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グロービング Research Memo(1):2026年5月期は先行投資を実施も、収益面は高成長継続を見込む

*11:01JST グロービング Research Memo(1):2026年5月期は先行投資を実施も、収益面は高成長継続を見込む
■要約

グロービング<277A>は、エンタープライズ向けに経営戦略や事業戦略などを策定から推進まで支援するコンサルティング事業、及び営業生産性の向上や業務効率の改善に資するプロダクトをSaaS※で提供するクラウドプロダクト事業を展開している。

※ Software as a Serviceの略で、インターネット経由で利用できるクラウドサービス。

同社が提供するコンサルティングサービスの特徴は、コンサルタントを顧客の内部に配置し、組織の中から事業変革を促し、顧客と伴走しながら売上拡大やコスト削減などの成果を上げていることである。また、議事録作成やデスクリサーチなどの作業についてはAIツールの活用を推進しており、工数の削減により競合他社と比べ相対的に低価格を実現している。

1. 2025年5月期の業績概要
2025年5月期の業績は、売上高が8,255百万円(前期比97.7%増)、営業利益が2,800百万円(同7.6倍)、経常利益が2,783百万円(同7.3倍)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,768百万円(同6.8倍)となった。

売上高については、コンサルティング事業のDX・AI活用・新規事業開発の需要拡大などにより大幅に拡大した。コンサルタントの中途採用は計画どおり進捗し、第4四半期については計画を上回るペースであった。売上総利益率は案件の高収益化やデリバリーの効率化等により、同4.5ポイント上昇の67.9%となった。販管費は前期のような大きな先行投資がなかったことから、販管費率は同20.6ポイント減少の33.9%となった。なお、前期は人材採用投資による採用費の増加、案件大型化に向けた営業手法の開発投資、AI・DXを活用した管理業務の負荷軽減への投資などの先行投資を実施したため、販管費率が通常の水準よりも高かった。その結果、営業利益は急拡大し、営業利益率は33.9%と同25.1ポイント改善した。

2. 2026年5月期の業績見通し
2026年5月期の業績は、売上高が11,555百万円(前期比40.0%増)、営業利益が3,539百万円(同26.4%増)、経常利益が3,539百万円(同27.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が2,265百万円(同28.1%増)と、大幅な増収増益を見込んでいる。

売上面では、即戦力となるコンサルタントを四半期ごとに10〜15人程度のペースで採用する計画であり、年間を通じて一定の人員純増が見込まれる。また、社内業務のオペレーションへのAIやDXの活用により、コンサルタント1人当たりの生産性向上が進むと見込まれることから、単純な人員増以上の増収効果が期待される。足元では同社の強みであるJI型コンサルティングの需要が拡大しており、適正稼働率が安定的に維持されていることを踏まえると、引き続き大幅な増収局面が続くと見られる。

コスト面では、売上原価を41億円、販管費を34億円と見込んでいる。販管費のうち約4億円を人材採用関連費用に充てる計画であるが、リファラル採用を50%程度の比率で維持することにより、コストの過度な上昇を抑制しつつ、将来の成長を担う人材確保を進める計画である。また、研究開発費として約4億円を投じ、AIエージェントや「動的平衡マネジメント方法論」の確立に向けた先行投資を加速する。これらは短期的にはコスト増となるものの、中長期的な競争優位の強化に資する戦略的投資と位置付けられる。

3. 今後の成長戦略
同社はコンサルティング事業を土台としながら、さらなる成長に向けた強化策として「全世界のコンサルタントのAIエージェント化」と「“動的平衡”マネジメントの展開」の2点を掲げている。

(1) 全世界のコンサルタントのAIエージェント化
同社は、コンサルタントの業務を代替するAIエージェントの開発及び展開を推進している。まずは自社内に展開して実証実験を進めており、効果が実証された領域からプロダクト化し、最終的には「全世界のコンサルタントのAIエージェント化」を実現することを目標としている。足元では、自社プロダクトの企画支援AIエージェント「グロービングくん」について自動車OEMと共同開発を進めており、現在PoC(Proof of Conceptの略であり、新しい技術やアイデアが実現可能かどうかを検証するための実証実験)を実施中である。また、新たに「AI議事コン」という会議高度化エージェントの開発に着手した。これは議事録の自動化や会議の高度化を目的とし、クライアント企業の社内標準ツールとしての実装を目指している。現在は自動車OEMとの共同開発フェーズに移行しつつあり、数千人規模の従業員に利用される標準ソリューションとなる可能性を秘めている。また、同様の取り組みについて複数の企業とも交渉を進めており、幅広い展開が見込まれる。

(2) “動的平衡”マネジメントの展開
同社は、欧米型のトップダウンでマネジメントするガバナンス経営に対するアンチテーゼとして、日本型経営特有の「人」を中心とした経営方法論を体系化し、AIエージェントに実装して外部展開を目指す。

日本の企業経営を生物学における動的平衡から捉え直し、「“動的平衡”マネジメント(同社による造語)」としてマネジメント手法に落とし込むことを考えている。同社はそれに関する書籍の出版、国内経営者を集めた経営者コンソーシアムの立ち上げなどによりさらに考えを深め、長期的にはAIエージェントに実装して国内外に向けて展開する考えだ。

■Key Points
・エンタープライズ向けに伴走型の戦略コンサルティング事業を展開
・2025年5月期は順調な人材採用と適正稼働率の維持により、収益が急拡大
・2026年5月期は積極投資を行うも、高成長フェーズが継続する見通し

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)



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