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ダイコク電 Research Memo(4):スマート遊技機や改刷対応需要により、利益面では過去最高業績を2年連続更新

*11:04JST ダイコク電 Research Memo(4):スマート遊技機や改刷対応需要により、利益面では過去最高業績を2年連続更新
■決算動向

1. 2025年3月期の業績概要
ダイコク電機<6430>の2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比6.6%増の57,415百万円、営業利益が同1.8%増の12,212百万円、経常利益が同1.1%増の12,231百万円、親会社株主に帰属する当期純利益(以下、最終利益)が同8.7%減の7,727百万円となり、利益面では過去最高業績(最終利益を除く)を2期連続で更新した。なお、最終利益のみが減益となったのは、過去のM&Aに係る「のれん」の減損(特別損失)が理由であり、保守的な判断に基づくものである。

売上高はスマート遊技機導入に伴う製品販売が好調に推移したことに加え、新紙幣の改刷対応に伴う設備投資需要により、情報システム事業で大きく拡大した。特に、改刷対応需要の取り込みが想定を上回った(上期で完了)。スマート遊技機は、スマートパチスロ機が着々と設置台数を増やすなか、これまで停滞していたスマートパチンコ機も緩やかながら普及が進んできた。注力しているサービス売上高についても、MGサービスの加盟店の増加とともに順調に積み上がった。一方、アミューズメント事業はパチンコ向けハードビジネス終息に向け、表示ユニットなどの販売が減少したことで前期を下回った。

利益面ではパチスロ開発投資の継続に加え、将来に向けた先行投資(DX推進や新規事業等)などがマイナスに働いたものの、利益率の高い情報システム事業の伸びでカバーし増益を確保した。営業利益率も21.3%(前期は22.3%)と引き続き高い水準を維持した。

財政状態については、M&Aに伴って「のれん」等が増加した一方で、現金及び預金や商品在庫の減少などにより総資産は前期末比3.4%減の57,266百万円に縮小した。一方、自己資本は利益剰余金の積み増しにより同11.2%増の45,287百万円に拡大したことから、自己資本比率は79.1%(前期末は68.7%)に大きく改善した。

(1) 情報システム事業
売上高は前期比5.5%増の52,126百万円、セグメント利益は同1.4%減の14,406百万円となった。1) スマート遊技機導入に伴う製品販売の伸び、2) 2024年7月からの新紙幣流通による改刷対応需要の取り込み、3) サービス売上高の積み上げの3つの要因が増収に寄与した。

1) については、2025年3月期末でスマートパチスロ機の設置割合が52.1%(前期末は36.4%)、スマートパチンコ機が14.1%(同4.7%)とそれぞれ上昇し、スマート遊技機に対応するカードユニット「VEGASIA」※1、情報公開端末の新製品「REVOLA II」「DUALINA」の販売が好調に推移した。なかでも、しばらく停滞していたスマートパチンコ機の設置が緩やかながら進んできた。2) については、同社製品の導入店舗のうち想定を上回る95.5%の店舗で改刷対応を実施し、業績の上振れ要因となった。3) については、クラウドチェーン店管理サービス「ClarisLink」や商圏分析サービス「Market-SIS」などを中心にMGサービスの加盟店舗が増加し、着実に積み上がった※2。

※1 2013年に市場参入した同社カードユニット設置台数シェアは18.8%(前期末は17.6%)に拡大した。後発ゆえに拡大余地はまだ大きい。
※2 2019年4月にリリースした「Market-SIS」の2025年3月末の掲載店舗数は4,380店舗(前期末比84店舗増)、2021年11月にリリースした「ClarisLink」の契約店舗数は1,032店舗(同246店舗増)となった。

利益面ではクラウド開発等への先行費用や人件費の増加、品質保証引当金繰入額※などによりわずかに減益となったものの、利益率の高い主力製品の伸びや改刷対応需要の取り込み、MGサービスによるストック収益の積み上げにより高い利益水準を確保した。セグメント利益率も27.6%(前期は29.6%)と高水準を維持した。

※ 新紙幣流通に伴う改刷対応に係るもの。

なお、同社「DK-SIS」データによると、遊技機全体の稼動状況(年度平均)は前期比102.0%と堅調に推移している。特に、スマートパチンコ機の稼動はそれ以外の従来機と比較して同121.2%、スマートパチスロ機の稼動は同127.0%となっており、スマート遊技機が稼動全体の伸びをけん引している。

(2) アミューズメント事業
売上高は前期比1.1%減の4,451百万円、セグメント利益は356百万円(前期は390百万円の損失)と、減収ながら黒字転換した。売上高は、パチンコ向けハードビジネス終息に向け、表示ユニットなどの販売が減少したことで前期を下回った。ただ、パチンコ向けコンテンツ・ソフトウェアの受注が増加したほか、子会社である元気(株)のゲーム事業において、「首都高バトル」の新タイトル※の販売が好調であり、売上高の中身が入れ替わってきた。利益面では、自社ブランドによるスマートパチスロ機の市場投入に向けた開発投資を継続したものの、これまで取り組んできた収益構造改革が奏功し黒字に転換した。

※ 18年ぶりのリリースとなったが、2025年1月に早期アクセス版として配信を開始すると、Steamの国内ランキングで1位を獲得、グローバルランキングでも2位にランクインした。2025年9月にはフルアクセス版のリリースを予定している。今後はリピート型のゲームIPとしてストックビジネス化を進める考えだ。

(3) その他
売上高は889百万円、セグメント損失は178百万円となった。M&A先のPMIが順調に進み、売上高は想定内だったものの、費用が先行した。

2. 2025年3月期の総括
2025年3月期を総括すると、外部要因による追い風(パチンコホールにおける稼動の伸び、スマート遊技機の設置割合の増加、改刷対応需要の発生等)を着実に取り込み、利益面で過去最高業績を更新したことは業界における実力を示すものとして評価できる。ただ改刷対応需要は既に完了しており、あくまでも一過性の特需として捉える必要がある。また、これまで停滞してきたスマートパチンコ機の設置割合が足元で増えてきたことは、今後に向けて明るい材料であるものの、過去2年間の業績の伸びをけん引してきたスマートパチスロ機の伸びは落ち着いてきており、このあたりのトレンドの変化には注意が必要である。収益構造改革を進めてきたアミューズメント事業についても、黒字転換という形で成果を出してきたところは評価すべきポイントである。活動面でも、事業領域の拡大等に向けてM&Aや業務提携を相次いで実施しており、戦略的にも一定の成果を残した※。

※ M&Aでは、西本産業、LILIUM、ログオンシステム、箱根ガラスの森リゾート(不動産・美術品等)の連結化、並びに(株)七葉の持分法非適用関連会社化を行った。業務提携では円谷フィールズホールディングス<2767>と結んだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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