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恵和 Research Memo(6):PC・車載向け等の需要拡大、医療用フィルムは成長トリガーに

*14:06JST 恵和 Research Memo(6):PC・車載向け等の需要拡大、医療用フィルムは成長トリガーに
■今後の見通し

1. 2024年12月期の業績見通し
恵和<4251>は2024年12月期中間期決算に合わせて2024年12月期業績予想の上方修正を発表した。修正後の業績予想は売上高19,798百万円(前期比12.7%増)、営業利益3,146百万円(同28.1%増)、経常利益3,275百万円(同18.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,192百万円(同10.6%増)となる。修正の主な理由は、中間期までの業績及び今後の見通しを考慮したほか、地球の絆創膏事業に関する方針変更や、為替相場の動向を踏まえた当四半期以降の平均為替レートの変更(期初設定の1米ドル=138円から1米ドル=143円に見直し)を反映したことである。2024年12月期第3四半期においては、この計画を据え置いており、修正計画に対する営業利益の進捗率は97.9%となる。

売上高については、光学シート事業では、ノートパソコン・タブレット向け売上増加の継続や、好調な車載、ゴーグル型VRデバイス向けなどの受注拡大に伴う高機能フィルムの売上増加を見込む。生活・環境イノベーション事業では、クリーンエネルギー車向け特殊フィルムや医療衛生用フィルム等、付加価値の高い製品の売上増加を見込むが、太陽光パネル向けの売上減少も想定しており、通期での売上は前期並みと見ている。地球の絆創膏事業については、売上をほとんど見込んでいない。利益面では、セグメント利益率について、光学シート事業では増収効果により上昇を見込むが、生活・環境イノベーション事業では2023年12月期比微減を想定している。地球の絆創膏事業については、経営資源の一部を他事業に振り向けることで損失を補う考えだが、セグメント損失計上の予想である。

全体の営業利益率としては15.9%(同1.9ポイント増)となるが、営業利益の進捗率のペースに比較するとやや保守的に映る。同社としては地球の絆創膏事業で生じる費用・損失や為替動向を意識しているようであるが、最終的には業績上振れの余地は十分あると弊社では見ている。

2. セグメント別の業績見通し
(1) 光学シート事業
2024年12月期の光学シート事業の売上高は15,722百万円(前期比17.0%増)、セグメント利益は6,884百万円(同23.2%増)を計画する。ノートパソコン・タブレット向けの売上は、それぞれ前期比17.5%増、同15.6%増を見込む。市場の在庫調整からの回復が継続することが予想されるほか、社会でのAI利用の進展に伴う「AIパソコン」への買換え需要や、2025年のWindows10の保守切れといったイベントが、ノートパソコンやタブレットの出荷の増加を後押しすると予想される。同社はこの状況を追い風に、既存取引先のシェアアップや新規取引先の開拓を継続して推進することで売上増加を目指す。また車載向け売上高は同20.3%増と好調の維持を見込んでいる。VR用のモニターやゴーグル型端末向け製品については、現状はまだ小規模ながら同98.4%増と大きな成長を計画しており、今後の成長分野として楽しみな存在である。セグメント利益率については増収効果により43.8%(同2.2ポイント増)を見込んでいる。

(2) 生活・環境イノベーション事業
2024年12月期の生活・環境イノベーション事業の売上高は3,922百万円(前期比1.8%減)、セグメント利益は308百万円(同8.6%減)を計画する。製品別の売上高は、販売に注力するクリーンエネルギー車向けの特殊フィルム製品や、医療衛生用フィルムの売上増を見込む。医療用工程フィルムについては、受注増加を受けて追加の設備投資を計画している。一方で太陽光パネル向けの減少を見込むため、売上高はほぼ前期並みを予想している。セグメント利益率は7.9%(同0.6ポイント減)と微減を見込む。現在は、販売に注力する高付加価値製品を中心とした事業ポートフォリオの構築に向けて改善を進めており、2025年12月期以降の収益寄与に期待したい。

(3) 地球の絆創膏事業
2024年12月期の地球の絆創膏事業の売上高は153百万円(前期比14.2%増)、セグメント損失は546百万円(前期は440百万円の損失)を見込む。新規受注を原則停止し、企業向けの一部の需要に対応する予定で、2024年12月期は翌期以降の受注の本格再開に向けた準備期間となる。社内で抱える同事業向け資源の一部を他事業向けに転用する予定で、セグメント損失は前期比より増大するものと見込んでいる。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)



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