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アクセル Research Memo(1):遊技機器市場向けビジネスは安定成長の見込み
2025/06/23 13:01
*13:01JST アクセル Research Memo(1):遊技機器市場向けビジネスは安定成長の見込み
■要約
アクセル<6730>は、パチンコ・パチスロ機(以下、遊技機器)向けグラフィックスLSI(以下、G-LSI)市場で約55%のシェアを握るファブレス半導体メーカーである。LSI開発販売関連で培った開発力を生かして、AI、ブロックチェーン技術(Web3.0)領域の新規事業を展開している。
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比13.2%減の15,244百万円、営業利益で同39.8%減の1,461百万円と減収減益決算となった。遊技機器の市場規模(販売台数)が同5.0%減の153万台と低調に推移したことに加えて、G-LSIやメモリモジュールの販売数量がリユース率の上昇により減少したことが減収要因となった。利益面では、減収に加えてプロダクトミックスの影響により売上総利益率が前期の31.9%から28.8%に低下したことも減益要因となった。ただ、遊技機器向けG-LSIの市場シェアは前期の約50%から約55%に上昇したほか、メモリモジュールも約80%と高水準を維持しており、遊技機器業界においての圧倒的な優位性は変わらない。新規事業関連については、顧客側の事情により大型案件の取引が見送られたことなどにより、売上高で前期比30.4%減の440百万円、セグメント損失で495百万円(前期は381百万円の損失)となった。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は売上高で前期比21.3%減の12,000百万円、営業利益で同31.6%減の1,000百万円を見込んでいる。LSI開発販売関連の売上高が前期比23.7%減の11,300百万円と落ち込むことが要因だ。前提となる遊技機器市場の販売台数は前期比1.3%増の155万台と堅調推移を見込むが、G-LSIのリユース率が前期の40%から50%に、メモリモジュールが同30%から50%に上昇することで販売数量が落ち込み、減収減益要因となる。市場シェアについてはG-LSIが約55%で変わらず、メモリモジュールは約85%に上昇する見込みだ。リユース率の動向については流動的な要素も多く、前期は当初の想定以上に上昇したことから今回は保守的に設定している。遊技機器の出荷台数やリユース率が売上高の変動要因となるため、2025年7月以降の規制緩和によってスマートパチンコ機のヒット機種がどの程度生まれるかに注目したい。一方、新規事業関連については売上高で前期比59.1%増の700百万円、損失額も縮小する見込みとなっている。
3. 今後の成長戦略
同社は成長戦略として、LSI開発販売関連を安定的な収益を獲得するキャッシュ・カウと位置付けるとともに、成長ポテンシャルの高いAI、Web3.0領域などの新規事業関連にリソースを投下し高成長を目指す方針を打ち出してきた。しかしながら、新規事業関連については当初の想定よりも伸び悩んでいるのが実情だ。同社では、引き続き新規事業へのリソース投入を強化する方針だが、同時に遊技機器業界向けのビジネス領域を拡大することで中期的な成長を図ることをIR戦略として新たに打ち出した。遊技機器業界全体は緩やかな縮小傾向が続いているものの、主力のG-LSIやメモリモジュールのシェア拡大に加えて、そのほかのハードウェア部材のビジネスを取り込むことで、最大2倍超の水準まで売上拡大できる余地があり、安定成長が見込めると同社では見ている。収益源となるG-LSIについては競合先が撤退する可能性も浮上しており、市場シェアを現在の約55%から5年後に約85%に引き上げることを目標としている。相対的に収益性の高い新製品の販売も2026年3月期から開始されるため、2027年3月期から業績は拡大基調に転じるものと弊社では見ている。新規事業関連については、M&Aやアライアンス戦略を推進しながら自社製AIフレームワーク「ailia SDK」を軸としたAI実装支援サービスやロイヤリティビジネスを育成する考えだ。
■Key Points
・2025年3月期業績は減収減益となるも期初計画は上回る
・2026年3月期はリユース率を保守的に織り込み減収減益を計画
・遊技機器向けビジネス領域の拡大とAI事業育成により高成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■要約
アクセル<6730>は、パチンコ・パチスロ機(以下、遊技機器)向けグラフィックスLSI(以下、G-LSI)市場で約55%のシェアを握るファブレス半導体メーカーである。LSI開発販売関連で培った開発力を生かして、AI、ブロックチェーン技術(Web3.0)領域の新規事業を展開している。
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比13.2%減の15,244百万円、営業利益で同39.8%減の1,461百万円と減収減益決算となった。遊技機器の市場規模(販売台数)が同5.0%減の153万台と低調に推移したことに加えて、G-LSIやメモリモジュールの販売数量がリユース率の上昇により減少したことが減収要因となった。利益面では、減収に加えてプロダクトミックスの影響により売上総利益率が前期の31.9%から28.8%に低下したことも減益要因となった。ただ、遊技機器向けG-LSIの市場シェアは前期の約50%から約55%に上昇したほか、メモリモジュールも約80%と高水準を維持しており、遊技機器業界においての圧倒的な優位性は変わらない。新規事業関連については、顧客側の事情により大型案件の取引が見送られたことなどにより、売上高で前期比30.4%減の440百万円、セグメント損失で495百万円(前期は381百万円の損失)となった。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は売上高で前期比21.3%減の12,000百万円、営業利益で同31.6%減の1,000百万円を見込んでいる。LSI開発販売関連の売上高が前期比23.7%減の11,300百万円と落ち込むことが要因だ。前提となる遊技機器市場の販売台数は前期比1.3%増の155万台と堅調推移を見込むが、G-LSIのリユース率が前期の40%から50%に、メモリモジュールが同30%から50%に上昇することで販売数量が落ち込み、減収減益要因となる。市場シェアについてはG-LSIが約55%で変わらず、メモリモジュールは約85%に上昇する見込みだ。リユース率の動向については流動的な要素も多く、前期は当初の想定以上に上昇したことから今回は保守的に設定している。遊技機器の出荷台数やリユース率が売上高の変動要因となるため、2025年7月以降の規制緩和によってスマートパチンコ機のヒット機種がどの程度生まれるかに注目したい。一方、新規事業関連については売上高で前期比59.1%増の700百万円、損失額も縮小する見込みとなっている。
3. 今後の成長戦略
同社は成長戦略として、LSI開発販売関連を安定的な収益を獲得するキャッシュ・カウと位置付けるとともに、成長ポテンシャルの高いAI、Web3.0領域などの新規事業関連にリソースを投下し高成長を目指す方針を打ち出してきた。しかしながら、新規事業関連については当初の想定よりも伸び悩んでいるのが実情だ。同社では、引き続き新規事業へのリソース投入を強化する方針だが、同時に遊技機器業界向けのビジネス領域を拡大することで中期的な成長を図ることをIR戦略として新たに打ち出した。遊技機器業界全体は緩やかな縮小傾向が続いているものの、主力のG-LSIやメモリモジュールのシェア拡大に加えて、そのほかのハードウェア部材のビジネスを取り込むことで、最大2倍超の水準まで売上拡大できる余地があり、安定成長が見込めると同社では見ている。収益源となるG-LSIについては競合先が撤退する可能性も浮上しており、市場シェアを現在の約55%から5年後に約85%に引き上げることを目標としている。相対的に収益性の高い新製品の販売も2026年3月期から開始されるため、2027年3月期から業績は拡大基調に転じるものと弊社では見ている。新規事業関連については、M&Aやアライアンス戦略を推進しながら自社製AIフレームワーク「ailia SDK」を軸としたAI実装支援サービスやロイヤリティビジネスを育成する考えだ。
■Key Points
・2025年3月期業績は減収減益となるも期初計画は上回る
・2026年3月期はリユース率を保守的に織り込み減収減益を計画
・遊技機器向けビジネス領域の拡大とAI事業育成により高成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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