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フィード・ワン Research Memo(4):主力の畜産飼料事業では、原料調達・製造・開発・営業で強みを構築(2)

*11:04JST フィード・ワン Research Memo(4):主力の畜産飼料事業では、原料調達・製造・開発・営業で強みを構築(2)
■フィード・ワン<2060>の事業概要

(2) 畜産飼料事業の事業特性 ~利益が上下するメカニズム~
畜産飼料事業は、販売数量を着実に伸ばしてきた。2016年3月期の販売数量(畜産+水産)は335万トンであったが、2024年3月期は約1.13倍の379万トンとなった。ほぼ横ばいの市場のなかで販売数量を増やしてきたということは、シェアを伸ばしてきたということになる。直近においても、同社の2025年3月期中間期における販売数量が前年同期比1.3%増であるのに対し、同時期の全国の畜産飼料の販売数量の伸びは0.5%増(同社調べ)であり、同社は市場を上回って成長していることがわかる。販売数量の伸びは同社の強みと組織力が発揮された成果と言えよう。

販売価格については、原料価格の動向に応じ四半期ごとの価格改定があるものの、プライスリーダーである全農が発表する改定幅の影響を受けるため自社だけでは決められない側面がある。原料価格に関しては、とうもろこしの生産量や需給などにより相場が変動する。また海外での買付けとなるため為替の影響を受ける。一般的には円高に振れると輸入価格は安くなり有利となる。原材料価格と販売価格は長い期間では連動するが、期ズレが生じるために利益が上下する。2025年3月期中間期は、とうもろこしの輸入価格が下がり、販売価格が一定水準を維持できていたため、収益を上げやすい環境であったと言えるだろう。売上・数量が上がると利益が上がるという単純な方程式ではないため、同社の業績を見るうえでは留意が必要だ。

【畜産飼料の価格改定】
畜産飼料の販売価格の改定は、主原料であるとうもろこしの相場、海上運賃、外国為替等の動向を反映して四半期ごとに行われる。JA全農が先行して価格改定を発表し、同社を含む配合飼料メーカーも改定を行う。改定額は、畜種別・銘柄別に異なる。業界として四半期ごとの価格改定を行い、顧客の理解が得られる仕組みとなっていることは、配合飼料メーカーとして、急激な環境変化がない限り利益を確保しやすい基盤となっていると言える。一方、プライスリーダーであるJA全農の改定を見据えながらも、原料価格動向に則した価格改定が利益確保のカギであるため、重要な意思決定となる。ちなみに、水産飼料業界では、価格改定は各社不定期であり、販売価格の改定にはタイムラグが発生するケースがある。同社の畜産飼料販売価格は、2024年4月~6月期に前四半期比3,634円値下げ(JA全農は約4,600円値下げ)、2024年7月~9月期は同2,154円値上げ(JA全農は約2,200円値上げ)となった。

【配合飼料価格安定制度】
畜産飼料においては、輸入原料価格の高騰による畜産経営への急激な影響を緩和するため、「配合飼料価格安定制度」が設けられている。この制度は、畜産経営者と配合飼料メーカーの積立による「通常補てん」と通常補てんでは賄いきれない異常な価格高騰時に補完する「異常補てん」(国と配合飼料メーカーが積立)の2段階の仕組みにより、生産者に対して補てんを実施するものである。いずれも四半期ごとの原料価格が過去1年間の平均輸入価格を一定幅で上回った場合に発動し、補填金が支払われる。配合飼料メーカー負担の積立金は販管費として計上され、その増減が同社業績に影響を及ぼす。近年は輸入原料価格の高騰が続いており、配合飼料メーカー負担の積立金単価は1,825円/トン(前年同期は1,425円)と上昇しており、加えて製造数量も増加していることから積立金負担が増える傾向にある。2025年3月期上半期の同制度積立金は、前年同期比789百万円増の3,286百万円となった。同期間の営業利益(3,355百万円)に匹敵する金額であり、そのインパクトの大きさがわかる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)



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