フィスコニュース
井村屋グループ:和菓子の革新者、過去最高業績で更なる成長へ
2025/06/10 13:40
*13:40JST 井村屋グループ:和菓子の革新者、過去最高業績で更なる成長へ
【会社概要】
井村屋グループ<2209>は、1896年に三重県津市で創業された老舗食品メーカーである。持株会社体制のもと、菓子・食品・デイリーチルド・冷菓、冷凍食品、点心・デリ、調味料など幅広い食品事業を展開し、製造・販売の両面で高い独自性を有する。とりわけ、主力商品「あずきバー」は国民的定番商品として年間販売数3億本を超え、冷菓市場で確固たる地位を築く。また、同社は大福やおはぎといった伝統菓子に現代的要素を加え、冷凍和菓子を革新し続けてきた点も特筆に値する。商品開発においては健康・機能性・保存性といった社会的ニーズを捉えつつ、独自ブランドの深化を図っている。さらに、ECや海外展開も進めており、国内外でブランド価値の向上に取り組んでいる。伝統に裏打ちされた製品力と、持続的成長を見据えた戦略的経営が両立している点が同社の特長である。
【2025年3月期連結業績】
2025年3月期の連結業績は、売上高51,121百万円(前期比6.0%増)、営業利益3,005百万円(同18.5%増)、経常利益3,169百万円(同9.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,198百万円(同13.9%増)と、主要指標すべてで前年を上回った。主力の冷菓カテゴリーは「あずきバー」シリーズの販売が堅調で、販売本数は3億2,900万本に達し、売上高は16,772百万円(同7.6%増)と全社業績を牽引した。
菓子カテゴリーでは、ようかんや冷凍和菓子製品の販路拡大が奏功し、9,032百万円(同25.3%増)と2桁の伸びを示した。特に、2024年度は震災による防災意識の高まりから備蓄用羊羹「えいようかん」の販売が好調であった点が注目される。同商品は通常1年の賞味期限を5年6ヶ月まで伸ばした商品であり、阪神大震災以降継続して開発してきた備蓄用菓子の開発成果が現れた格好だ。一方で、点心・デリカテゴリーは気温の高止まりによる消費減退の影響を受け、9,301百万円(同6.3%減)と減収となったが、調味料やその他カテゴリーでのカバーにより、全体としてはバランスの取れた構成を維持した。財務面では、自己資本比率が60.3%と前期の55.1%から向上し、財務健全性が更に高まった。営業利益率は5.9%と着実に水準を引き上げており、収益性の強化もうかがえる好決算であった。
【成長戦略】
2024年度から2026年度を対象とした中期経営計画「Value Innovation 2026」を推進し、長期ビジョンである「世界中の人に“おいしい!の笑顔”を届けるグローバル食品カンパニー」の実現を目指している。この計画では、人的資本の強化、付加価値商品の創出、グローバル展開の加速、利益体質と財務基盤の強化、サステナブル経営の深化を重点項目として掲げている。
特に、主力商品である「あずきバー」シリーズの需要増加に対応するため、2025年5月に三重県津市の津工場内に新たなアイス工場の建設を発表した。この新工場は、鉄骨造2階建て、延べ面積2,276.61平方メートルで、約40億円を投じて建設され、2026年6月の竣工を予定している。新工場の稼働により、バーラインの生産能力は従来比1.3倍となり、年間4億本の「あずきバー」供給体制を確立することを目指している。また、エネルギー効率の向上や省人化、包装形態の多様化、環境負荷の低減など、持続可能な生産体制の構築にも注力している。
海外展開においては、北米やアジア市場を中心に輸出を強化し、現地の食文化や健康志向に即した製品の企画・供給体制を整備している。2026年度には、海外売上高比率8.8%の達成を目標としており、グローバル市場でのプレゼンス拡大を図っている。
財務目標としては、2026年度に売上高55,000百万円、営業利益3,300百万円、営業利益率6.0%を掲げており、非財務目標としては、温室効果ガス排出量および廃棄物量の2023年度比30%削減、女性管理職比率30%以上の達成を目指している。これらの目標を統合的に開示し、ステークホルダーとの対話を深化させる姿勢も評価される。
【株主還元】
株主還元については、2025年3月期の年間配当金を1株当たり36円(前期比5円増)とし、配当性向は21.4%となった。2026年3月期も同水準の36円配当を予定しており、予想配当性向は20.5%となる見込みである。また、株主優待については100株以上の保有株主から対象にしており、井村屋商品ギフトやセレクトギフトを進呈し、長期保有を促すインセンティブとして機能している。
同社は、伝統ある和菓子メーカーとしての強みに加え、冷菓や冷凍食品市場での先進的な製品戦略と、グローバル展開・サステナビリティ経営の推進により、盤石な経営基盤を有している。業績は過去最高を更新し、配当も安定的に拡充しており、今後も収益性と社会的価値の両立を図る企業として注目していきたい。
<HM>
【会社概要】
井村屋グループ<2209>は、1896年に三重県津市で創業された老舗食品メーカーである。持株会社体制のもと、菓子・食品・デイリーチルド・冷菓、冷凍食品、点心・デリ、調味料など幅広い食品事業を展開し、製造・販売の両面で高い独自性を有する。とりわけ、主力商品「あずきバー」は国民的定番商品として年間販売数3億本を超え、冷菓市場で確固たる地位を築く。また、同社は大福やおはぎといった伝統菓子に現代的要素を加え、冷凍和菓子を革新し続けてきた点も特筆に値する。商品開発においては健康・機能性・保存性といった社会的ニーズを捉えつつ、独自ブランドの深化を図っている。さらに、ECや海外展開も進めており、国内外でブランド価値の向上に取り組んでいる。伝統に裏打ちされた製品力と、持続的成長を見据えた戦略的経営が両立している点が同社の特長である。
【2025年3月期連結業績】
2025年3月期の連結業績は、売上高51,121百万円(前期比6.0%増)、営業利益3,005百万円(同18.5%増)、経常利益3,169百万円(同9.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,198百万円(同13.9%増)と、主要指標すべてで前年を上回った。主力の冷菓カテゴリーは「あずきバー」シリーズの販売が堅調で、販売本数は3億2,900万本に達し、売上高は16,772百万円(同7.6%増)と全社業績を牽引した。
菓子カテゴリーでは、ようかんや冷凍和菓子製品の販路拡大が奏功し、9,032百万円(同25.3%増)と2桁の伸びを示した。特に、2024年度は震災による防災意識の高まりから備蓄用羊羹「えいようかん」の販売が好調であった点が注目される。同商品は通常1年の賞味期限を5年6ヶ月まで伸ばした商品であり、阪神大震災以降継続して開発してきた備蓄用菓子の開発成果が現れた格好だ。一方で、点心・デリカテゴリーは気温の高止まりによる消費減退の影響を受け、9,301百万円(同6.3%減)と減収となったが、調味料やその他カテゴリーでのカバーにより、全体としてはバランスの取れた構成を維持した。財務面では、自己資本比率が60.3%と前期の55.1%から向上し、財務健全性が更に高まった。営業利益率は5.9%と着実に水準を引き上げており、収益性の強化もうかがえる好決算であった。
【成長戦略】
2024年度から2026年度を対象とした中期経営計画「Value Innovation 2026」を推進し、長期ビジョンである「世界中の人に“おいしい!の笑顔”を届けるグローバル食品カンパニー」の実現を目指している。この計画では、人的資本の強化、付加価値商品の創出、グローバル展開の加速、利益体質と財務基盤の強化、サステナブル経営の深化を重点項目として掲げている。
特に、主力商品である「あずきバー」シリーズの需要増加に対応するため、2025年5月に三重県津市の津工場内に新たなアイス工場の建設を発表した。この新工場は、鉄骨造2階建て、延べ面積2,276.61平方メートルで、約40億円を投じて建設され、2026年6月の竣工を予定している。新工場の稼働により、バーラインの生産能力は従来比1.3倍となり、年間4億本の「あずきバー」供給体制を確立することを目指している。また、エネルギー効率の向上や省人化、包装形態の多様化、環境負荷の低減など、持続可能な生産体制の構築にも注力している。
海外展開においては、北米やアジア市場を中心に輸出を強化し、現地の食文化や健康志向に即した製品の企画・供給体制を整備している。2026年度には、海外売上高比率8.8%の達成を目標としており、グローバル市場でのプレゼンス拡大を図っている。
財務目標としては、2026年度に売上高55,000百万円、営業利益3,300百万円、営業利益率6.0%を掲げており、非財務目標としては、温室効果ガス排出量および廃棄物量の2023年度比30%削減、女性管理職比率30%以上の達成を目指している。これらの目標を統合的に開示し、ステークホルダーとの対話を深化させる姿勢も評価される。
【株主還元】
株主還元については、2025年3月期の年間配当金を1株当たり36円(前期比5円増)とし、配当性向は21.4%となった。2026年3月期も同水準の36円配当を予定しており、予想配当性向は20.5%となる見込みである。また、株主優待については100株以上の保有株主から対象にしており、井村屋商品ギフトやセレクトギフトを進呈し、長期保有を促すインセンティブとして機能している。
同社は、伝統ある和菓子メーカーとしての強みに加え、冷菓や冷凍食品市場での先進的な製品戦略と、グローバル展開・サステナビリティ経営の推進により、盤石な経営基盤を有している。業績は過去最高を更新し、配当も安定的に拡充しており、今後も収益性と社会的価値の両立を図る企業として注目していきたい。
<HM>




