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ナトコ:2025年10月期は価格改定、販売量増、事業譲受の効果により2ケタ営業増益を目指す

*15:11JST ナトコ:2025年10月期は価格改定、販売量増、事業譲受の効果により2ケタ営業増益を目指す
ナトコ<4627>は愛知県に本社を置く化学メーカーであり、主に塗料を中心とした化学製品の開発・製造・販売を行っている。1948年の創業以来、一貫して塗料を軸とした事業展開を進めてきたが、近年はその技術を応用したファインケミカル製品や環境対応型の蒸留再生事業にも注力しており、幅広い化学ソリューションを提供している。

事業セグメントは3つに分かれており、第1の柱は塗料事業である。売上高の6割強を占める中核分野であり、建材用塗料、金属用塗料の高機能塗料などを展開している。とりわけ耐候性、耐汚染性、遮熱、防カビなどの機能性塗料に強みを有しており、住宅建材分野や産業機械分野で安定した需要を確保している。製品の差別化においては自社開発のポリマー技術や顔料分散技術が競争優位の源泉となっており、粗利率も比較的高い。第2の柱であるファインケミカル事業は、スマートフォンやパソコン、自動車内装向けのコーティング剤、電子分野向けの機能性材料を提供する高付加価値領域である。これらは技術革新のスピードが速く、開発力が企業の成否を左右するなか、同社は長年の塗料開発で培ったポリマー合成技術などを生かし、ニッチながらも成長性のある市場を捉えながら事業拡大している。第3の柱である蒸留事業は、子会社を通じて展開している環境対応型の再生ビジネスであり、使用済みの廃溶剤を回収して再生することにより循環型社会への貢献を目指している。同事業は排出量規制や環境対応の流れを背景として徐々に存在感を高めており、顧客企業の工場稼働率に連動する面もあるが、今後の成長余地は大きいと見られる。

同社の2025年10月期中間期実績は、売上高が前期比13.6%増の11,023百万円、営業利益が同60.9%増の647百万円、経常利益が同0.8%減の538百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同2.5%減の358百万円となり、期初計画の売上高10,600百万円、営業利益530百万円をいずれも上回った。事業セグメント別に見ると、塗料事業では海外向け販売の好調、国内向けにおける価格改定効果に加え、2024年7月にDIC<4631>から譲り受けた建材用塗料分野の販売事業が業績寄与し(増収効果は約5億円)、売上高は同18.6%増の7,239百万円(うち金属用塗料が同6.5%増の3,043百万円、建材用塗料が同21.2%増の3,851百万円)、営業利益は同31.1%増の535百万円となった。ファインケミカル事業はスマートフォンのアクセサリー向けコーティング剤などの販売拡大により、売上高は同6.5%増の1,151百万円、営業利益は同18.8%増の215百万円となった。蒸留事業は廃溶剤の回収量の増加したことにより、売上高は同4.6%増の2,632百万円、営業利益は同56.5%増の227百万円となった。

2025年10月期通期業績は、売上高が前期比6.0%増の22,000百万円、営業利益が同17.7%増の1,450百万円、経常利益が同8.9%増の1,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.5%増の980百万円の見通しである。売上面は価格改定効果及び販売量増、DICから譲り受けた事業の業績寄与、新規顧客の獲得などにより増収となり、利益面は価格改定効果により収益性が改善し、営業利益は2ケタ増益となる計画である。

同社は2024年12月に2027年10月期までの中期経営計画を公表しており、「あらゆる表面のリノベーション&イノベーションカンパニーへ」という2030年のビジョン実現に向け、事業基盤の強化と成長投資を軸とした経営戦略を打ち出している。定量目標は、2027年10月期の売上高が240億円、営業利益が20億円、ROEは株主資本コストと同水準である6%前後である。塗料事業では、新規市場の開拓、同業他社との協業やM&Aなどにより原料調達や規模拡大を狙い、コスト競争力強化と顧客基盤の拡大を図っていく。ファインケミカル事業では、電子機器向け塗料において高い品質を訴求し、海外、特に東南アジア市場に向けて現地拠点を活用したサービス体制を強化し、競争優位性を高めていく。蒸留事業では、半導体分野向けに高純度で再生溶剤を提供する体制構築として、東北での設備拡充を視野に入れている。株主還元においては安定配当を基本としつつ、配当性向40%、年間配当下限50円を維持しながら、成長投資とのバランスを取る姿勢を示しており、2025年10月期の1株当たり配当金は前期比1円増の52円と増配の見通しである。2030年のビジョンに向けた将来的な価値創造の道筋は明確であり、事業ポートフォリオの多様性、技術優位性、堅実な財務戦略などを背景として、中長期的な収益成長の実現が期待される。



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