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藤商事 Research Memo(5):2025年7月7日解禁の「LT3.0プラス」でパチンコ遊技機市場の活性化に期待

*12:05JST 藤商事 Research Memo(5):2025年7月7日解禁の「LT3.0プラス」でパチンコ遊技機市場の活性化に期待
■今後の見通し

1. 藤商事<6257>の業界動向と市場シェア
(1) 業界動向
レジャーの多様化や人口減少とともに、遊技機市場は緩やかな縮小傾向をたどってきた。特に2020年以降、コロナ禍による逆風が吹き、外部環境が一段と厳しくなるなかで経営体力のない企業の淘汰が進んでいる。警察庁発表の資料によると2024年末のホール軒数は6,706軒、前年末比で5.3%減と減少率は前年の7.6%減から縮小したものの、依然下げ止まりの兆しが見えない状況にある。パチンコホールの減少に伴い遊技機の設置台数も減少傾向にあり、2024年末でパチンコ・パチスロ遊技機全体では2.9%減の3,324千台となった。1ホール当たりの設置台数は緩やかに上昇しており、中小ホールの淘汰が進んでいることが窺える。

設置台数の内訳は、パチンコ遊技機が同5.2%減の1,969千台となった一方で、パチスロ遊技機は同0.6%増の1,355千台と若干ながら8年ぶりに増加に転じた。これはスマスロでヒット機種が相次いだことにより、スマスロの設置台数を増やす動きが広がったことが背景にある。スマート遊技機は2022年秋から導入が開始されたが、2025年3月末時点でスマスロの普及率が50%弱まで上昇しているのに対して、スマパチは10%台前半の水準に留まっている。スマスロでは顧客支持を集める魅力的な機種が開発され、市場に投入されたのに対して、スマパチは従来機種との差異化が図れず、魅力的な機種を開発できなかったことが普及率の差となって表れている。

こうした状況を打破するため、2025年7月7日からゲーム性が大幅に向上した「LT3.0プラス」が解禁され、各社から「LT3.0プラス」搭載機の投入が予定されている。「LT3.0プラス」の特徴は、当たりとなるバリエーションが広がったことと、大当たり後のゲーム性が緩和され、幅広いゲームシナリオを組み込むことができるようになるなど(=ゲーム性の向上)、商品設計の自由度が増したことで同じ「LT3.0プラス」搭載機でも様々なタイプの機種を開発できるようになった点が挙げられる。業界団体ではスマート遊技機の普及拡大を目指しており、2025年後半以降は「LT3.0プラス」の登場によって、スマパチでヒット機種が相次いで生まれ、普及が加速する可能性があると弊社では見ている。

同社では2025年度の市場見通しについて、業界団体の予測をもとにパチンコ遊技機で前年度比3%増の900千台、パチスロ遊技機で同15%増の750千台を見込んでいる。パチンコ遊技機についてはスマパチの活性化により4年ぶりの増加に転じる見通しだ。また、パチスロ遊技機についてもスマスロの普及拡大によって増加を見込んでいる。

(2) スマート遊技機(スマートパチンコ/スマートパチスロ)について
スマート遊技機と従来の遊技機との大きな違いは、スマパチについては玉が封入され循環式となったこと、スマスロはメダルレスとなったことが挙げられる。ともに遊技に必要な玉やメダルの貸出がなく、電子情報をもとに遊技ができるため、感染防止対策になるほかプレイがしやすく不正防止対策にもなるなどメリットが多い。ホール運営側にとっては初期導入コストが掛かるものの、出玉やメダルの持ち運び、計数管理など店舗スタッフの業務が減少することで人件費の抑制につながる。また玉やメダルの補給装置が不要となるため省スペース化が図れるほか、店舗レイアウトも自由度が増すといったメリットがある。メーカー側にとっては、スマート遊技機で魅力的な新機種を開発しシェアを拡大できる好機となる。

なお、スマート遊技機導入の目的の1つとして、業界の健全化が挙げられる。各遊技機の出玉情報等を新たに設置された第三者機関「遊技機情報センター」で一元管理することで、のめり込み対策や不正防止対策を行う体制を構築している。業界の健全化が進めば、客層の広がりも期待できる。当初は2~4年で大半がスマート遊技機に置き換わると想定していたが、パチンコホール事業者の経営状況が厳しく投資余力が限られるなかで、当初の想定よりも緩やかなペースで導入が進んでいる。

(3) 商品戦略と市場シェアの動向
同社では商品戦略として、ユーザーを年齢層別に分け、各ターゲットに合わせてジャンルを強化している。また、主力タイトルの開発・育成によりラインナップを拡充し、パチンコ・パチスロ遊技機の双方で販売シェア拡大を図る方針だ。特に、最近は若年層を中心に人気のある「アニメ」のIPを活用した新機種の開発に注力し成果に結び付けており、今後もこうした戦略を継続する。

同社の新台販売シェアは人気機種の販売時期によって変動があるものの、パチンコ遊技機は年間4〜5機種のペースでメインスペックの新機種とシリーズ機種の追加スペックを投入しており、ここ数年は7%前後の水準で安定して推移している(2025年3月期は8.5%)。2021年3月期以降は「とある」シリーズが高い人気を継続しており、主力機種としてのブランドを確立したと言える。今後も「ホラー」や「萌え」で継続的な機種開発を進めるほか、「アニメ」ジャンルのラインナップを拡充することで、新台販売シェア10%以上を目指す。

一方、パチスロ遊技機はパチンコ遊技機で販売実績のあるタイトルを中心に年間2〜3機種のペースで新機種を投入してきた。2023年3月期以降はパチンコ遊技機と同様に「アニメ」ジャンルを中心に新機種を投入し、一定の稼働実績を残してきた。特に、2023年3月に発売した「L ゴブリンスレイヤー」がヒットしたことで、パチンコホールからの評価も高まったようだ。こうしたことから、同社はパチスロの開発ラインを増強した結果、2026年3月期以降は3タイトル以上の新機種を投入する方針で、現在3%前後に留まっている新台販売シェアを5%以上に引き上げていく。そのためには、4機種以上の投入が必要となるが、同社では今後もパチスロの開発ラインを一段と増強し、年間4機種以上を安定して投入できる体制を整える方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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