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藤商事 Research Memo(7):「アニメ」ジャンルを中心に魅力的な新機種を開発し、シェア拡大による成長を目指す
2024/12/12 16:17
*16:17JST 藤商事 Research Memo(7):「アニメ」ジャンルを中心に魅力的な新機種を開発し、シェア拡大による成長を目指す
■藤商事<6257>の今後の見通し
3. 成長戦略
同社は今後の成長戦略を、開発戦略、商品戦略、原価低減施策、人材戦略の4つのテーマに分けて、その取り組みを推進している。
(1) 開発戦略
同社は2019年より全国のパチンコホールを訪問して、競合メーカーの機種比較も含めた綿密な分析を行い、開発部門に市場のニーズや改善点などをフィードバックすることで、新機種の開発に取り組んできた。改善項目として、音や映像の表現方法から玉の出方、ハンドルの形状に至るまですべて洗い出し、新機種の開発に反映させており、2021年3月期以降に投入した「とある」シリーズや、2023年3月期に投入された「Pサラリーマン金太郎」、「Lゴブリンスレイヤー」等のヒットにつながったと弊社では見ている。同社は今後もトレンドの先端を行く独創的な新機種の開発や、顧客視点での魅力的な新機種を開発し続けることで業界シェアを拡大する戦略で、パチンコ遊技機では10%超、パチスロ遊技機では5%超を当面の目標に掲げている。
(2) 商品戦略
商品戦略としては従来の「ホラー」「萌え」ジャンルに加えて、「アニメ」ジャンルの育成にも注力しており、IPの取得も積極的に進めている。2025年3月期のパチンコ遊技機の新機種5タイトル中、4タイトルが「アニメ」ジャンルで占め、うち2タイトルが新規IPを活用した機種である。コロナ禍以降、シニア世代の客足の戻りが鈍いなかで、若者世代の固定客をいかに取り込むことができるかがシェア拡大のカギを握ると見られ、「アニメ」ジャンルを強化する戦略は理に適っていると考えられる。
(3) 原価低減施策
原価低減施策としては、リユース品の積極活用に加えて開発段階からの低減活動を進めている。具体的には設計の見直しによって、従来は機種ごとに異なっていた部材の共通化を可能な限り進め部材コストを低減しているほか、ソフトウェアの開発効率向上にも取り組んでいる。リユース品の活用についても部材の回収率を高めていくほか、電源回路などユニット品も含めてすべての品目に対象を広げ、再利用できるかどうか検討を進めている。現状、リユース品の原価に占める比率は3~4%程度と見られるが、5%以上に高めていくことを目標としている。
(4) 人材戦略
同社は人材が企業の成長の源泉であるとの考えのもと、役職者の世代交代の推進により社内の活性化を図るとともに、若手社員が安心・わくわくして仕事に打ち込める環境を整備している。また長期的なキャリア形成意識の醸成により生涯現役で活躍し続ける人材の育成と多様な人生プランに合わせた働き方を支援すべく、2024年4月より新人事制度を導入した。
具体的には、新たに専門職を軸とした等級制度の導入とポストオフ制度(55歳役職定年)を導入したほか、自発的・挑戦的な取り組みに加え人材育成に対する取り組みも評価する、人を育てる評価制度を導入した。報酬制度については、給与のベースアップ(大卒初任給21万円→24万円)だけでなく、競争意欲を喚起する報酬制度を導入した。また、キャリアプラス制度(社内兼業)やキャリア研修、セカンドライフ・キャリアの支援なども新たに導入した。これら新人事制度の導入により、人的資本が強化され社内の活性化が促進されることで収益成長につながるものと期待される。
経常利益30億円以上を継続する経営基盤の構築と株主還元の充実、IR活動強化によって企業価値の向上を目指す
4. 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
同社の株価はPBRで0.6倍前後と1.0倍を下回る水準が長らく続いている。PBRが1倍を下回っている要因として、1) 遊技機メーカーのビジネスモデルが開発先行型であり、継続した新機種開発のためには潤沢な内部留保とキャッシュを保持しておく必要があるためROEが低くなる傾向にあること、2) 新機種の投入タイトル数が年間でも10タイトル以下と業界大手と比べると少ないため、ヒット機種の有無によって業績が大きく変動しやすく、時には損失を計上するケースもあるなど業績の変動リスクが大きいことが影響していると弊社では見ている。
こうした状況に対して、同社は資本コストや株価を意識した経営に取り組むことで企業価値を高め、PBR1.0倍以上を目指す考えだ。具体的な取り組みとしては、株主資本コスト(約4%)を超えるROE(2024年3月期実績8.8%)を確保するために必要な利益(経常利益で30億円以上)を安定的に計上する経営基盤の構築に取り組む。スマート遊技機の開発促進や稼働力の高い新機種を開発し続けることで、一定の市場シェアを獲得し30億円以上の経常利益を継続する方針だ。パチスロ遊技機の年間投入タイトル数を2026年3月期以降増やし、事業規模を拡大することで収益の安定化を図ることもその一環となる。また、株主還元策についても利益還元の姿勢をより明確かつ充実させるため、1株当たり配当金で50.0円を下限とし、業績連動(配当性向30%以上)に応じた配当を実施することにした。さらには、IR活動の強化による投資家との対話促進にも継続的に取り組んでいく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■藤商事<6257>の今後の見通し
3. 成長戦略
同社は今後の成長戦略を、開発戦略、商品戦略、原価低減施策、人材戦略の4つのテーマに分けて、その取り組みを推進している。
(1) 開発戦略
同社は2019年より全国のパチンコホールを訪問して、競合メーカーの機種比較も含めた綿密な分析を行い、開発部門に市場のニーズや改善点などをフィードバックすることで、新機種の開発に取り組んできた。改善項目として、音や映像の表現方法から玉の出方、ハンドルの形状に至るまですべて洗い出し、新機種の開発に反映させており、2021年3月期以降に投入した「とある」シリーズや、2023年3月期に投入された「Pサラリーマン金太郎」、「Lゴブリンスレイヤー」等のヒットにつながったと弊社では見ている。同社は今後もトレンドの先端を行く独創的な新機種の開発や、顧客視点での魅力的な新機種を開発し続けることで業界シェアを拡大する戦略で、パチンコ遊技機では10%超、パチスロ遊技機では5%超を当面の目標に掲げている。
(2) 商品戦略
商品戦略としては従来の「ホラー」「萌え」ジャンルに加えて、「アニメ」ジャンルの育成にも注力しており、IPの取得も積極的に進めている。2025年3月期のパチンコ遊技機の新機種5タイトル中、4タイトルが「アニメ」ジャンルで占め、うち2タイトルが新規IPを活用した機種である。コロナ禍以降、シニア世代の客足の戻りが鈍いなかで、若者世代の固定客をいかに取り込むことができるかがシェア拡大のカギを握ると見られ、「アニメ」ジャンルを強化する戦略は理に適っていると考えられる。
(3) 原価低減施策
原価低減施策としては、リユース品の積極活用に加えて開発段階からの低減活動を進めている。具体的には設計の見直しによって、従来は機種ごとに異なっていた部材の共通化を可能な限り進め部材コストを低減しているほか、ソフトウェアの開発効率向上にも取り組んでいる。リユース品の活用についても部材の回収率を高めていくほか、電源回路などユニット品も含めてすべての品目に対象を広げ、再利用できるかどうか検討を進めている。現状、リユース品の原価に占める比率は3~4%程度と見られるが、5%以上に高めていくことを目標としている。
(4) 人材戦略
同社は人材が企業の成長の源泉であるとの考えのもと、役職者の世代交代の推進により社内の活性化を図るとともに、若手社員が安心・わくわくして仕事に打ち込める環境を整備している。また長期的なキャリア形成意識の醸成により生涯現役で活躍し続ける人材の育成と多様な人生プランに合わせた働き方を支援すべく、2024年4月より新人事制度を導入した。
具体的には、新たに専門職を軸とした等級制度の導入とポストオフ制度(55歳役職定年)を導入したほか、自発的・挑戦的な取り組みに加え人材育成に対する取り組みも評価する、人を育てる評価制度を導入した。報酬制度については、給与のベースアップ(大卒初任給21万円→24万円)だけでなく、競争意欲を喚起する報酬制度を導入した。また、キャリアプラス制度(社内兼業)やキャリア研修、セカンドライフ・キャリアの支援なども新たに導入した。これら新人事制度の導入により、人的資本が強化され社内の活性化が促進されることで収益成長につながるものと期待される。
経常利益30億円以上を継続する経営基盤の構築と株主還元の充実、IR活動強化によって企業価値の向上を目指す
4. 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
同社の株価はPBRで0.6倍前後と1.0倍を下回る水準が長らく続いている。PBRが1倍を下回っている要因として、1) 遊技機メーカーのビジネスモデルが開発先行型であり、継続した新機種開発のためには潤沢な内部留保とキャッシュを保持しておく必要があるためROEが低くなる傾向にあること、2) 新機種の投入タイトル数が年間でも10タイトル以下と業界大手と比べると少ないため、ヒット機種の有無によって業績が大きく変動しやすく、時には損失を計上するケースもあるなど業績の変動リスクが大きいことが影響していると弊社では見ている。
こうした状況に対して、同社は資本コストや株価を意識した経営に取り組むことで企業価値を高め、PBR1.0倍以上を目指す考えだ。具体的な取り組みとしては、株主資本コスト(約4%)を超えるROE(2024年3月期実績8.8%)を確保するために必要な利益(経常利益で30億円以上)を安定的に計上する経営基盤の構築に取り組む。スマート遊技機の開発促進や稼働力の高い新機種を開発し続けることで、一定の市場シェアを獲得し30億円以上の経常利益を継続する方針だ。パチスロ遊技機の年間投入タイトル数を2026年3月期以降増やし、事業規模を拡大することで収益の安定化を図ることもその一環となる。また、株主還元策についても利益還元の姿勢をより明確かつ充実させるため、1株当たり配当金で50.0円を下限とし、業績連動(配当性向30%以上)に応じた配当を実施することにした。さらには、IR活動の強化による投資家との対話促進にも継続的に取り組んでいく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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