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網屋 Research Memo(4):データセキュリティ事業とネットワークセキュリティ事業の2軸で展開(2)

*11:04JST 網屋 Research Memo(4):データセキュリティ事業とネットワークセキュリティ事業の2軸で展開(2)
■網屋<4258>の事業概要

(2) ネットワークセキュリティ事業
ネットワークセキュリティ事業は創業から一貫して手掛けてきた事業である。創業期より培ったネットワーク技術を生かして独自開発した「Network All Cloud」を中心に展開している。あらゆるネットワーク機器を同社がクラウド上からリモートコントロールできるため、同サービスは、ネットワーク構築から導入後の運用、障害対応に至るまで、顧客のあらゆる業務負荷を軽減する。これにより、情報システム部門は自社での機器管理から解放され、業務の効率化、ネットワークの安定化が可能となる。

同社は、ネットワークインテグレーションも手掛けており、主に病院関連の実績が多い。オフィスのサーバ・ネットワーク構築、拠点間接続、テレワーク等のリモート接続などICT通信インフラネットワークを設計・構築を行う。販売系統は直接販売が30%、間接販売が70%程度となっている。OEMによる間接販売も行っており、名称を変更して大手ベンダー商品として販売されている。

「Network All Cloud」の売上は機器費用を購入時に一括で受領し、以降は同社クラウドサービスの使用料としてサービス料を受領するストックモデルである。顧客にとっては、設計・構築の費用があらかじめクラウドサービス使用料に含まれているため、コストを抑えながら導入できる利点がある。主な売上原価はシステムエンジニア等の労務費、外注費(派遣)、外部委託費、販売・レンタル用機器の仕入れである。

同社の「Network All Cloud」は、ICTネットワークの構築・運用をクラウド上から遠隔で行うサービスである。現場に同社担当者を派遣せずに運用できる点が特徴である。企業ネットワークに必要となるVPN※1ルータ、ファイアウォール※2、スイッチ※3、無線LANアクセスポイントなどを同社がクラウド上で運用を代行する仕組みで、顧客はSaaS上のWeb画面から状態を確認できる。全国に拠点を持つ小売・外食・営業所・教育機関・塾・医療機関などを中心に利用されている。

※1 Virtual Private Networkの略称。暗号化技術などによりインターネット上に作り出された仮想の専用ネットワークのこと。
※2 企業内にある内部ネットワークとインターネットなどの外部ネットワークの境界線上に設置し、通信を許可するか否かを判断し、制御する仕組みを持った装置またはソフトウェアのこと。
※3 スイッチングハブを指す。通信ネットワークにおいて通信を中継する装置の1つで、データを受け取り、宛先を識別して、関係する機器にデータ送信する機能を有する通信機器のこと。

同社の「Network All Cloud」には、フルマネージドSASE「Verona(ヴェローナ)」、クラウド無線LANサービス「Hypersonix(ハイパーソニックス)」と2種類のラインナップがある。

(a) 「Verona」
「Verona」はクラウド上からインターネットVPNサービスを設計・構築・運用するサービスである。拠点間VPNやソフトウェアVPNに利用され、テレワーク業務などで必要となる企業と自宅間の遠隔秘匿通信にも適している。従来のVPNが現地での手動設定を必要としたのに対し、「Verona」はエンジニアが現場に赴くことなく運用できる点が特徴である。初期構築・設定変更・障害対応のほかファームウェアのアップデートもクラウド上から一括で実施が可能である。なお、「Verona」は2023年7月にフルマネージドSASEサービスをリリースし、従来の証明書認証機能に加え、通信時にのみ通信ポートを開放するダイナミックポートコントロール機能などを持ち、ゼロトラスト※アーキテクチャに沿った新しい暗号通信の仕組みを提供している。

※ 社内ネットワークと社外ネットワークに区分してセキュリティ対策を講じるのではなく、「何も信頼しない」という前提でセキュリティ対策を講じるという考え方のこと。

(b) 「Hypersonix」
「Hypersonix」は、クラウド上から無線LANを設計・構築・運用するサービスである。オフィスや店舗・工場・教育機関・医療機関など多拠点環境下にあるWi-Fiを快適かつ安全に運用する。特長は、複数の機器を用途や環境に合わせて柔軟に選択できる点にある。一般的な無線LANクラウドサービス事業者は自社の単一機器だけを取り扱うケースが多いため、機器の相性や環境依存によって導入が難航することがある。一方で、同社のサービスでは、希望の用途や規模に合わせて複数のメーカー機器を選択・利用することができる。また、クラウドネットワークサービスをけん引するグローバル販売実績上位の米国Ubiquiti製の「UniFi(ユニファイ)シリーズ」の国内販売代理契約も締結している。価格競争力も高く、クラウドネットワークに適した機能を有していることから、同社ではサービス提供用の機器として利用している。また、国内における機器の物販も行っている。


顧客自身が運用できるマジョリティモデルの製品に同社の優位性

3. 競合優位性
同社の競合について、国内市場においては米国Splunkが挙げられる。Splunkの製品は、様々なソースからのビッグデータを処理してデータ分析を行うためのツールで、ログデータの収集や解析は機能の一部分に過ぎない。機能面のみを比較した場合、同社製品を上回る。しかし、多くの機能を持つため、導入・維持管理には専門の技術者が必要となり、導入や運用のハードルやコストは高い傾向にある。一方、同社製品はSplunkの製品ほど多くの機能を持たないが、SIEM(セキュリティ情報イベント管理)製品として必要な機能は十分に備わっている。ログ解析に特化することで運用が容易で、誰でも扱いやすいのが特長である。また、価格面でも競争力を持つ。

製品に対するユーザー意見の汲み上げについては、営業担当者が販売代理店に同行することで、実際に顧客に製品説明を行いユーザー意見も直接ヒアリングしている。加えて、導入後の製品サポートを通じて新たなニーズについても収集している。同社内では、マーケティング担当・開発担当・営業担当の3者で製品仕様の調整会議を行っており、ユーザー意見を適切に製品へ反映する仕組みが構築されている。Splunkの製品が一部の専門技術者を対象とするマイノリティモデルであるのに対して、同社製品は汎用的で使いやすいマジョリティモデルである。顧客自身が運用できるという点に、同社の優位性があると見られる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)



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