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アクセル Research Memo(4):2025年3月期業績は減収減益となるも期初計画は上回る

*13:04JST アクセル Research Memo(4):2025年3月期業績は減収減益となるも期初計画は上回る
■業績動向

1. 2025年3月期の業績概要
アクセル<6730>の2025年3月期の連結業績は売上高で前期比13.2%減の15,244百万円、営業利益で同39.8%減の1,461百万円、経常利益で同37.0%減の1,542百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同44.8%減の978百万円と減収減益決算となった。売上高は4期ぶりの減収、各利益は6期ぶりの減益に転じたことになる。主力の遊技機器向けG-LSIの販売数量が前期比20.3%減の51万個と減少したほか、プロダクトミックスが影響したことが主因だ。ただ、期初計画比では売上高、各利益ともに上回って着地した。期初計画では遊技機器の市場規模(販売台数)を前期比13.0%減の140万台と保守的に見積もっていたが、同5.0%減の153万台※と小幅な減少に留まり、収益源となるG-LSIの販売数量が51万個と期初計画比で4万個上回ったことが主因だ。

※ 同社推計値。

売上原価率は遊技機器向けG-LSIのプロダクトミックスの影響を主因として、前期の68.1%から71.2%に上昇し、売上総利益は同21.6%減の4,388百万円となった。販管費は同244百万円減少の2,926百万円となった。前期に、AI領域での企業認知度向上を目的にテレビCMを含む広告宣伝費を積極的に投下したが、2025年3月期は同様のプロモーションは実施しなかった。加えて業績連動型賞与の減少などもあり、販管費は前期比で減少した。研究開発費については前期比31百万円減の1,547百万円と小幅な減少に留まった。また、営業外収支が前期比58百万円増加したが、受取配当金の増加34百万円や投資事業組合運用益の増加43百万円などが主な増加要因となった。一方、特別損失として投資有価証券売却損125百万円を計上した。


LSI開発販売関連は販売数量の減少とプロダクトミックスの影響が響く
2. 事業セグメント別の動向
(1) LSI開発販売関連
LSI開発販売関連の売上高は前期比12.6%減の14,804百万円、セグメント利益は同29.2%減の2,610百万円となった。製品別売上高を同社が開示している売上構成比から試算すると、G-LSIは前期比8%減の52億円、メモリモジュールを含む周辺LSIが同15%減の96億円となった。

G-LSIは販売数量で約20%減、販売単価で約16%上昇したと見られる。販売単価の上昇はプロダクトミックスの変化(「AG5」から「AG6」へのシフト)による。一方、販売数量については遊技機器市場の落ち込みに加えてリユース率が前期の20%から40%に上昇したことも要因となっている。期初計画ではリユース率25%を想定していたが現在主力の「AG6」は販売単価が高いため、遊技機器メーカー側で従来よりもリユースのニーズが強まったものと考えられる。ただ、業界シェアは約50%から約55%に上昇した。

メモリモジュールについてはメモリ容量の大きい高単価製品が伸びたものの、販売数量で前期比17%減の約82万個と落ち込んだことが減収要因となった。リユース率が前期の20%から30%に上昇したことが減少要因となった。市場シェアは約80%と前期比横ばい水準を維持した。

(2) 新規事業関連
新規事業関連の売上高は前期比30.4%減の440百万円、セグメント損失は495百万円(前期は381百万円の損失)となった。期初計画では新たにリリースしたDXアプリ「ailia DX Insight」の拡販や、AIの受託開発案件の拡大により売上高で750百万円を見込んでいたが、顧客側の事情により大型案件の取引が見送られたこともあり、計画未達となった。損失額が前期比で113百万円膨らんだが、前期に計上した広告宣伝費約1億円がなくなったことを考慮すれば、実質的には2億円程度悪化したと見ることもできる。

新規事業の拡大に向けてアライアンスや大手企業との共同開発など積極的に取り組んでいるものの、まだ種まきの状態が続いている。具体的事例として、2023年5月にWeb3.0関連の要素技術を取り入れたコンテンツ流通基盤ソリューションの研究開発を行う(株)&DC3及びその親会社のセルシス<3663>と戦略的パートナーシップを締結した。同社グループが保有するアプリケーション暗号化技術を使用したライセンス管理ソリューションを共同開発し、これを&DC3のコンテンツ流通基盤に組み込むことでセキュリティ強化と、幅広いコンテンツの流通を可能にするWeb3.0ベースの流通ソリューションの構築を目指している。ただし、Web3.0の普及には時間を要する見通しだ。2024年2月には同社とセルシスが資本業務提携契約を締結し、セルシスが提供するイラスト・マンガ・アニメーション等の制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の機能・サービス向上を支援するなど、クリエイターの創作活動を支援する次世代AI技術の共同開発等も行っている。

2024年9月、(株)エルザ ジャパンの一部モバイルワークステーションモデルに「ailia DX Insight」がプリインストールされたことを発表した。また、電子部品メーカーのケル<6919>が開発するコネクタ用外観検査機には、最先端のAIモデルを活用した同社のAI機能が実装され、少ない学習データで高精度な不良品検知が可能となった。これにより、検査工程の省力化と生産性向上が期待される。さらに、同年12月にはインテルと協力し、「ailia SDK」を用いた高速AI推論の推進を発表した。インテルの組込みAIアクセラレーション・エンジン「Intel XMX」をサポートすることで、RAG※の文書登録処理時間が40%短縮され、より高速な処理が可能となる見込みである。今後はDXアプリ「ailia DX Insight」でも「Intel XMX」のサポートを予定しており、同アプリの拡販に寄与する取り組みとして期待される。

※ RAG(検索拡張生成)とは、信頼性の高い外部情報とLLM(大規模言語モデル)によるテキスト生成を組み合わせて、回答精度を高める自然言語処理(NLP)技術。ChatGPTが事前に学習した大量のテキストデータから回答を生成する技術であるのに対して、RAGは外部データベースや検索エンジンから情報を検索し、その情報を元に回答を生成する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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