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グロービング Research Memo(7):コンサルタントのAIエージェント化を推進

*11:07JST グロービング Research Memo(7):コンサルタントのAIエージェント化を推進
■中長期の成長戦略

1. これまでの成長戦略
グロービング<277A>は中長期的な事業成長を実現するため、これまでコンサルティング事業において、従来型コンサルティングのJI型へのシフト、及び顧客への変革人材の提供によるハンズオンでの変革を実施するため、以下のような成長基盤づくりに取り組んできた。

従来型コンサルティングからスタートする場合、新規案件については専門部署などは設けず、同じ部署で営業・コンサルティングサービスの提供を行い、顧客のニーズをより理解できるような体制を構築する。既存案件については、支援中のコンサルタントがプロジェクトの過程において顧客のニーズを早期に把握するよう努めるほか、顧客の長期的な目標の実現に向け強固な関係性の構築を推進する。また、従来型コンサルティングを提供している顧客との関係を深耕し、JI型コンサルティングについても追加提案を行い、出向やJV※などの形により、顧客内の事業責任者として参画する。コンサルタントは意思決定に直接関与し、ハンズオンで事業変革を実施する。

※ Joint Ventureの略で、共同企業体、複数の企業が資金や人材などを相互に出資し、共同で事業を行う組織のこと。

このように、同社では、コンサルタントが顧客との信頼関係を深め粘着性を高めることで、案件の継続可能性を高め、加えて、顧客内部に入り込むことで予算を増額して案件規模を拡大してきた。

2. 今後の成長戦略
同社はコンサルティング事業を土台としながら、さらなる成長に向けた強化策として「全世界のコンサルタントのAIエージェント化」と「“動的平衡”マネジメントの展開」の2点を掲げている。

(1) 全世界のコンサルタントのAIエージェント化
同社は、コンサルタントの業務を代替するAIエージェントの開発及び展開を推進する。AIエージェントとは、ユーザーが定めた目標に向け、自律的にデータを収集し、業務タスクを遂行するITツールのことである。同社によると、コンサルタントは、これまで時間を取られていた単純作業をAIエージェントに代替し、今後は思考作業を深めることに特化するといった役割分担に変えていくようだ。AIエージェントが戦略・企画の立案時のアイデア出し・仮説出しのサポート、議事録作成や市場調査などの業務を担うことにより、JI型のコンサルタントは意思決定のスピードを上げることができる。

同社は開発したAIエージェントを自社内に展開し、実業務を通して実証実験を進めており、機能を順次追加しながら強化している。自社内で効果が実証された領域からプロダクト化し、外販を進めることにより、最終的には「全世界のコンサルタントのAIエージェント化」を実現することを目標としている。同ツールは顧客企業の社内用語をAIが学習し、社内の文脈を理解したうえで、リサーチやパワーポイントの作成など、より付加価値の高い業務につなげていくツールである。足元では、自社プロダクトの企画支援AIエージェント「グロービングくん」について自動車OEMと共同開発を進めており、現在PoCを実施中である。

また、新たに「AI議事コン」という会議高度化エージェントの開発に着手した。これは議事録の自動化や会議の高度化を目的とし、クライアント企業の社内標準ツールとしての実装を目指している。現在は自動車OEMとの共同開発フェーズに移行しつつあり、数千人規模の従業員に利用される標準ソリューションとなる可能性を秘めている。また、同様の取り組みについて複数の企業とも交渉を進めており、幅広い展開が見込まれる。

これらのAIエージェントは単なる業務効率化にとどまらず、同社が描く「経営OS」構想の中核を担う存在となる。経営OSとは、戦略コンサルティングの知見をAIに実装し、企業のデータや非構造情報を統合・分析することにより、経営の意思決定を支援する包括的な仕組みのことである。自社クラウドプロダクト「Octagon」に蓄積されたデータを活用し、AIエージェントがリアルタイムに示唆を提示することで、経営層は意思決定に専念することができる。また、AIは市場機会や成長シナリオを共創し、混沌としがちな会議を構造化して迅速な実行計画に落とし込む。コア業務からノンコア業務まで幅広く支援し、生産性向上と新たな成長の実現を目指している。

(2) “動的平衡”マネジメントの展開
同社は、欧米型のトップダウンでマネジメントするガバナンス経営に対するアンチテーゼとして、日本型経営特有の「人」を中心とした経営方法論を体系化し、AIエージェントに実装して外部展開することを目指す。

同社は日本の企業経営を生物学における動的平衡から捉え直し、「“動的平衡”マネジメント」としてマネジメント手法に落とし込むことを考えている。生物学における動的平衡とは、ロックフェラー大学客員教授、青山学院大学教授の福岡伸一(ふくおかしんいち)氏の「生命とは何か?」という問いから出てきた考えである。動的平衡は、「『生命は分子生物学(メカニズム)で動いていない』要素(細胞)と要素の間で起きる相互作用にある」と捉えている。「“動的平衡”マネジメント」では、「生命」を「企業」、「細胞」を「人」と置き換えることにより、「人」を中心にした日本型企業の経営の長所を捉え直す。同社は「“動的平衡”マネジメント」に関する書籍の出版、国内経営者を集めた経営者コンソーシアムの立ち上げなどによりさらに考えを深め、長期的にはAIエージェントに実装して国内外に向けて展開していく考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)



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