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フライヤー:ビジネス書の要約サービス「flier」提供、エンタープライズ向け好調で営業黒字転換

*13:12JST フライヤー:ビジネス書の要約サービス「flier」提供、エンタープライズ向け好調で営業黒字転換
フライヤー<323A>は、ビジネス書の要約サービス「flier(フライヤー)」を法人および個人向けに提供している。セグメントは、法人向けの「エンタープライズ事業」と個人向けの「コンシューマ事業」の2つに分かれており、2025年2月期の売上高構成比はエンタープライズ事業が72.1%、コンシューマ事業が27.9%でエンタープライズ事業が中核を担っている。

エンタープライズ事業の法人向けサービス「flier business」では、従業員の自律的学習の推進を行い企業の学習文化形成を支援、1冊約10分で読めるビジネス書の要約コンテンツを軸にした「人材育成サービス」となる。フライヤーが出版社から要約の許諾を得て本の要約を作成し、利用企業から提供アカウント数に応じた月額固定額を受領するSaaS型のビジネスモデルとなる。現在の販売チャネルは直販中心だが、代理店網の開拓も進めており今後拡大していく方針。新刊ビジネス書を厳選して外部専門ライターが要約を作成しているが、2025年2月末時点で要約数は3,900冊を超える。サービスの性質上、利用組織の大小を問わず柔軟な導入が可能で、エンタープライズ事業セグメントは10人以上の事業所120万社超全てをターゲットとなる。既に大手企業にも導入されている実績を持っており、エンタープライズ事業セグメントの累計法人契約社数は1,200社を突破、累計会員数は120万人を突破している。

コンシューマーセグメントでは、出版社から許諾を得て作成した要約を個人ユーザに月額定額のサブスクリプションモデルで提供している。サンプルの要約は無料会員で閲覧できるが、シルバー(月額550円)で月5冊の有料要約の閲覧、ゴールド(月額2,200円)で過去分3,900タイトルと毎日の追加分が読み放題となる。足元は、エンタープライズ向けに注力している状況。

フライヤーの競争優位性としてまず挙げられるのは、出版社との強固な関係性だ。約190社の出版社と提携し、要約コンテンツの許諾を得ている点は他社にはない大きな強みとなる。次に、高品質な要約コンテンツの提供が可能となっている。専門ライターによる要約と、編集部による品質チェック、さらに、出版社による最終原稿確認を経ることにより、信頼性の高いコンテンツを提供。また、利用者が増えることで、出版社にとってのプロモーション効果も高まり、さらに良質な書籍の要約提供につながる好循環が生まれている。さらに、コンテンツ制作費用がある程度固定的であるため、会員数の増加に伴い利益率が向上する構造を持つほか、法人顧客にとっては出版社から許諾をとりビジネス書の要約を事業として展開し、人材育成サービスにまで昇華している優位性を持ち、乗り換えが難しいことも強みでとなる。これらを受けて、解約率は0.95%と低水準を保っている。

2025年2月期の売上高は948百万円(前期比20.8%増)、営業損益は8百万円の黒字(前期132百万円の赤字)に転換している。特に法人向けのエンタープライズ事業が想定以上に堅調に推移したことで売上高は業績予想を上回った。また、採用活動の効率化等により販売費及び一般管理費が当初想定以下に抑制されたようだ。「flier business」の導入社数は640社(CAGR17.0%)、ARPAは84千円(CAGR20.8%)、と直近1年で従業員500名以上の大企業向けに注力する戦略転換を図り、受注数を追い求めずARPAを大幅改善することにより高いMRR成長と投資対効果の両立を実現した。コンシューマ事業は横ばいの推移。2026年2月期は売上高1,120百万円(同18.1%増)、営業利益100百万円を見込んでおり、引き続き法人向けサービスの拡充と新規顧客の獲得を進めていく。

市場環境では、同社は主に「本の要約」コンテンツを提供しており、「要約」コンテンツ市場は個人を中心に存在しているが、明確な競合は存在しない。「要約」を通じて個人・組織の成長を支援するという価値を訴求しているため、ターゲットとする市場は「人材育成サービス」市場になる。こういった側面からみるとオンライン研修・人材育成サービス提供プレーヤー・人材育成関連のHRテックプレーヤーなどが一部競合となる可能性があるが、提供サービスが異なるため大きな影響もあまりない。コンテンツの蓄積性(ストック型の知)とカジュアル性(気軽に学べる、マイクロラーニング)において他社と差別化できており、競合他社とも補完関係にある位置づけと認識できる。そのほか、HRテックSaaSの市場規模はCAGR30%超となる見込みで、市場拡大傾向は引き続き継続するものと想定している。

また、ビジネス書の要約サービス市場は、働き方改革や企業の人的資本経営、リスキリングの需要増加により拡大傾向にある。企業は従業員の自律的な学習を支援するツールとして、また個人は効率的な情報収集手段として、要約サービスの利用を推進していく。このような背景から、フライヤーのサービスは法人・個人双方にとって価値が高まっている。さらに、同社は、法人向けサービスのさらなる拡充と新規サービスの投入により、持続的な成長を目指すようだ。具体的には、無償トライアル開始予定である「flier成長組織ナビ」の収益化などがあげられる状況。目先は「flier business」の顧客数・規模の両軸の拡大、「flier成長組織ナビ」の展開本格化、両サービスのクロスセルが有望な成長戦略となる。株主還元方針はまだ明確となってないが、安定的に利益が積み上がるビジネスモデルを展開している同社の今後の動向には注目しておきたい。



<HM>



 
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