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サンマルクHD Research Memo(8):牛かつ業態を第3のブランドとして育成・拡大

*14:08JST サンマルクHD Research Memo(8):牛かつ業態を第3のブランドとして育成・拡大
■成長戦略

1. 中期経営計画(2025年3月期~2029年3月期)
サンマルクホールディングス<3395>はコロナ禍等に伴う事業環境変化を踏まえて、2024年5月に2025年3月期~2029年3月期を対象とする中期経営計画を策定し、目標値に2026年3月期の売上高660億円、営業利益38億円、最終年度2029年3月期の売上高800億円、営業利益65億円を掲げている。

2026年3月期までを最終年度2029年3月期目標を達成するための体制構築の期間と位置付けて、重点施策は1) 「生麺専門鎌倉パスタ」及び派生業態の継続出店によるパスタ業態のポテンシャル最大化、2) 「サンマルクカフェ」を中心とする運営効率の改善、3) 2027年3月期以降の成長の軸となる第3のブランド確立に向けた投資(M&Aを含む)、としている。1) では「生麺専門鎌倉パスタ」を引き続きレストラン事業の中核業態として展開するため、継続的な出店に加え、広告戦略などを通して知名度のさらなる向上を推進する。また派生業態の展開を通してパスタ業態のさらなるポテンシャル拡大を狙う。2) の「サンマルクカフェ」については、不採算店舗整理がおおむね完了したため、新メニュー開発や店舗オペレーション効率化等によりさらなる収益性向上を推進する。

そして3) の第3のブランド確立に向けた投資については、2024年11月及び12月に牛かつ市場のリーディングカンパニー2社を子会社化した。牛かつ業態の平均客単価は約2,000円とパスタ業態の約1,500円に比べて高く、小規模店舗で運営できるため利益率が高いという特徴もある。牛カツ事業は国内市場で200店舗程度まで出店余地があると想定し、和の専門業態として海外も含めて店舗網を継続的に拡大する方針だ。

なお今回のM&Aを踏まえて、進行中の中期経営計画の目標値(売上高、営業利益)及びキャピタルアロケーションを見直す予定としている。長期的なブランドポートフォリオのイメージについては、売上規模拡大・収益性向上に向けた基本戦略(「ベーカリーレストラン・サンマルク」や「サンマルクカフェ」の収益性改善、「神戸元町ドリア」の主力ブランド化に向けた売上規模拡大、新規M&Aなど)に大きな変化はないが、当面は利益率の高い牛カツ「京都勝牛」及び「牛かつもと村」を、既存の主力ブランドである「生麺専門鎌倉パスタ」及び「サンマルクカフェ」に次ぐ第3の主力ブランドと位置付けて、育成・拡大することを優先する見込みだ。

資本コストや株価を意識した経営については、現状はPBR(株価純資産倍率)が1倍を超過しているものの、さらなるROE(自己資本利益率)の向上に努めるとともに、株主及び投資家への適切な情報開示や建設的な対話などIR活動も強化し、株主及び投資家との対話内容を経営にフィードバックするなど、企業価値の向上に努める方針としている。サステナビリティ経営については2023年3月にサステナビリティ委員会を設置した。社会課題の解決による持続可能な社会の実現と、同社グループの中長期的な企業価値向上の両立に向けて、サステナビリティを巡る課題への対応を経営戦略及び経営計画等に反映し、全社的なサステナビリティ施策の推進を図る。


株主還元は連結配当性向35%目安、株主優待制度も継続
2. 株主還元策
同社は株主還元について、同社グループの業績動向及び配当性向等を総合的に勘案したうえで、株主に対し利益成長に応じた安定的な配当を継続しつつ、今後のグループ内における事業拡充による将来の利益貢献を図るため内部留保の充実に努めることを基本方針としている。これをベースに今後のグループの利益成長等を勘案し、中期的な連結ベースの配当性向の水準として35%を目標としつつ、DOE(純資産配当率)等の要素も加味しながら決定するとしている。この方針に基づき、2025年3月期の配当予想は前期比2.0円増配の52.0円(第2四半期末26.0円、期末26.0円)としている。2025年3月期中間期末時点の予想配当性向は50.6%となる。なお、2025年2月に4,163,741株の新株発行を行うとともに、自己株式として2024年11月に480,600株、2025年2月に2,822,400株を取得した。また、2025年3月に4,000,000株の自己株式の消却を予定している。

また同社は株主優待制度も実施している。毎年3月31日時点で100株以上保有株主に対して、同社グループ店舗で割引利用できる「株主様ご優待カード」(有効期間中は何度でも繰り返し利用可能)1枚を贈呈する。


新たな成長ステージへ
3. アナリストの視点
同社の業績は回復基調である。これはコロナ禍の影響一巡という外部要因だけでなく、事業環境変化に対応した不採算店の整理、メニューの高付加価値化、サービス品質の高度化、店舗オペレーションの効率化など、同社が継続的に取り組んでいる各種施策の成果によるものと弊社では評価している。さらに新たな成長ドライバーとして、牛カツ「京都勝牛」及び「牛かつもと村」をグループ化し、既存の主力ブランドである「生麺専門鎌倉パスタ」及び「サンマルクカフェ」に次ぐ第3の主力ブランドと位置付けて育成・拡大する方針を打ち出した。これによって同社が新たな成長ステージに入ることが期待されるだけに、同社のブランドポートフォリオ戦略の進捗状況に引き続き注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)




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