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シュッピン Research Memo(4):2025年3月期も「カメラ事業」が順調に拡大し、業績全体の伸びをけん引

*12:34JST シュッピン Research Memo(4):2025年3月期も「カメラ事業」が順調に拡大し、業績全体の伸びをけん引
■シュッピン<3179>の決算概要

1. 2025年3月期決算の概要
(1) 決算の概要
2025年3月期の業績は、売上高が前期比7.8%増の52,658百万円、営業利益が同1.6%増の3,396百万円、経常利益が同0.7%増の3,368百万円、当期純利益が同13.0%減の2,020百万円と、当期純利益を除いて増収増益となり、過去最高業績を連続更新した。ただ計画に対しては、売上高・各利益ともに下回った。

主軸の「カメラ事業」がECを中心として順調に拡大し、業績全体の伸びをけん引した。女性や若年層など市場の広がりが進むなかで、AI活用によるOne to Oneマーケティングや動画配信を中心とするコンテンツの充実、ポイントプログラムバリューアップ施策が奏功したほか、人気機種の後継機の発売も追い風となった。「時計事業」は2024年7月まで好調であったものの、8月以降は円高基調に伴うインバウンド減少や短期的な為替変動の影響などを受けて軟調に転じ、計画を下振れた。

利益面では、システム強化による運営費や売上高連動に伴う支払手数料など販管費が増加したものの、増収による収益の底上げにより、営業増益を確保した。計画を下回ったのは、「カメラ事業」における一過性の要因※による売上総利益率の低下と、為替変動の影響を受けた「時計事業」の下振れが主因である。営業利益率も6.5%(前期は6.8%)と若干低下した。また、当期純利益のみ減益となったのは、ソフトウェア資産の減損(特別損失)によるものである。

※ AIMDのチューニングに伴う一時的な不安定化によるもの(すでに正常化)。

財政状態については、現金及び預金の増加や「商品」在庫の積み増し、さらにはコンテンツ強化に向けたスタジオ新設、レディースブランドサロン「BRILLER」のフロア拡張などにより、総資産は前期末比12.6%増の18,088百万円に拡大した。特に、成長の源泉となる「商品」在庫については同7.6%増の9,969百万円を確保することができた。自己資本も内部留保の積み増しなどにより同23.0%増の10,167百万円に拡大し、自己資本比率も56.2%(前期末は51.5%)に改善した。一方、有利子負債についても同4.4%増の4,494百万円に増加した。

(2) 売上総利益率及び販管費の状況
2025年3月期の売上総利益率(全体)は、「カメラ事業」における一時的な売上総利益率の低下などがあったものの、利益率の高い「カメラ事業」がミックスの良化により順調に伸びたことでカバーし、前期と同水準(18.7%)を確保することができた。販管費についてはシステム投資に係る業務委託費のほか、売上高連動の販売促進費、クレジット利用手数料などが増加し、販管費率は12.3%(前期は11.8%)と、若干上昇したが、引き続き低い水準を維持している。

2. 事業別の業績
(1) カメラ事業(EC比率:84.6%)
売上高は前期比12.5%増の41,237百万円、セグメント利益は同6.2%増の4,559百万円とECを軸に順調に拡大した。女性や若年層など市場の広がりが進むなかで、AIMDやAIコンテンツレコメンドといったAI活用によるOne to Oneマーケティングや動画配信を中心としたコンテンツの充実、新たに開始したポイントプログラムのバリューアップ※などが奏功した。また、人気機種の後継機の販売も追い風となったようだ。特にYouTubeコンテンツについては、3つの撮影スタジオを自社内に開設したことで制作効率も上がり、新規視聴者数は2ケタ成長が継続したほか、新たに若年層などの視聴者の獲得も進んだ。また、LINE配信数も2022年の強化実施から17倍に伸長した。利益面では、AIMDのチューニングに起因する売上総利益率の一時的な低下があったが、増収がそれを上回り、増益を維持した。結果として、セグメント利益率は11.1%となり、前期(11.7%)からの低下幅は限定的にとどまった。

※ ポイントを使用して購入してもポイントが付与される仕組みに見直した。

(2) 時計事業(EC比率:46.2%)
売上高は前期比7.5%減の10,156百万円、セグメント利益は同1.0%減の439百万円と減収減益となった。2025年7月までは高級機械式腕時計の価格相場が比較的安定して推移したことから、「時計事業」の業績も順調に滑り出したが、8月以降は世界的な株価下落や円高基調に伴うインバウンド減少のほか、短期的な為替変動に伴う影響もあり、計画を下回る減収となった。利益面でも、AIサポートMDの効果を含む利益重視の販売を継続したものの、減収による収益の押し下げにより減益となった。セグメント利益率は7月まで好調だったこともあり、4.3%(前期は4.0%)を確保した。

(3) 筆記具事業(EC比率:73.1%)
売上高は前期比7.7%増の466百万円、セグメント利益は同8.1%増の67百万円と増収増益となった。EC・店舗それぞれが堅調に推移し、売上、利益ともに着実な成長を実現した。

(4) 自転車事業(EC比率:92.8%)
売上高は前期比3.7%増の797百万円、セグメント利益は同58.4%減の19百万円と増収ながら減益となった。免税売上が減少したものの、EC売上は好調に推移し2ケタ成長を達成した。利益面では、新規顧客の開拓を含めた戦略的なモール販売の強化によりモール利用手数料が上昇し、減益となった。

3. グローバル展開
越境ECについては、これまで「カメラ事業」において2017年8月に「Map Camera」にて世界最大級のオンライン・マーケットプレイス「eBay」へ出店したほか、「時計事業」においては「GMT」が2019年5月に世界最大級の高級腕時計マーケットプレイス「Chrono24」、2020年7月には「eBay」にそれぞれ出店すると、2022年には海外向け販売サポートサービス「Buyee Connect」※1を導入し、事業拡大に向けた体制を着実に整えてきた。サービスの質を重視した展開が奏功し、海外において同社のブランドが広く認知されつつある。特に「Map Camera」は、「eBay Japan Awards 2024」※2にて販売実績や顧客満足度などの総合的評価トップのセラーに贈られる「Seller of the Year」を3年連続で獲得した。2025年3月期の越境EC売上高は、「eBay」でオーストラリアへの取扱商品を拡充したことも奏功し、前期比2.5%増の3,368百万円に伸長した。2026年3月期に入ってからは、「eBay」にてカナダ、ドイツへの出店も開始した。米国関税問題の影響が懸念されるなか、欧州での販売強化を狙いとしている。

※1 BEENOS<3328>の連結子会社であるBeeCruise(株)が運営する海外向け購入サポートサービス。
※2 イーベイ・ジャパン(株)が運営する「eBay(イーベイ)」において、上位の販売実績や顧客満足度などを達成した日本のセラー(販売者)を表彰する賞。顧客満足度では約32万件のフィードバック中、99.9%のポジティブフィードバックを獲得中である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



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