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アクセル Research Memo(7):遊技機器向けビジネス領域の拡大とAI事業育成により高成長を目指す

*13:07JST アクセル Research Memo(7):遊技機器向けビジネス領域の拡大とAI事業育成により高成長を目指す
■今後の見通し

2. 今後の成長戦略
アクセル<6730>は、遊技機器向けファブレス半導体企業から、世の中の革新に貢献する先端テクノロジー企業としてグローバルに活躍する企業へと進化することをビジョンとして掲げている。同ビジョンを実現するために、LSI開発販売関連をキャッシュ・カウとして安定的な収益を確保しながら、AIソリューションを中心とした新規事業関連に資金を投下し、持続的かつ飛躍的な成長を目指す。新規事業関連については、M&A・アライアンス戦略も積極的に推進しながら成長を加速する方針で、中長期的に新規事業関連の収益をLSI開発販売関連と同程度まで育成することを目標としている。とは言え、AIソリューションについては当初の想定よりも立ち上がりが緩やかで、収益化までにはしばらく時間を要すると見られる。このため、中期的には遊技機器市場におけるビジネス領域を拡大することで、収益を成長軌道に戻す考えだ。

(1) LSI開発販売関連
2015年3月期以降の10年間で遊技機器の販売台数は310万台から153万台と約半分に縮小した。参加人口の減少によりホール軒数が2014年末の11,627店から2024年末は6,706店と約6割の水準に減少し、遊技機器の設置台数も同460万台から332万台と約7割の水準まで落ち込んだことが要因だ。ホールの経営環境悪化によって、遊技機器の買い替えサイクルが長期化していること、ギャンブル依存症対策として規制当局が遊技機器の射幸性を抑えるための指導を行ったことも一因となっている。また、2020年以降のコロナ禍も市場縮小に拍車をかけた。ただ、減少率は2022年が店舗数で9.4%減、設置台数で6.6%減と最大であったが、2024年は店舗数で5.3%減、設置台数で2.9%減と減少率は縮小傾向にある。店舗数は今後も減少傾向が続く可能性もあるが、大型店舗の比率が高まる傾向にあるため、遊技機器の年間販売台数については150万台前後の水準で今後も安定して推移すると同社では見ている。

こうしたなか、同社は遊技機器業界向けの売上拡大施策として、既存製品のシェア拡大とそのほかのハードウェア部材への展開に取り組む。直近10年間で同社の遊技機器向け売上高は、2015年3月期の107億円から2025年3月期は148億円に拡大した。G-LSIについては77億円から52億円に減少したものの、その他半導体売上が30億円から96億円に拡大したことによる。主にメモリモジュールの成長によるものだ。

G-LSIの市場シェアは約60%から約55%と若干低下したが、10年間で販売単価は1.7倍上昇したため、売上高の落ち込みは3割強程度に留まった。同社では5年後の市場シェアとして約85%を目標に掲げており、シェア上昇によってG-LSIの売上高を拡大する考えだ。市場シェアが上昇する要因としては、同社製品の性能並びにコストパフォーマンスの高さに加えて、成熟市場で多額の開発投資をかけて新規参入する企業がないこと、また競合メーカーが今後撤退する可能性が出てきたことなどが挙げられる。また、メモリモジュールに関しても市場シェアを現在の約80%から約90%に引き上げる。遊技機器1台当たりのメモリ搭載容量はコンテンツの充実や高精細化等によって年々増加傾向にあるため、安定収益源として期待される。

既存製品のシェア拡大に加えて、電子部品などその他のハードウェア部材の需要も取り込んでいく意向である。これら需要を取り込むことができれば、遊技機器1台当たり売上単価は最大で2倍超に拡大できる余地があり、安定成長が見込めると同社では見ている。そのほかの主なハードウェア部材としては液晶ディスプレイや電子部品などがあり、既存メーカーが存在しているため新規参入は容易ではないものの、既存製品と組み合わせてコストパフォーマンスの良いモジュール製品を開発することでシェアを開拓していくものと予想される。

(2) 新規事業関連
新規事業関連については、AIとWeb3.0領域に注力する。これら領域における市場の成長ポテンシャルが高いこと、また、同社が遊技機市場で培ってきたアルゴリズム・ハードウェア・ソフトウェア等の開発ノウハウや技術力を強みにすることがきる領域と考えているためだ。課題は幅広い業界にアプローチするためのマーケティング・営業力にあるが、同社はM&A・アライアンス戦略を推進することで、こうした課題を解消し成長を加速する考えだ。対象は顧客基盤を有するもののAI技術を持っていないSIerやアプリ開発会社となる。

a) AI領域の取り組み状況
AI領域では、独自開発したエッジ推論向けAIフレームワーク「ailia SDK」の強みを生かして、「aikia SDK」の販売と顧客向けのAI実装支援サービスなどのAIコンピューティング事業に注力するほか、今後は「ailia DX Insight」の拡販やAIアプリ開発支援サービスなどのAIアプリケーション事業を育成する方針だ。「ailia SDK」を使用することで最新モデルを含めた370種類を超える学習モデルがすぐに活用できること、並びに世界最高水準の高速処理を実行できること、またクロスプラットフォームに対応できる長所を生かし、組込み機器メーカーと組んで最適なAIシステムを構築する。AIチップはNVIDIAが圧倒的シェアを握っているが、競合メーカー(インテル、ルネサス エレクトロニクス、Qualcomm、TI、MediaTek等)でも利用が可能でハードウェアに依存しない点も「ailia」の強みと言える。

b) 自動運転向けの取り組み
自動運転領域については、デンソー<6902>が開発するAIアクセラレーターに同社の「ailia SDK」を実装し、ロイヤリティ収入を獲得することを目指している。まずは、工場内で走行する自動搬送車両やショッピングモールの移動車両など走行エリアが限定されるモビリティ市場への展開が想定される。このため、収益に貢献するまでにはしばらく時間を要すると見られる。

c) ブロックチェーン技術(Web3.0)領域
ブロックチェーン技術(Web3.0)領域については、2030年の世界市場規模が800億ドル、年率で43%の高成長が予測されており、コンシューマ用途からビジネス用途まで幅広い分野で普及が見込まれている。同領域においては同社が持つ暗号化技術をベースとした堅牢なセキュリティソリューションを提携戦略により展開する計画である。サイバー攻撃が頻発するなかで、企業活動だけでなく社会インフラの安全性を高めるうえで、暗号化技術によるセキュリティソリューションの重要性が高まっているため、今後、自治体における各種住民サービスや医療情報、インターネットバンキング、ネットワーク監視カメラなどプライバシーの秘匿性が強く求められる分野で利用される可能性があり、今後の提携戦略の動向が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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