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ラクトJPN Research Memo(5):全部門の販売数量が前期を上回り、過去最高の売上高、利益を更新(1)
2025/02/20 18:05
*18:05JST ラクトJPN Research Memo(5):全部門の販売数量が前期を上回り、過去最高の売上高、利益を更新(1)
■ラクト・ジャパン<3139>の業績動向
1. 2024年11月期の業績概要
2024年11月期の連結業績は、売上高170,907百万円(前期比7.9%増)、営業利益4,455百万円(同39.9%増)、経常利益4,320百万円(同51.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,146百万円(同53.6%増)となった。売上高、利益ともに、2024年7月に上方修正した通期予想を上回り、過去最高を更新した。国内の経済活動が緩やかに回復するなかで、インバウンド需要の高まりなどに伴い業務用を中心に国内事業すべての部門の販売数量が前期を上回った。加えて、アジア事業の乳原料販売部門、チーズ製造販売部門も、アジアでの需要回復とともに新規取引先開拓など営業強化が奏功し、販売数量を伸ばした。脱脂粉乳の過剰在庫対策や国内需要の回復により国産脱脂粉乳の在庫水準が低下し、適正な水準で推移したことも輸入乳原料の需要回復につながった。
利益面では、乳原料・チーズ部門において土産品、アイスクリーム、チョコレートなどの需要が増加し、利益率の高いバターや乳脂肪を含有した全粉乳などの販売が増加した。また、アジア事業の乳原料販売部門において価格訴求品の比率が低下し商品ミックスが改善したほか、チーズ製造販売部門においては原料チーズ価格の落ち着きや製造量の増加による生産効率向上により原価率が改善した。これらの要因により売上総利益率は5.9%と前期を0.9ポイント上回り、売上総利益は前期比27.3%増となった。一方、事業規模拡大に伴う人員補強や賃金上昇により人件費増加、物量増やエネルギー価格上昇の影響を受けた国内の物流経費の増加、営業活動の正常化に伴う出張費など営業関連費用の増加などにより、販管費は同18.9%増と892百万円増加した。しかし、これを売上総利益の増加により吸収し、経常利益は前期の約1.5倍と伸長した。期中の売上原価に対応しない為替影響額修正後の経常利益は同51.1%増の4,392百万円となった。
2. 事業部門別の動向
(1) 乳原料・チーズ部門
外食・レジャー産業が回復傾向にあり、業務用の乳製品原料の需要が高まった。なかでも土産品、アイスクリーム、チョコレートなどの原料となるバター、全粉乳、乳糖などの販売が好調に推移した。またバター、クリームの需要が増加するなか、国産原料の供給には限りがあるため脂肪系乳原料の輸入品需要が好調だった。官民一体となった過剰在庫対策事業や生乳生産量の抑制により国産脱脂粉乳の在庫水準が低下し5万トン前後で推移したこと、円安進行にもかかわらず乳製品の国際相場が落ち着いた水準で推移し価格競争力を維持できたことも非乳業メーカーや飼料メーカー向け粉乳原料の需要回復につながった。チーズも業務用の販売が好調に推移し、部門全体の販売数量は前期比5.4%増の176,402トンとなった。売上高は、原料相場が落ち着き同2.1%増の114,182百万円となった。おおむね通期修正予想どおり着地した格好だ。利益面では、バター、乳脂肪を含有する全粉乳など利益率の高い脂肪系乳原料販売が好調だったため商品ミックスが改善し、利益率も改善した。
(2) 食肉食材部門
アフリカ豚熱の影響などから欧州産豚肉の相場が上昇するなか、同社のメイン商材である北米産豚肉が価格優位性を持ち販売数量が順調に増加したほか、鶏肉・鶏肉加工品を中心とした加工食品の販売数量も伸長した。部門全体の販売数量は前期比13.2%増の31,831トンと過去最高となった。また、相場高、円安の影響から豚肉の販売単価が高めに推移したため、部門売上高は同19.3%増の21,788百万円となったが、利益率は若干の改善に留まった。販売数量、売上高ともに通期修正予想を上回る結果となった。
(3) 機能性食品原料部門
新たな成長の柱として事業拡大を目指す機能性食品原料販売は引き続き好調に推移した。特にプロテイン製品の原料となるホエイプロテインの販売が好調だ。国内においては、スポーツニュートリションとしてだけでなく、食品全般で「高たんぱく」が開発テーマとなっており、健康を志向する女性や高齢者など一般消費者まで市場が拡大している。販売数量は前期比49.6%増の4,199トン、売上高は同31.2%増の5,141百万円となった。新規参入するプロテインメーカーの新ブランド立ち上げのトータルサポートを行うなど新規顧客開拓が順調に進むとともに、既存顧客との取引量も増加した。特に下期の伸び率は大きく、上期に対して販売数量で2.3倍、売上高で2.2倍と成長が加速し、おおむね通期修正予想どおり着地した。加えて、新たな事業領域として、機能性食品原料の日本からの輸出販売がスタートした。アジアにおいても日本製の機能性食品の品質は高く評価されており、今後の成長が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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■ラクト・ジャパン<3139>の業績動向
1. 2024年11月期の業績概要
2024年11月期の連結業績は、売上高170,907百万円(前期比7.9%増)、営業利益4,455百万円(同39.9%増)、経常利益4,320百万円(同51.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,146百万円(同53.6%増)となった。売上高、利益ともに、2024年7月に上方修正した通期予想を上回り、過去最高を更新した。国内の経済活動が緩やかに回復するなかで、インバウンド需要の高まりなどに伴い業務用を中心に国内事業すべての部門の販売数量が前期を上回った。加えて、アジア事業の乳原料販売部門、チーズ製造販売部門も、アジアでの需要回復とともに新規取引先開拓など営業強化が奏功し、販売数量を伸ばした。脱脂粉乳の過剰在庫対策や国内需要の回復により国産脱脂粉乳の在庫水準が低下し、適正な水準で推移したことも輸入乳原料の需要回復につながった。
利益面では、乳原料・チーズ部門において土産品、アイスクリーム、チョコレートなどの需要が増加し、利益率の高いバターや乳脂肪を含有した全粉乳などの販売が増加した。また、アジア事業の乳原料販売部門において価格訴求品の比率が低下し商品ミックスが改善したほか、チーズ製造販売部門においては原料チーズ価格の落ち着きや製造量の増加による生産効率向上により原価率が改善した。これらの要因により売上総利益率は5.9%と前期を0.9ポイント上回り、売上総利益は前期比27.3%増となった。一方、事業規模拡大に伴う人員補強や賃金上昇により人件費増加、物量増やエネルギー価格上昇の影響を受けた国内の物流経費の増加、営業活動の正常化に伴う出張費など営業関連費用の増加などにより、販管費は同18.9%増と892百万円増加した。しかし、これを売上総利益の増加により吸収し、経常利益は前期の約1.5倍と伸長した。期中の売上原価に対応しない為替影響額修正後の経常利益は同51.1%増の4,392百万円となった。
2. 事業部門別の動向
(1) 乳原料・チーズ部門
外食・レジャー産業が回復傾向にあり、業務用の乳製品原料の需要が高まった。なかでも土産品、アイスクリーム、チョコレートなどの原料となるバター、全粉乳、乳糖などの販売が好調に推移した。またバター、クリームの需要が増加するなか、国産原料の供給には限りがあるため脂肪系乳原料の輸入品需要が好調だった。官民一体となった過剰在庫対策事業や生乳生産量の抑制により国産脱脂粉乳の在庫水準が低下し5万トン前後で推移したこと、円安進行にもかかわらず乳製品の国際相場が落ち着いた水準で推移し価格競争力を維持できたことも非乳業メーカーや飼料メーカー向け粉乳原料の需要回復につながった。チーズも業務用の販売が好調に推移し、部門全体の販売数量は前期比5.4%増の176,402トンとなった。売上高は、原料相場が落ち着き同2.1%増の114,182百万円となった。おおむね通期修正予想どおり着地した格好だ。利益面では、バター、乳脂肪を含有する全粉乳など利益率の高い脂肪系乳原料販売が好調だったため商品ミックスが改善し、利益率も改善した。
(2) 食肉食材部門
アフリカ豚熱の影響などから欧州産豚肉の相場が上昇するなか、同社のメイン商材である北米産豚肉が価格優位性を持ち販売数量が順調に増加したほか、鶏肉・鶏肉加工品を中心とした加工食品の販売数量も伸長した。部門全体の販売数量は前期比13.2%増の31,831トンと過去最高となった。また、相場高、円安の影響から豚肉の販売単価が高めに推移したため、部門売上高は同19.3%増の21,788百万円となったが、利益率は若干の改善に留まった。販売数量、売上高ともに通期修正予想を上回る結果となった。
(3) 機能性食品原料部門
新たな成長の柱として事業拡大を目指す機能性食品原料販売は引き続き好調に推移した。特にプロテイン製品の原料となるホエイプロテインの販売が好調だ。国内においては、スポーツニュートリションとしてだけでなく、食品全般で「高たんぱく」が開発テーマとなっており、健康を志向する女性や高齢者など一般消費者まで市場が拡大している。販売数量は前期比49.6%増の4,199トン、売上高は同31.2%増の5,141百万円となった。新規参入するプロテインメーカーの新ブランド立ち上げのトータルサポートを行うなど新規顧客開拓が順調に進むとともに、既存顧客との取引量も増加した。特に下期の伸び率は大きく、上期に対して販売数量で2.3倍、売上高で2.2倍と成長が加速し、おおむね通期修正予想どおり着地した。加えて、新たな事業領域として、機能性食品原料の日本からの輸出販売がスタートした。アジアにおいても日本製の機能性食品の品質は高く評価されており、今後の成長が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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