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東洋建設:海洋土木に強みを持つマリコン大手、洋上風力と海外展開で次なる成長へ

*11:18JST 東洋建設:海洋土木に強みを持つマリコン大手、洋上風力と海外展開で次なる成長へ
東洋建設<1890>は、海洋土木に強みを持つ総合建設会社である。「海の東洋」とも呼ばれる同社は、1929年の創業後、大阪・神戸地区で埋め立て事業を開始、これが同社の海洋土木に関する専門性の基礎となった。同社はマリコン(マリンコントラクター)として、埋立・浚渫工事、護岸工事などを得意とし、作業船も10隻以上保有している。自社保有の作業船を持つ代表的なマリコンは、同社と五洋建設<1893>、東亜建設工業<1885>があげられる。

主力の国内土木事業は、売上の約7割を公共事業が占めており、マリコン大手の一角として、国家的プロジェクトや大規模災害復旧工事など、社会インフラの根幹を担う案件において豊富な実績を有している。海洋土木技術を強みに、潮流発電設備や外洋施設の建設など先進的な取り組みも進める一方、港の岸壁修復など能登半島地震からの復旧工事など、防災・減災への取り組みにも積極的だ。国内建築事業は、物流施設や生産施設を主力とし、安定的な顧客基盤と高いリピート率を誇る。既存建物の改修・用途転換への対応として独自のサービス(ReReC(R)事業)を展開しつつ、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)・ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の提案による省エネ建築の普及、ICT技術の導入による省力化・省人化にも注力している。海外建設事業は、フィリピンにおける半世紀以上の実績を基盤とし、港湾整備や河川改修など多様な分野で同国のインフラ整備に貢献してきた。ODA案件に加え民間物流施設や生産施設の受注にも注力し、基盤を強化する方針だ。なお、同社のフィリピン現地法人は、日系ゼネコンの中でトップシェアを確立している。

2025年3月期における同社の連結決算は、売上高が前期比7.6%減の172,605百万円となったが、営業利益は11,651百万円(前期比7.0%増)、経常利益は11,071百万円(同10.1%増)、当期純利益は8,311百万円(同18.5%増)と増益を確保。建設資材価格の高止まりや労務費の上昇などの逆風がある中、国内建築事業が高採算案件の増加により営業利益を前期比50.2%増と大幅に伸ばしたことが寄与した。2026年3月期の連結業績予想は、売上高が200,000百万円(前期比15.9%増)、営業利益が12,000百万円(同3.0%増)、経常利益が11,100百万円(同0.3%増)、純利益が8,500百万円(2.3%増)。受注高が前年および期初予想を超過、繰越高も過去10年で最高水準となっており、大幅増収を見込んでいる。洋上風力関連の先行投資や人件費増加などにより販管費は増えるが、増収効果で吸収し、利益成長を維持する見通しである。

東洋建設は、2024年3月期から2028年3月期を対象とする5ヶ年の中期経営計画を策定し、「守りから攻めへ」「高収益モデルへの転換」「資本効率経営への転換」の三本柱のもと、経営の抜本的転換を進めている。成長分野としては、洋上風力建設事業への本格参入と海外建設事業の拡大を掲げる。洋上風力建設事業では、2028年3月期からの本格参入を予定、投資総額300億円の自航式ケーブル敷設船の建造や海底ケーブル埋設機の導入、独自技術による基礎工法の開発を推進しているほか、商船三井<9104>との合弁会社を通じた維持管理事業への参画も計画中だ。海外建設では、フィリピンを中心に民間工事の受注を拡大し、インドネシアなどでも事業展開を進めていく。2028年3月期には、売上高2,377億円、営業利益153億円、ROE12.0%以上を目標として掲げている。

株主還元については、2024年3月期から2026年3月期までは配当性向100%、1株当たり50円を下限とする方針を示しており、2025年3月期の年間配当は1株あたり88円(配当性向は99.4%)と増配となった。2027年3月期以降は配当性向を40~60%としつつ、1株当たり50円を下限とした還元を継続する方針だ。成長が見込まれる洋上風力建設事業への大型投資など、成長投資と株主還元のバランスを図り株主価値の向上を図る考えである。

マリコンとして土木・建築事業に独自の強みを持ち、洋上風力建設や海外インフラへの取り組みという明確な成長戦略に積極的に取り組む同社には、収益基盤の多様化と持続的な成長が期待できよう。長年にわたり培ってきた海洋土木の高度な専門性を核に、国内外で戦略的に事業を拡大する同社の今後の展開には注目しておきたい。



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