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加藤製作所 Research Memo(7):「株主などのステークホルダーを意識した経営」を最優先課題として企業価値向上

*11:07JST 加藤製作所 Research Memo(7):「株主などのステークホルダーを意識した経営」を最優先課題として企業価値向上
■成長戦略

1. 新中期経営計画(2025~2027)
加藤製作所<6390>は2025年3月に中期経営計画(2025〜2027)を策定し、テーマを「飛躍、そして次の時代へ」とした。基本方針は企業価値の向上、成長戦略の推進と有効投資、収益性の更なる向上、サステナビリティ経営の実践の4つである。計数計画には最終年度2028年3月期の売上高790億円、営業利益36億円、営業利益率4.5%、ROE8.0%を掲げた。なお次期中期経営計画では売上高1,000億円超、営業利益率5%以上を目指す。

重点施策として、企業価値の向上では現状の市場評価を受け止め、PBR1倍割れの解消を目指して重点領域への集中投資及び低ROIC事業の戦略再構築(インド事業開始、中国事業撤退など)により収益性と資本効率の向上を図るとともに資本市場との対話促進や株主還元の強化なども推進し、株主資本コスト(現状想定7.5%程度)を上回るROE8.0%、WACC(現状想定4.5%程度)を上回るROIC5.0%の実現を目指す。なお、株主還元については1株当たり配当金の下限を70円に設定し、一過性の損益を除いた経常利益の30%を目安に配分する方針だ。また資本政策を加味しつつ、発行済株式数の5%を目安にした自己株式取得も検討する。

成長戦略の推進と有効投資では、業績伸長に向けた事業力強化・拡大を推進する。具体的な取り組みとして国内では営業・サービス拠点の再編、マーケティング強化、環境配慮型製品の開発・市場投入、工場のDX化推進など、海外ではインド事業の確立、インドを起点にしたアジア・中東での販売拡大、販売ネットワークの強化・拡充などを推進する。インドではACEと合弁会社設立に向けた協議を進めており、欧州ではイタリアのKATO IMERへの出資比率を高めた。日本国内での研究開発強化と生産設備への投資、アジア展開拠点のインドへのシフト、欧州市場での競争力強化、北米での販売ネットワーク強化などにより、グループシナジーを高めてグローバル展開を加速する方針だ。なお海外売上高比率について本中期経営計画では30%超、次期中期経営計画では40%超を目指す。

収益性の更なる向上では、付加価値の提供としてマーケットインによる新機種投入や製品ラインナップ拡充、HV型建設用クレーンや電動型小型建機など環境配慮型製品の市場投入、遠隔操作・自動運転・画像処理といった新技術・新機能の強化、サービス拠点の再編や物流の強靭化を推進する。製造コスト・間接費用の削減としては開発プロセス強化による部品点数削減、生産体制見直しと生産設備投資による生産効率改善、サプライチェーンの拡充、インドにおける低コストモデル製品の開発、全社的な業務効率化などを推進する。

サステナビリティ経営の実践では、5つのマテリアリティ(「社会を豊かにするイノベーションの創出」「持続可能な地球環境への貢献」「働きがいのある職場づくり」「サプライチェーンの強化」「責任ある組織体制の確立」)に取り組むことで、あらゆるステークホルダーから共感と支持を得られる企業を目指す。環境配慮型製品の開発では、建機のサイズに合わせて環境配慮モデルを順次投入し、2050年度にカーボンニュートラルを目指す。一方、2026年1月には群馬工場に太陽光パネルを設置予定である。これらの省エネ活動の取り組みによって、2030年度での達成目標に掲げている2018年度比CO2排出量38%削減を2026年度に前倒し達成する見込みだ。また社会貢献活動としては能登半島地震復興支援として、ショベルカーの無償講習や日本航空大学校 石川への建機寄贈などを行っている。


株主還元を強化

2. 株主還元策
株主還元については新中期経営計画で、1株当たり配当金の下限を70円に設定し、一過性の損益を除いた経常利益の30%を目安に配分する方針とした。この方針に基づいて2026年3月期の配当予想は前期と同額の70.0円(第2四半期末35.0円、期末35.0円)とした。予想配当性向は68.4%となる。また、2025年5月14日付で自己株式取得(上限400,000株または600百万円、取得期間2025年5月15日~8月29日)を発表した。今後も業績拡大に伴って株主還元の一段の強化が期待できると弊社では考えている。


インド事業の進捗等に注目

3. 弊社の視点
同社は前中期経営計画において、最優先課題を収益性改善として各種取り組みを推進した。最終年度2025年3月期は一過性要因の影響で当期純損失となったが、前中期経営計画期間中において営業損益の黒字定着化を実現した。そして新中期経営計画では、インドを起点とするアジア展開、競争力強化や収益性向上の推進に加えて、株主還元の強化も打ち出した。こうした「株主などのステークホルダーを意識した経営」を評価するべきだろうと弊社では考えている。ただし、企業価値の向上には持続的な利益成長が欠かせないだけに、新製品開発・販売の強化、インド事業の立ち上げ、欧州事業の立て直しなど、成長戦略の進捗に引き続き注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)



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