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アイリック Research Memo(9):保険領域に関するNo.1ソリューションカンパニーを目指す
2025/03/11 14:09
*14:09JST アイリック Research Memo(9):保険領域に関するNo.1ソリューションカンパニーを目指す
■アイリックコーポレーション<7325>の成長戦略
1. 成長イメージ
市場環境として、年間保険料総額で生命保険マーケットは28兆円、損害保険マーケットは9兆円が払い込まれる巨大マーケットであり、保険販売チャネルについては保険ショップ経由での加入シェアが上昇基調である。さらに、損害保険業界の諸問題が顕在化したため保険業法改正が見込まれており、比較推奨販売の徹底による販売プロセスのデジタル化の必要性が高まることも予想される。
こうした市場環境の中で同社は、自社開発の「保険IQシステム」を活用して生産性の高い「保険クリニック」を展開するだけでなく、業界唯一の商品比較システムである「AS」シリーズを中心としたソリューションを保険代理店・銀行・保険会社等に対して提供できる強みも併せ持っている。同社はこの強みを生かし、中長期的成長イメージとして保険領域に関するNo.1ソリューションカンパニー(保険ショップNo.1×保険ソリューションNo.1)を目指す。
2022年6月に策定した3ヶ年計画(2023年6月期~2025年6月期)では、1年目を「再始動の年」、2年目を「投資継続の年」、3年目を「成長の年」と位置付けて、最終年度となる2025年6月期の目標値に売上高8,495百万円~8,795百万円、営業利益700百万円~1,000百万円を掲げている。3ヶ年計画の進捗状況として、2025年6月期の連結業績予想は、営業利益は積極的な人財投資やマーケティング投資等の影響で目標レンジの下限近辺にとどまるが、売上高はM&Aも寄与して目標レンジ上限を上回る見込みだ。
重点施策としては、保険ショップの新しいスタイル(デジタル技術活用による最良の顧客サービスの永続的提供)の確立、「保険クリニック」の認知度向上と集客数増大、「AS」シリーズの大型導入先開拓と新サービス提供、「スマートOCR」事業のさらなる拡大を推進する。認知度向上ではマーケティング投資を強化しており、2024年11月には「保険クリニック」のアンバサダーに藤岡ファミリー(藤岡弘、さん、天翔愛さん、藤岡真威人さん、天翔天音さん、藤岡舞衣さん)を起用した。そしてブランドメッセージを「わからない保険を、わかる保険へ。」「保険サッシン!家族アンシン!」としてTVCM放送を開始した。こうした重点施策により、「保険クリニック」の認知度向上に伴う店舗網拡大・集客力増大・保険手数料拡大、「AS」シリーズや「スマートOCR」を中心とするソリューション拡大によるストック売上拡大につなげる方針だ。
株主還元策として自己株式取得も実施
2. 株主還元策
株主還元については、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、財務体質の強化及び将来の事業展開に備えるために必要な内部留保とのバランスを保ちつつ、業績への連動性の高い利益配分を継続的に行うことを基本方針としている。また、株主に対する公平な利益還元のあり方という観点から、2023年6月期より株主優待制度を廃止し、株主還元を配当金に切り替えた。この基本方針に基づいて、2025年6月期の配当予想は2024年6月期と同額の20.00円(期末一括)としている。予想配当性向は38.9%となる。今後も業績に応じた安定的・持続的な増配を目指す。なお同社は資本効率の向上及び株主への利益還元を目的として自己株式取得を実施しており、2023年2月15日~8月14日に自己株式300,300株を取得、同年8月21日~2024年2月16日に自己株式200,000株を取得、2025年1月17日の東証の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)において自己株式30,000株を取得した。
3. サステナビリティ経営
同社は顧客、保険会社、代理店の「三者利益の共存」の実現を目指し、保険流通を「良循環化」させ、顧客の利益を守るために事業活動を行っている。同時に、事業活動が地球環境や地域社会に影響を与えることを認識し、社会課題の解決につながるサービスを提供し、サステナビリティの実現に向けた取り組みも推進している。取り組み事例としては、保険販売事業を通じた保障の提供、クリニクラウン(臨床道化師)活動の応援、子どもの未来応援基金の支援活動、ITを活用したサービス提供による保険流通の利便性向上、女性従業員が活躍できる働きやすい職場環境・就業環境づくり、直営店舗におけるLED照明導入による省エネ化推進、エコキャップ運動への協力、小学生向け野球教室の開催、地域の清掃運動への参加などがある。2024年5月には東洋経済オンライン「女性部長の比率が高い会社ランキング上位50」で第5位(同社の女性部長比率は57.1%、全体平均は5.1%)にランクインした。また福利厚生の充実によって産休育休後の復帰率は90%台を維持している。
成長スピード加速の可能性に注目
4. アナリストの視点
同社の業績は、新型コロナウイルス感染症拡大や先行投資の影響で利益が低迷する時期があったものの、2024年6月期から再成長期に入り、2025年6月期も過去最高更新の見込みとなっている。これは積極的な人財投資、新規出店投資、プロモーション投資、新サービス開発投資等を継続してきた成果と考えられ、「保険クリニック」の店舗数や集客数の拡大だけでなく、ソリューション事業の「AS」シリーズやシステム事業の「スマートOCR」も導入拡大によって収益化が進展している。この点を弊社では評価している。さらに複数の商品を比較して加入するユーザーの増加、保険ショップ経由での加入シェア上昇、販売プロセスのデジタル化ニーズの高まりという市場環境の変化も、「保険IQシステム」や「AS」シリーズという強みを持つ同社にとって大きなビジネスチャンスと考えられる。このような状況を勘案すれば同社が新たな成長ステージに入った可能性が高いと考えられ、今後の成長スピードの加速に注目したいと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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■アイリックコーポレーション<7325>の成長戦略
1. 成長イメージ
市場環境として、年間保険料総額で生命保険マーケットは28兆円、損害保険マーケットは9兆円が払い込まれる巨大マーケットであり、保険販売チャネルについては保険ショップ経由での加入シェアが上昇基調である。さらに、損害保険業界の諸問題が顕在化したため保険業法改正が見込まれており、比較推奨販売の徹底による販売プロセスのデジタル化の必要性が高まることも予想される。
こうした市場環境の中で同社は、自社開発の「保険IQシステム」を活用して生産性の高い「保険クリニック」を展開するだけでなく、業界唯一の商品比較システムである「AS」シリーズを中心としたソリューションを保険代理店・銀行・保険会社等に対して提供できる強みも併せ持っている。同社はこの強みを生かし、中長期的成長イメージとして保険領域に関するNo.1ソリューションカンパニー(保険ショップNo.1×保険ソリューションNo.1)を目指す。
2022年6月に策定した3ヶ年計画(2023年6月期~2025年6月期)では、1年目を「再始動の年」、2年目を「投資継続の年」、3年目を「成長の年」と位置付けて、最終年度となる2025年6月期の目標値に売上高8,495百万円~8,795百万円、営業利益700百万円~1,000百万円を掲げている。3ヶ年計画の進捗状況として、2025年6月期の連結業績予想は、営業利益は積極的な人財投資やマーケティング投資等の影響で目標レンジの下限近辺にとどまるが、売上高はM&Aも寄与して目標レンジ上限を上回る見込みだ。
重点施策としては、保険ショップの新しいスタイル(デジタル技術活用による最良の顧客サービスの永続的提供)の確立、「保険クリニック」の認知度向上と集客数増大、「AS」シリーズの大型導入先開拓と新サービス提供、「スマートOCR」事業のさらなる拡大を推進する。認知度向上ではマーケティング投資を強化しており、2024年11月には「保険クリニック」のアンバサダーに藤岡ファミリー(藤岡弘、さん、天翔愛さん、藤岡真威人さん、天翔天音さん、藤岡舞衣さん)を起用した。そしてブランドメッセージを「わからない保険を、わかる保険へ。」「保険サッシン!家族アンシン!」としてTVCM放送を開始した。こうした重点施策により、「保険クリニック」の認知度向上に伴う店舗網拡大・集客力増大・保険手数料拡大、「AS」シリーズや「スマートOCR」を中心とするソリューション拡大によるストック売上拡大につなげる方針だ。
株主還元策として自己株式取得も実施
2. 株主還元策
株主還元については、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、財務体質の強化及び将来の事業展開に備えるために必要な内部留保とのバランスを保ちつつ、業績への連動性の高い利益配分を継続的に行うことを基本方針としている。また、株主に対する公平な利益還元のあり方という観点から、2023年6月期より株主優待制度を廃止し、株主還元を配当金に切り替えた。この基本方針に基づいて、2025年6月期の配当予想は2024年6月期と同額の20.00円(期末一括)としている。予想配当性向は38.9%となる。今後も業績に応じた安定的・持続的な増配を目指す。なお同社は資本効率の向上及び株主への利益還元を目的として自己株式取得を実施しており、2023年2月15日~8月14日に自己株式300,300株を取得、同年8月21日~2024年2月16日に自己株式200,000株を取得、2025年1月17日の東証の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)において自己株式30,000株を取得した。
3. サステナビリティ経営
同社は顧客、保険会社、代理店の「三者利益の共存」の実現を目指し、保険流通を「良循環化」させ、顧客の利益を守るために事業活動を行っている。同時に、事業活動が地球環境や地域社会に影響を与えることを認識し、社会課題の解決につながるサービスを提供し、サステナビリティの実現に向けた取り組みも推進している。取り組み事例としては、保険販売事業を通じた保障の提供、クリニクラウン(臨床道化師)活動の応援、子どもの未来応援基金の支援活動、ITを活用したサービス提供による保険流通の利便性向上、女性従業員が活躍できる働きやすい職場環境・就業環境づくり、直営店舗におけるLED照明導入による省エネ化推進、エコキャップ運動への協力、小学生向け野球教室の開催、地域の清掃運動への参加などがある。2024年5月には東洋経済オンライン「女性部長の比率が高い会社ランキング上位50」で第5位(同社の女性部長比率は57.1%、全体平均は5.1%)にランクインした。また福利厚生の充実によって産休育休後の復帰率は90%台を維持している。
成長スピード加速の可能性に注目
4. アナリストの視点
同社の業績は、新型コロナウイルス感染症拡大や先行投資の影響で利益が低迷する時期があったものの、2024年6月期から再成長期に入り、2025年6月期も過去最高更新の見込みとなっている。これは積極的な人財投資、新規出店投資、プロモーション投資、新サービス開発投資等を継続してきた成果と考えられ、「保険クリニック」の店舗数や集客数の拡大だけでなく、ソリューション事業の「AS」シリーズやシステム事業の「スマートOCR」も導入拡大によって収益化が進展している。この点を弊社では評価している。さらに複数の商品を比較して加入するユーザーの増加、保険ショップ経由での加入シェア上昇、販売プロセスのデジタル化ニーズの高まりという市場環境の変化も、「保険IQシステム」や「AS」シリーズという強みを持つ同社にとって大きなビジネスチャンスと考えられる。このような状況を勘案すれば同社が新たな成長ステージに入った可能性が高いと考えられ、今後の成長スピードの加速に注目したいと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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