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クオールHD Research Memo(8):2026年3月期は3事業すべて増収増益を目指す

*17:08JST クオールHD Research Memo(8):2026年3月期は3事業すべて増収増益を目指す
■クオールホールディングス<3034>の今後の見通し

1. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は売上高で前期比6.1%増の280,000百万円、営業利益で同15.1%増の15,500百万円、経常利益で同12.8%増の15,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同35.5%増の7,000百万円を計画している。グループシナジーを高めながらゼロベースでの経費見直しを行い、3事業すべてで増収増益、利益率の向上を目指す。特に、第一三共エスファを中心とする製薬事業と全国に900店舗を超えるネットワークを構築している薬局事業とのシナジーを創出する考えだ。製薬企業と薬局の間には医薬品卸が入っているが、現状はそれぞれ取引先が異なっており、流通面でのシナジーは活かせていない。ここにメスを入れることができれば、前期まで両事業でそれぞれ抱えていた経営課題も解消し、収益性向上につながるものと期待される。

2025年4月に同社は第一三共エスファの株式を追加取得し、出資比率を51%から80%に引き上げた(取得額72.5億円は手元キャッシュから拠出)。経営面でのグリップを今まで以上に強化することで、こうしたグループシナジーを早期に創出する考えだ。なお、親会社株主に帰属する当期純利益の増益率が経常利益よりも高くなるのは、前期に計上した特別損失が無くなることや、第一三共エスファの出資比率引き上げにより非支配株主に帰属する当期純利益が減少することによる。

(1) 薬局事業
薬局事業の売上高は前期比3%増の1,772億円、営業利益は同14%増の114億円(経営管理料控除前ベース)を見込む。出店計画は、自社出店とM&Aにより合わせて35~50店舗を見込んでいる。また、処方箋枚数は前期比3%増、処方箋単価は薬価改定によるマイナス影響(平均3%程度の下落を想定)を技術料単価の上昇でカバーし、ほぼ横ばい水準を想定している。技術料単価については、2024年6月から新設された医療DX推進体制整備加算や同年10月より導入された選定療養制度によるGE医薬品調剤体制加算の底上げ効果が通年で寄与すること、大手介護施設事業者との連携による在宅調剤の推進などが上昇要因となる。このため、売上高は蓋然性の高い見通しになっていると弊社では見ている。

利益面では、仕入環境の厳しさが続くものの、増収効果に加えて店舗の生産性向上と経費の抑制に取り組むことで増益を見込む。店舗の生産性向上に関しては、2年前から段階的に導入を進めている新型電子薬歴システムが大半の店舗で導入された効果が出てくると見ている。新型システムでは、薬歴等の自動入力や患者のフォローアップ機能があり、生産性向上や顧客サービスの向上によるリピート率アップといった効果が期待されている。また、現在は店舗スタッフが入力している処方箋情報を遠隔地の入力センターにオンラインで送信しリモート入力する「入力サポートプロジェクト」を拡大し、医療スタッフの効率化を進める。ローソン内店舗で5年前から行っていた取り組みを、2026年3月期から一般店舗にも広げていく。電子処方箋やオンライン服薬指導の普及が進む中で、ICT活用による生産性向上の取り組みを強化する方針だ。

そのほか、クオールおくすり便(LINE処方箋送信&オンライン服薬指導)やクオールどこでも薬局(オンライン専門薬局)などICTを活用したサービスを展開することで、顧客数の拡大(処方箋枚数の増加)につなげていく。クオールどこでも薬局については2024年に出店した1号店の処方箋受付枚数が月3~4千枚と大型店舗並みの規模になっていることから、店舗の増設を検討していく。

(2) BPO事業
BPO事業の売上高は前期比の17%増の174億円(内部取引高含む)、営業利益は同35%増の23億円と2ケタ成長を見込む。CSO事業については需要が旺盛なオンコロジー分野を中心にCMRの採用・育成を強化することで増収増益を目指す。CMR数については前期末の約650名に対して2年内に約750名まで増員することを目標としている。また、新たな取り組みとして、パートナー企業と共同で異職種の人材をMR人材として育成するビジネスも開始する。CRO事業では先進的IT技術を持つ企業とのアライアンスやM&Aを行うことで差別化を図り、食品分野における新規顧客・領域の開拓を進める。

医療系人材紹介派遣事業では、育成カリキュラムを仕組み化し、人材のスキルアップに注力することで競合他社との差別化を図るほか、短期間のスポット派遣の需要も掘り起こしながら2ケタ増収増益を目指す。

(3) 製薬事業
製薬事業の売上高は前期比11%増の873億円、営業利益は23%増の65億円を見込んでいる。このうち第一三共エスファについては、薬価引き下げの影響があるものの、前期に発売した新製品や2026年3月期に発売予定の新製品(2~3製品)の寄与により2ケタ増収を見込んでいる。利益面では、原価低減施策として原材料コストの上昇によって不採算となった製品の整理を進めるほか、医薬品卸政策や流通経費を見直していく。また、システム統合費用等の独立化コストの最適化を図るほか、すべての経費をゼロベースで見直し収益性の回復を目指す考えだ。

一方、藤永製薬は体外診断キットの拡大や不採算製品の薬価再算定に伴う利益改善が見込まれており、今後も経営の安定化と持続的成長に向けた成長基盤の構築に取り組んでいく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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