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ニッポンインシュア Research Memo(8):成長戦略に「事業展開」等の3点を掲げ、家賃債務保証サービスを拡大

*15:38JST ニッポンインシュア Research Memo(8):成長戦略に「事業展開」等の3点を掲げ、家賃債務保証サービスを拡大
■成長戦略

1. 主要戦略
ニッポンインシュア<5843>の成長戦略として、「事業展開(エリア展開と新しい商品展開)」「システム開発によるコストリーダーシップの実現」「接客技術の継続的向上」の3点を掲げる。不動産会社から生まれた家賃保証会社という経歴に基づく独自の営業力とシステム開発力、質の高いサービス提供により、顧客満足度を向上させるとともに業績向上を図る。

「事業展開」では、地元の福岡や、東京、神奈川といった主要マーケットをはじめ、支店を置く国内主要都市において事業展開を進める。各支店を地域の要と位置付け、支店地域のみならず周辺地域へも営業活動を推進する。各支店で取引関係のある不動産管理会社との関係を生かして周辺地域の同業者の紹介を受けるなど、新規取引先を積極的に開拓し、顧客契約件数の増加を図る。強みである経歴を背景とした提案力や、後述するシステム開発力に裏付けられたサービス提供力、高い債権回収率を誇るマネジメント力が武器になる。各拠点を中心にエリア展開を図るとともに、将来的には他の地域への進出も考えられる。

さらに、家賃債務保証サービスで培った営業力や商品提供力を、介護・医療等の新領域で活用し、ビジネスを拡大することも期待される。

「システム開発によるコストリーダーシップの実現」では、顧客からの契約受付~審査~契約までの事務処理や、契約後の家賃の支払管理に関する業務を徹底的にデジタル化することで、コスト削減と同時に、処理能力や債権回収率の向上を推進している。申込書や契約書はOCRにより電子申込システムと連携し、審査や契約に関する処理はRPAによる自動化を進めている。契約した顧客に対しては、家賃の支払案内や問い合わせでオートコールやAIオペレータ等を活用していることから、契約者増加の際にもシステム処理能力の増強だけで対応可能となっている。このようなバックオフィス系の業務は、顧客の増加に伴い業務量が積み上がり負荷がかかるため人員を増やす必要があるが、徹底的にシステム化することでコスト削減と省力化を実現している。契約数が増加するほど規模の経済が働きコスト競争力が強化され、優位性として機能するだろう。また同社は「Cloud Insure」という独自システムを導入しており、同社と不動産管理会社が共同利用して、契約内容や顧客情報を管理する。顧客需要に迅速に対応できるほか、事務のペーパーレス化にもつながり、利便性とコスト削減に効果を発揮している。不動産業界のDX推進が予想され、呼応して機能アップすることで不動産管理会社やエンドユーザーである顧客へのサービスを強化する。

「接客技術の継続的向上」では、営業活動で培ってきた不動産会社に対する課題解決力や、顧客に寄り添ったサービス提案力、独自の審査基準、情報収集・共有力といったスキルを形式知化して人材育成に生かし、営業力や顧客対応力等の接客技術を定着・向上させる。取引先の新規開拓や既存取引先との深耕、従業員の生産性向上に役立て、さらに顧客満足度を高めるとともに業績拡大を図る。情報やスキルを常にアップデートすることで、競争力強化につなげる。

2. 今後の重点的取り組み
今後の重点的取り組みとして、事業の成長と基盤の強化に向け、売上、収益、システムの3つの領域における戦略と計画を掲げている。具体的な目標時期は明示されていないが、業績動向と併せて注目したい。

売上面では、サービスの多角化による事業拡大、業務効率化の推進、継続的な業務改善と革新を掲げている。計画として、商品のブラッシュアップによる提案、介護費・入院費で他業界へのサービス提供、システム導入による差別化、情報の可視化による分析で効率的・効果的な営業の4点を挙げ、売上の向上を目指す。

収益面については、債権管理領域における戦略として、業務の自動化、能力の平準化、効率的な回収と業務品質の維持を掲げる。計画では、オートメーション化による休日や時間外の対応、SMS請求ツール統合と顧客一元管理、社員教育による意識の統一と正確な情報共有、迅速な現地訪問による状況把握、遠方エリアの調査会社利用の5点を挙げている。業務省力化により債権回収を効率的に実施し収益性向上を図る。

システム領域における戦略として、Cloud Insureの利便性改修による顧客ロイヤルティの向上、DX推進による業務効率の向上、稼働システムの評価と改善の3点を掲げる。計画では、Cloud Insureのユーザビリティ向上(電子契約等の新機能導入)、AI(AI-OCR)を用いたデータ分析と業務利用による業務効率化、基幹システムの機能改善を挙げている。システム基盤の充実を図り、業績拡大・向上を支える。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)




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