主要な行動を24時間365日記録することで、牛の健康状態をリアルタイムに把握できるサービス。
※2 月額料金(税込)は獣医師で1アカウント2.2万円、1事業所で5.5万円。ただし、酪農家は無料で利用可能。機能の追加により価格が変更となる可能性もある。畜産に関わる動物の診療施設数は全国で約4,000施設ある。
(2) 人材事業
人材事業の売上収益は前期比13.7%増の1,150百万円、営業利益は同28.4%増の190百万円と増収増益に転じる見通し。人手不足が続くなか企業の採用意欲は旺盛で、アスプラのイベント事業の好調が続いている。紹介事業も人的リソースの強化を進めることで回復を見込んでいる。2026年2月頃には仙台または福岡に拠点を新設し、リソースの拡充を図る。また、GeaREmakeの転職支援サービスは売上高で120〜130百万円程度となり、営業利益も通期で黒字化する見通しである。
(3) TCG事業
TCG事業の売上収益は前期比8.5%増の2,470百万円、営業利益は同32.6%増の350百万円を計画している。海外需要の取り込みや前期より開始した卸売企業向け業務システムの横展開を進める。また、海外向けの直販体制シフトによる売上総利益率改善効果も利益率の上昇要因となる。
(4) インキュベーション事業
インキュベーション事業の売上収益は前期比8.4%減の250百万円、営業損失は20百万円(前期は16百万円の損失)となる見通し。受注については順調なものの、リソース確保のための先行投資を行うため損失が続くと見ている。しかし、「推しごとクラウドファンディング」における「ふるさと納税型クラウドファンディング」「企業版ふるさと納税」に関連した収益については計画に織り込んでいないため、これらの状況次第で業績は計画を上回る可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■スカラ<4845>の今後の見通し
2. 事業セグメント別見通し
(1) DX事業
DX事業の売上収益は前期比7.2%減の4,950百万円、営業利益は同47.2%減の410百万円を予想している。売上収益は、SaaS/ASP事業やSES事業の伸長によりスカラコミュニケーションズが増収となるほか、エッグもふるさと納税事業を中心に増収に転じる見通しである。営業利益は、一過性の収益を除いたNon-GAAP指標との比較においても30.0%減益となる見込みだ。これはスカラコミュニケーションズにおいて、サーバーの移転増強、生成AI機能を実装したサービスの開発強化、積極的な人材投資(前期末比30名増の200人体制へ)など先行投資を実施することが要因である。これら投資の効果が顕在化する2027年6月期以降は増収増益基調に復帰する見通しとなっている。
生成AI機能の実装に関しては「i-ask」(FAQシステム)に「ChatGPT」を連携し、「i-ask with AI support」として進化するための開発を進めている。既に数社でトライアル導入されており、順調に進めば2026年前半にリリースできる見通しだ。また、保険会社と共同で「Smart RAG」の開発も進めている。同サービスは、毎月自動で更新される最新の法令データのみを参照し、コンテンツ原稿・保険募集文書の初稿を添削するサービスで、2026年以降のサービス開始を目指す。保険業界では法令遵守がより厳格に求められており、共同開発先以外にも横展開する計画だ。
アライアンス事業については、売上規模こそ小さいものの着実に育ちつつある。2022年から大塚製薬との共創プロジェクトとして開発を進めてきた「スマートヘルスケアプラットフォーム」は、第1弾として2024年9月より法人向け健康サポートプログラム「fitbiz」のサービス提供を開始した。これは、スマートフォンアプリを通じて“従業員の健康習慣づくりのためのサポート”や“健康施策結果の見える化”を行う「従業員の健康習慣づくり」のためのサービスである。提供する「生活習慣学習サポートプログラム」では学習コンテンツに加え、大塚製薬の製品も用いながら生活習慣を見直す12週間の有償プログラム(1万円/人)である。プログラム終了後の結果や課題についての結果レポートは、健康経営優良法人※の認定要件にも活用可能となっているため、健康経営に取り組む企業にとっては同サービスを活用する動機付けとなる。同社はシステム開発費に加え、サービスの運営・保守料や利用料の一定割合を売上に計上する。2025年6月期は大手企業数社に導入され、受注見込み案件も含めると10社が見えてきた状況にある。大塚製薬でも営業を強化するようで、2026年6月期の売上高として20百万円を見込んでいる。
※ 特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を「見える化」するための、日本健康会議が認定する顕彰制度。従業員や求職者、関係企業や金融機関などから社会的な評価を受けられる環境整備を目的としている。
畜産DXについては、デザミス(株)、三井住友海上火災保険(株)と共同で、牛の遠隔診療や電子カルテ、指示書作成などの機能を備えた総合診療サポートツール「U-メディカルサポート」を開発し、2023年1月より提供している。デザミスが開発した牛の行動モニタリングシステム「U-motion※1」を通じて牛の健康状態の異変を察知し、酪農家がスマートフォンアプリ「U-メディカルサポート」を使って獣医師が遠隔で診療できるようにする仕組みである。これにより、診断遅れによる牛の健康状態の悪化を防ぎ、獣医師の業務負荷が軽減にもつながる。「U-motion」は、国内の乳用牛約137万頭のうち、約10万頭に導入されている。また、「U-メディカルサポート」についても順調に導入が進んでいる。しかし、同社の売上は獣医師が支払う月額利用料※2のうち一定比率を受け取る仕組みであるため、売上規模は2025年6月期で約10百万円と小さい。このため同社は、酪農家が簡単な治療を行えるよう、動画コンテンツの有料配信サービスを、早ければ2026年1~3月頃に開始する予定だ。獣医師不足のなかでセルフメディケーションに対するニーズは強く、同社は月額数百円程度の料金で良質なコンテンツを提供し、収益化を図る。
※1 牛の首に取り付けたセンサーが反芻・動態・横臥・起立等の主要な行動を24時間365日記録することで、牛の健康状態をリアルタイムに把握できるサービス。
※2 月額料金(税込)は獣医師で1アカウント2.2万円、1事業所で5.5万円。ただし、酪農家は無料で利用可能。機能の追加により価格が変更となる可能性もある。畜産に関わる動物の診療施設数は全国で約4,000施設ある。
(2) 人材事業
人材事業の売上収益は前期比13.7%増の1,150百万円、営業利益は同28.4%増の190百万円と増収増益に転じる見通し。人手不足が続くなか企業の採用意欲は旺盛で、アスプラのイベント事業の好調が続いている。紹介事業も人的リソースの強化を進めることで回復を見込んでいる。2026年2月頃には仙台または福岡に拠点を新設し、リソースの拡充を図る。また、GeaREmakeの転職支援サービスは売上高で120〜130百万円程度となり、営業利益も通期で黒字化する見通しである。
(3) TCG事業
TCG事業の売上収益は前期比8.5%増の2,470百万円、営業利益は同32.6%増の350百万円を計画している。海外需要の取り込みや前期より開始した卸売企業向け業務システムの横展開を進める。また、海外向けの直販体制シフトによる売上総利益率改善効果も利益率の上昇要因となる。
(4) インキュベーション事業
インキュベーション事業の売上収益は前期比8.4%減の250百万円、営業損失は20百万円(前期は16百万円の損失)となる見通し。受注については順調なものの、リソース確保のための先行投資を行うため損失が続くと見ている。しかし、「推しごとクラウドファンディング」における「ふるさと納税型クラウドファンディング」「企業版ふるさと納税」に関連した収益については計画に織り込んでいないため、これらの状況次第で業績は計画を上回る可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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