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アジア投資 Research Memo(4):ファンドビジネスの強化によりAUM拡大と安定収益の積み上げを目指す(1)

*11:04JST アジア投資 Research Memo(4):ファンドビジネスの強化によりAUM拡大と安定収益の積み上げを目指す(1)
■中期経営計画の方向性

日本アジア投資<8518>は新体制の下、2024年8月に3ヶ年の中期経営計画を公表した。事業領域を「投資開発事業(実物資産投資)」「投資運用事業(有価証券投資)」「ファンド・プラットフォーム事業(ファンド事務受託)」の3つに再定義し、新たな事業方針に基づいて事業を拡大する考えだ。また、外部環境及び収益機会を整理したうえで、補完・代替可能な事業ポートフォリオを構築し、様々な経済環境に対応できる投資資産及び金融商品の開発・運用を行っていく。これまでとの大きな違いは、ファンドの組成や融資の調達により外部資金を活用した投資を徹底するところにある。今まではファンドの設立ができなかったことから自己資金による投資(プロジェクト投資や戦略投資先へのPE投資)を行い、融資資金の活用も十分ではなかった。今後は国内外の投資家への魅力ある投資機会や投資サービスを提供するファンドビジネスとしての方向性をより強く打ち出す考えだ。自己資金による投資を抑制・圧縮する一方で、投資開発事業・投資運用事業のAUMを増加させ、AMフィーによる安定収益を積み上げるとともに、財務の健全化をさらに進める。

1. 事業方針と1年目の進捗
(1) 投資開発事業
エネルギー価格の高騰や労働力不足によるインフレ圧力、さらには金利上昇などをめぐり先行き不透明な経済情勢が続くなか、インフレヘッジ特性及びディフェンシブ特性を持ちあわせているプライベート・リアルアセットは、投資家にとって有力な分散投資先となるだけでなく、責任投資目標※の達成にも貢献する。同社では、融資調達やファンド組成によるエクイティ調達を基本とし、再生可能エネルギーなどのインフレヘッジ特性と、ヘルスケアやインフラなどのディフェンシブ特性を持つプライベートな実物資産を積み上げ、ファンドビジネスへと拡張する方針である。この収益モデルは、AMフィーによる安定収益を確保しつつ、資産売却時の一時的なキャピタルゲイン(同社持分)によるアップサイドも追求するものである。

※ 機関投資家の投資の意思決定や株主行動において、環境(Environment)や社会(Social)、ガバナンス(Governance)といったESG要素を考慮することが求められている。たとえば、今回の障がい者グループホームを裏付けとするソーシャルプロジェクトボンドへの投資などが含まれる。

KPIとなるAUMについては、最終年度までに累計150億円の積み上げ(新規獲得分)を目指している。1年目の2025年3月期は、14億円の積み上げ(新規獲得分)にとどまったものの、最終年度計画に見直しはない。

(2) 投資運用事業
国内外の機関投資家、ファミリーオフィス、富裕層向けに、伝統的及び非伝統的な両資産クラスにおいて、同社の強みを生かした手法により資産運用サービス・金融商品を提供する方針である。

伝統的資産(上場株式・社債等)については、企業側の需要も高まっているバイアウト(TOB、MBO、MEBO)やPIPEs(上場会社に対する私募増資)にかかるファンドを組成する。これにより、国内投資家だけでなく、日本市場へのアクセスが困難な海外投資家(事業会社)に対して、金融商品にとどまらない独占的な投資サービスを提供する考えだ。非伝統的資産(PEファンド、ベンチャーバイアウト等)については、ベンチャーファンドを組成・運営で培ったノウハウや、アジア・中国を中心とした海外進出支援、M&A仲介業務など、同社が提供してきたソリューションを生かし、ベンチャーバイアウト※1、M&Aファンド※2、RBO※3等に取り組む方針である。

※1 ベンチャー企業の株式を一定以上買い取ることで経営に関与し、ハンズオン支援によるバリューアップを行う。
※2 国内中堅企業やベンチャー企業のM&Aによる成長を支援するため、その成長戦略に沿って同社が投資先のソーシングから外部資金の調達、エグゼキューションまで行うファンドを組成する。
※3 Regional Buy Outの略。不安定な株主構成や脆弱な財務体力、少子高齢化に伴う商圏(市場)縮小などに直面する地方の企業に対してエグジット先を地元の大企業や経営陣・従業員・創業ファミリーなどに特定し、事業の継続と経営の一貫性を守りながら非上場化を円滑に行う。

投資運用事業もAMフィーによる安定収益を確保しつつ、成功報酬(運用成績が一定水準を上回った場合に支払われる報酬)及び資産売却時の一時的なキャピタルゲイン(同社持分)によるアップサイドを追求する収益モデルである。

KPIとなるAUMについては、最終年度までに累計300億円の積み上げ(新規獲得分)を目指している。初年度となる2025年3月期は4本のファンド組成による15億円の積み上げ(新規獲得分)にとどまったものの、最終年度計画に見直しはない。

(3) ファンド・プラットフォーム事業
ファンド・アドミニストレーターとして長年の実績を有するジャイク事務サービス(株)(以下、JBS)にて、ファンド運営のミドル・バック業務のソリューションを提供している。

ファンドの事務受託を専業として行う事業会社は数少なく、会計事務所が主な競合先となっている。しかし、CVCを含むVCファンドの組成が増加基調にあるなかで、ミドル・バック業務のアウトソースに関するニーズは大きい。JBSは、経理に特化した会計事務所とは異なり、より包括的なソリューションを提供することで差別化を図っている。

事務受託料を安定的な収益源とするこのビジネスモデルでは、事務受託本数やAUAがKPIとなる。最終年度に事務受託本数80本、AUA残高4,000億円を目指している。初年度の事務受託本数は65本、AUA残高は2,690億円と計画を若干下回ったものの、最終年度計画に見直しはない。

2. 事業ポートフォリオの方向性
上記の事業方針に基づき、経済環境の変化に応じて収益を確保できる事業ポートフォリオを構築する方針である。具体的には、経済環境を「高インフレ・高成長」「低成長・高インフレ」「低成長・低インフレ」「高成長・低インフレ」の4つの事象に分けた。そのうえで、「高インフレ・高成長」では伝統的資産(上場株式・社債等)、「低成長・高インフレ」ではインフレヘッジ特性を持つエネルギー分野(蓄電所・再エネ等)、「低成長・低インフレ」ではディフェンシブ特性を持つインフラ分野(物流施設等)及びヘルスケア分野(障がい者グループホーム等)、「高成長・低インフレ」では非伝統的資産(PEファンド、ベンチャーバイアウト等)を主な投資対象とし、様々な経済環境(景気循環)に対応したバランスのとれた投資を行う考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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