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ビーアンドピー Research Memo(4):高品質・短納期による高付加価値サービスに強み(2)
2025/01/31 14:04
*14:04JST ビーアンドピー Research Memo(4):高品質・短納期による高付加価値サービスに強み(2)
■事業概要
b) デジタルクリエイト(2024年10月期よりデジタルサイネージから名称変更)
ビーアンドピー<7804>の従来のインクジェットプリント出力による製品販売の経験を活用し、販売促進用広告分野及び内装インテリア分野に対してデジタルサイネージを展開している。販売促進用デジタルサイネージとして「商品棚をまるごと動画にする」というコンセプトの「デジ棚」、簡単に設置でき、かつエコな「リボ棚D」がある。同事業においては、多店舗のデジタルサイネージをクラウドで一括管理し、動画コンテンツを配信できるCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)(以下、「BPクラウド」)の導入提案を積極的に行っている。CMSは月額定額のサブスクリプションモデルで安定した収益基盤となっているため、業績が拡大するにつれて同社全体の収益性も向上すると弊社は見ている。2024年10月期から、デジタルサイネージをデジタルクリエイトに名称変更し、顧客の販促活動をDXするためのデモ用動画やARの作成をラインナップに追加した。
2024年12月2日にはシンガポールのZKDigimax(インドネシア証券取引所上場のデジタルソリューションやクラウドベースプラットフォームの提供企業)とデジタルサイネージの拡販に関する業務提携契約を締結した。ZKDigimaxは、AIカメラと独自のシステムを連動させて来客の男女比率、通行量、滞在時間の分析などをシステム上で一元管理し、これらのデータを利用してモニターに即時配信や配信予約ができるシステムを構築している。インドネシア国内の2大コンビニエンスストアやファストフードチェーンの店舗で採用され、現在14,000店舗以上、28,000面以上のモニターが稼働しており、今後はZKDigimaxの製品販売に注力する方針だ。
ARについては、2023年6月にOnePlanetとAR技術に関する業務提携を行い、広告制作にARを活用し付加価値を高めた「Promotion AR」サービスを開始した。同年7月には東京ビッグサイトで開催された「販促EXPO【夏】」に出展し、同年9月には埼玉西武ライオンズのイベント「西武特急シリーズ」において、同サービスを利用して好きな選手と記念写真が楽しめるARフォトコーナーの広告(看板・デジタルサイネージ)を担った。また2024年1月より、オーダーグッズ制作と連携した「Novelty AR」サービスも開始した。両サービスとも、販促用広告物やノベルティグッズに2次元コードを印刷し、スマートフォンなどで読み込むことで、実用性に加えてエンターテインメント性の高いAR体験を提供するサービスである。
c) オーダーグッズ制作
オーダーグッズ制作事業は2022年12月に開始した事業である。「オーダーグッズ」は、イベントのノベルティグッズや自社製品の販促グッズ、物販用のオリジナルグッズなどの用途で活用されている。近年では「自分だけの」「ほかにはない」ものを求める消費者の志向が強まり、小ロットでオリジナリティのあるグッズに対するニーズが高まっている。同社が保有する印刷ノウハウや印刷設備、さらにはインクジェットプリント事業において培ってきた小ロット多品種に対応できる生産能力を活用し、このような需要に柔軟に対応している。同社にとっては印刷設備や人員など既存リソースを活用することで、過度な投資を抑制しながら効率的に新市場を開拓できるメリットがあり、顧客にとっても、国内生産で納期が早く、色校正なども特急で可能でかつ高品質であるというメリットを享受できる。2年間で様々なグッズの制作実績を積み重ねており、IPを保有する企業や自治体のビジネスパートナーとしてオーダーグッズの企画提案・制作などの事業展開も促進しながら、グッズ制作に必要なノウハウの蓄積や生産体制の整備を進めている。今後はIPのライセンスを自ら取得し、グッズなどを制作することも視野に入れている。生産体制については、2024年2月にはオーダーグッズ事業強化を目的として、横浜ファクトリーにアクリル樹脂加工のためのレーザーカッターを導入した。また、2024年10月期からは、グッズ制作専任営業の経験・ノウハウを全国の営業担当者に共有し、専任営業者に加えて全国の拠点の営業担当者が提案と拡販を推進する体制を構築している。
(2) ウェブプロモーション事業(2025年10月期よりEC販売部門とマーケティング部門に分割・独立)
ウェブプロモーション事業は、従来EC運営代行、ECコンサル、ECサイト制作、Webプロモーション、PR・SNS運営代行と、ECサイト運営において顧客が抱える課題に多様なソリューションを提供してきた。2022年8月にはサインディスプレイ専門サイト「インクイット」を開設し、ネットを使ったマーケティング活動のノウハウを蓄積してきた。2024年10月期からは事業の方向性を変え、蓄積したノウハウを生かして、Web集客活動に経営資源を集中。同社が強みとする対面営業につなげるためのランディングページ制作など、受注獲得のサポートに注力し顧客層の拡大とリピート受注の獲得を図った。
2025年10月期よりECサイト「インクイット」の運営を行うEC販売部門と、同社が得意とする対面営業につなげるためのWebランディングページ作成など同社自身のインサイドセールスを行うマーケティング部門に分割し、EC販売部門はセールスプロモーション事業へ移し、マーケティング部門は独立部門として営業部門と連携しながら顧客開拓を推進する体制に移行した。
(3) 環境配慮型エコ素材の利用
SDGsに関する取り組みとしては、顧客の関心が高い、環境に配慮した素材を使ったエコ商材の販売体制を強化している。具体的には、リサイクル可能な紙100%からできており、原材料であるパルプも間伐材のみを使用している「Re-board」、石灰岩が主原料となりポスターなどの広告物として使用でき、高効率でアップサイクルできる「LIMEXペーパー」、PET素材の複合版で、従来の屋外看板などで使用されていたアルミ複合版と比較して、処分時に排出されるCO2を35~65%削減可能な「NOALX」などがある。
2. ビジネスモデルとその強み
同社はインクジェットプリントに特化した国内有数の最新鋭設備と卓越したノウハウを有し、生産の自動化に取り組んでいる。そのなかで同社の強みを生かし、顧客から最も重要視されるニーズである「短納期」「高品質」に最大限対応することで顧客数、リピート頻度、単価の向上に努め、売上高の拡大を図っている。競合他社で100台以上のプリンターを有している会社は存在しておらず、かつ複数拠点を有している競合も少ない。同社は、複数拠点を置いているため、東京で発注し大阪での受け渡しをするといった拠点間連携が可能であるほか、情報やベストプラクティスの共有も積極的に推進しており、このことも顧客数の拡大とリピート頻度の向上につながっている。さらに同社商品には定価がないため、付加価値を付けて高値で販売することも可能である。こうした時間のメリット、安心の提供など、他社と一線を画す高付加価値なサービス体制が同社の大きな強みである。
ほかにも、競合他社では人員不足や従業員のケアの難しさから24時間対応を止めている企業が多い。同社では入社後の育成計画や若手のリーダー抜擢、個人のモチベーション、心身管理など社内環境の良化による定着率向上で、24時間対応可能という強みを維持している。各拠点の営業においては、2023年10月期より、従来担当者1名が30社程度の取引先を担当していた体制を、2~3名で100社程度の取引先を担当するチーム制に変更し、顧客が常時ストレスなく担当者に連絡・発注できる環境整備を進めた。これにより納期対応が円滑に進み顧客満足度が上がるとともに、従業員の年休取得・リモート対応、情報・知識の共有が可能になり、顧客に対するワンストップ営業も実現した。人員に関しても、安定した新卒採用と案件数に合わせた柔軟な中途採用を行うことで、案件数の増加に対応している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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■事業概要
b) デジタルクリエイト(2024年10月期よりデジタルサイネージから名称変更)
ビーアンドピー<7804>の従来のインクジェットプリント出力による製品販売の経験を活用し、販売促進用広告分野及び内装インテリア分野に対してデジタルサイネージを展開している。販売促進用デジタルサイネージとして「商品棚をまるごと動画にする」というコンセプトの「デジ棚」、簡単に設置でき、かつエコな「リボ棚D」がある。同事業においては、多店舗のデジタルサイネージをクラウドで一括管理し、動画コンテンツを配信できるCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)(以下、「BPクラウド」)の導入提案を積極的に行っている。CMSは月額定額のサブスクリプションモデルで安定した収益基盤となっているため、業績が拡大するにつれて同社全体の収益性も向上すると弊社は見ている。2024年10月期から、デジタルサイネージをデジタルクリエイトに名称変更し、顧客の販促活動をDXするためのデモ用動画やARの作成をラインナップに追加した。
2024年12月2日にはシンガポールのZKDigimax(インドネシア証券取引所上場のデジタルソリューションやクラウドベースプラットフォームの提供企業)とデジタルサイネージの拡販に関する業務提携契約を締結した。ZKDigimaxは、AIカメラと独自のシステムを連動させて来客の男女比率、通行量、滞在時間の分析などをシステム上で一元管理し、これらのデータを利用してモニターに即時配信や配信予約ができるシステムを構築している。インドネシア国内の2大コンビニエンスストアやファストフードチェーンの店舗で採用され、現在14,000店舗以上、28,000面以上のモニターが稼働しており、今後はZKDigimaxの製品販売に注力する方針だ。
ARについては、2023年6月にOnePlanetとAR技術に関する業務提携を行い、広告制作にARを活用し付加価値を高めた「Promotion AR」サービスを開始した。同年7月には東京ビッグサイトで開催された「販促EXPO【夏】」に出展し、同年9月には埼玉西武ライオンズのイベント「西武特急シリーズ」において、同サービスを利用して好きな選手と記念写真が楽しめるARフォトコーナーの広告(看板・デジタルサイネージ)を担った。また2024年1月より、オーダーグッズ制作と連携した「Novelty AR」サービスも開始した。両サービスとも、販促用広告物やノベルティグッズに2次元コードを印刷し、スマートフォンなどで読み込むことで、実用性に加えてエンターテインメント性の高いAR体験を提供するサービスである。
c) オーダーグッズ制作
オーダーグッズ制作事業は2022年12月に開始した事業である。「オーダーグッズ」は、イベントのノベルティグッズや自社製品の販促グッズ、物販用のオリジナルグッズなどの用途で活用されている。近年では「自分だけの」「ほかにはない」ものを求める消費者の志向が強まり、小ロットでオリジナリティのあるグッズに対するニーズが高まっている。同社が保有する印刷ノウハウや印刷設備、さらにはインクジェットプリント事業において培ってきた小ロット多品種に対応できる生産能力を活用し、このような需要に柔軟に対応している。同社にとっては印刷設備や人員など既存リソースを活用することで、過度な投資を抑制しながら効率的に新市場を開拓できるメリットがあり、顧客にとっても、国内生産で納期が早く、色校正なども特急で可能でかつ高品質であるというメリットを享受できる。2年間で様々なグッズの制作実績を積み重ねており、IPを保有する企業や自治体のビジネスパートナーとしてオーダーグッズの企画提案・制作などの事業展開も促進しながら、グッズ制作に必要なノウハウの蓄積や生産体制の整備を進めている。今後はIPのライセンスを自ら取得し、グッズなどを制作することも視野に入れている。生産体制については、2024年2月にはオーダーグッズ事業強化を目的として、横浜ファクトリーにアクリル樹脂加工のためのレーザーカッターを導入した。また、2024年10月期からは、グッズ制作専任営業の経験・ノウハウを全国の営業担当者に共有し、専任営業者に加えて全国の拠点の営業担当者が提案と拡販を推進する体制を構築している。
(2) ウェブプロモーション事業(2025年10月期よりEC販売部門とマーケティング部門に分割・独立)
ウェブプロモーション事業は、従来EC運営代行、ECコンサル、ECサイト制作、Webプロモーション、PR・SNS運営代行と、ECサイト運営において顧客が抱える課題に多様なソリューションを提供してきた。2022年8月にはサインディスプレイ専門サイト「インクイット」を開設し、ネットを使ったマーケティング活動のノウハウを蓄積してきた。2024年10月期からは事業の方向性を変え、蓄積したノウハウを生かして、Web集客活動に経営資源を集中。同社が強みとする対面営業につなげるためのランディングページ制作など、受注獲得のサポートに注力し顧客層の拡大とリピート受注の獲得を図った。
2025年10月期よりECサイト「インクイット」の運営を行うEC販売部門と、同社が得意とする対面営業につなげるためのWebランディングページ作成など同社自身のインサイドセールスを行うマーケティング部門に分割し、EC販売部門はセールスプロモーション事業へ移し、マーケティング部門は独立部門として営業部門と連携しながら顧客開拓を推進する体制に移行した。
(3) 環境配慮型エコ素材の利用
SDGsに関する取り組みとしては、顧客の関心が高い、環境に配慮した素材を使ったエコ商材の販売体制を強化している。具体的には、リサイクル可能な紙100%からできており、原材料であるパルプも間伐材のみを使用している「Re-board」、石灰岩が主原料となりポスターなどの広告物として使用でき、高効率でアップサイクルできる「LIMEXペーパー」、PET素材の複合版で、従来の屋外看板などで使用されていたアルミ複合版と比較して、処分時に排出されるCO2を35~65%削減可能な「NOALX」などがある。
2. ビジネスモデルとその強み
同社はインクジェットプリントに特化した国内有数の最新鋭設備と卓越したノウハウを有し、生産の自動化に取り組んでいる。そのなかで同社の強みを生かし、顧客から最も重要視されるニーズである「短納期」「高品質」に最大限対応することで顧客数、リピート頻度、単価の向上に努め、売上高の拡大を図っている。競合他社で100台以上のプリンターを有している会社は存在しておらず、かつ複数拠点を有している競合も少ない。同社は、複数拠点を置いているため、東京で発注し大阪での受け渡しをするといった拠点間連携が可能であるほか、情報やベストプラクティスの共有も積極的に推進しており、このことも顧客数の拡大とリピート頻度の向上につながっている。さらに同社商品には定価がないため、付加価値を付けて高値で販売することも可能である。こうした時間のメリット、安心の提供など、他社と一線を画す高付加価値なサービス体制が同社の大きな強みである。
ほかにも、競合他社では人員不足や従業員のケアの難しさから24時間対応を止めている企業が多い。同社では入社後の育成計画や若手のリーダー抜擢、個人のモチベーション、心身管理など社内環境の良化による定着率向上で、24時間対応可能という強みを維持している。各拠点の営業においては、2023年10月期より、従来担当者1名が30社程度の取引先を担当していた体制を、2~3名で100社程度の取引先を担当するチーム制に変更し、顧客が常時ストレスなく担当者に連絡・発注できる環境整備を進めた。これにより納期対応が円滑に進み顧客満足度が上がるとともに、従業員の年休取得・リモート対応、情報・知識の共有が可能になり、顧客に対するワンストップ営業も実現した。人員に関しても、安定した新卒採用と案件数に合わせた柔軟な中途採用を行うことで、案件数の増加に対応している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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