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売れるネット広告 Research Memo(7):各事業で全体収益への寄与が進む

*13:36JST 売れるネット広告 Research Memo(7):各事業で全体収益への寄与が進む
■売れるネット広告社グループ<9235>の業績動向

2. セグメント別の業績動向
第3四半期のセグメント別業績は、D2C(ネット通販)向けデジタルマーケティング支援事業の売上高が451百万円(前年同期比15.2%減)、セグメント損失が146百万円(前年同期は172百万円の損失)、D2C(ネット通販)事業の売上高が195百万円(前年同期比306.5%増)、セグメント損失が19百万円(前年同期は14百万円の利益)、新設したグローバル情報通信事業の売上高が477百万円、セグメント利益が29百万円となった。

D2C(ネット通販)向けデジタルマーケティング支援事業では、前期に不正注文の対策や一部大手クライアントの広告の費用対効果悪化などにより軟調に推移した状況から、AIアシスタントやAIコールセンターといった新たな提案などが奏功して段階的に売上高の回復が進んだ。またコスト構造の見直しもあり、営業利益は第3四半期単独では黒字化した。なお、売れるメディアプラットフォーム(ASP)は、従来の成果報酬型広告に運用型広告型が加わったことで収益の伸びが顕著となった。売れる越境EC社では、第3四半期に2025年6月開始予定のTikTokライブコマースやTikTok Shopの受注を開始した。TikTokライブコマースの収益化が、許可取りの遅れによって月ズレしているようだが、受注の動きから非常に順調に進行しているとみてよさそうだ。売れるD2C業界M&A社では、2024年8月に案件が1件成立、現在は複数案件が進行中で、うち1件で基本合意締結となったが、成立は第4四半期以降にこれも月ズレしているようだ。顧客間のM&Aは条件が合わないことが多く、時間をかけて取り組んでいる。

D2C(ネット通販)事業では、小顔美容マスク「KogaO+」の累計販売枚数が80万枚を突破するなど大ヒット、大幅増収となった。セグメント利益も、表面上は損失となっているが、2024年8月~12月にグルプスに委託していた広告を内部取引として消去すると事業全体で黒字になるなど、収益改善は順調に進んでいる。ただし、第3四半期になって売上高にブレーキがかかった。これは、同社の場合、製品投入当初から利益を確保するため、王道だがコスト効率の低い広告を使わずに、アルゴリズムを解析しながら動画(ほとんどTikTok)から自社サイトやAmazon、楽天市場へと誘導しているが、セールなど季節性やアルゴリズムの変更によって、第3四半期のヒット率が下がったことが要因である。同社は引き続きアルゴリズムの解析を行い、第4四半期以降キャッチアップする考えである。

グローバル情報通信事業については、修学旅行需要などの受注が順調だったことに加え、2024年の衆議院選挙やパリオリンピック向けの需要も発生したため、M&A以前のJCNTに対し、M&Aによるのれん込みで増収増益となったようだ。新規事業領域ながら早くも売上高全体の約40%を占めるまでに急拡大しているが、第4四半期には参議院選挙特需も期待され、安定的に収益に貢献すると見られる。


回復遅れから第2四半期時点で業績予想を修正

3. 2025年7月期の業績見通し
同社は2025年7月期の業績見通しについて、同社は売上高1,650百万円(前期比118.2%増)、営業損失130百万円(前期は308百万円の損失)、経常損失130(前期は315百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失394百万円(前期は326百万円の損失)を見込んでいる。第2四半期決算と同時に、期初予想に対して売上高で15百万円上方修正、営業利益で133百万円、経常利益で137百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で398百万円下方修正している。

売上高を上方修正した要因は、「不正注文」への対策が一巡したD2C(ネット通販)向けデジタルマーケティング支援事業で当初見込んでいた回復に遅れが生じたが、D2C(ネット通販)事業のシートマスク「KogaO+」のヒット、及びもともと保守的に見ていたグローバル情報通信事業でパリオリンピック向け需要など想定以上に堅調に推移したことにある。営業利益の下方修正は、D2C(ネット通販)向けデジタルマーケティング支援事業は黒字化したものの回復が遅れたことに加え、TikTokライブコマース関連の開始やM&A成立の遅れ、第2四半期までの販管費が想定より多くなったことなどが要因である。


2025年7月期第4四半期は順調、2026年7月期はM&Aで弾み

4. 2025年7月期第4四半期の業績見通しと2026年7月期の見方
第2四半期に行われた業績修正に対して、第3四半期は順調に推移したが、第4四半期の業績見通しは、売上高で525百万円(前年同期比3倍増)、営業利益で52百万円(同201百万円増益かつ黒字転換)が必要となる。ハードルは高く見えるが、主力のD2C(ネット通販)向けマーケティング支援事業については、採算がよく売上高の大きい「売れるD2Cつくーる」が着実に回復しており、第4四半期の黒字幅が第3四半期以上に拡大する見込みである。加えて、グローバル情報通信事業の好調が見えていること、販管費の抑制が続くことから、見通しどおりの業績を達成する可能性は高いと言えよう。

「売れるD2Cつくーる」のほか、前期に実施した不正注文対策から「売れるメディアプラットフォーム(ASP)」が徐々に回復、「運用広告チーム」は従来の成果報酬型広告に運用型広告サービスが付加したことで案件が増加している。AI関連では、「AIカスタマーアシスタント」「ショート動画」「アパレルEC画像AI生成」といったサービスの受注が好調で、複数の収益案件を受注している。越境EC事業では、TikTokライブコマースとTikTok Shop運営代行サービスの受注が既に相当数積み上がっており、役務提供次第収益化が見込まれるうえ、追加受注の可能性もありそうだ。M&A仲介事業は、スケジュールが長期化することが多く想定より時間を要したが、既に6件が最終合意まで進行しており、うちいくつかは期中に最終契約に至る見通しとなっている。さらに、2025年6月に開催したD2C日本最大級のイベント「D2Cの会フォーラム2025」の収益へのオンも見込まれる。また、D2C(ネット通販)事業は、アルゴリズム変更の影響から「KogaO+」が回復しつつあるうえ、新規案件の稼働など見込まれている。グローバル情報通信事業では、修学旅行などの受注が非常に順調に推移していることに加え、7月に参議院選挙が予定されているため、例年より収益は上振れる見込みとなってきた。

このように、2025年7月期は様々な収益の種が芽吹き、期末に向けて業績回復が鮮明になってきたため、2026年7月期業績について市場の期待も高まっている。同社も、AIやTikTokの関連サービスをテコに既存事業を想定どおり前期比20%~30%で伸ばす一方、M&Aで成長に弾みをつける考えである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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