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SFP Research Memo(3):2021年2月期以降、コロナ禍の影響を受けてきたが、足元業績は本格回復の兆し
2024/10/28 13:03
*13:03JST SFP Research Memo(3):2021年2月期以降、コロナ禍の影響を受けてきたが、足元業績は本格回復の兆し
■SFPホールディングス<3198>の決算動向
1. 過去の業績推移
コロナ禍前(2020年2月期まで)の業績を振り返ると、店舗数の拡大が同社の成長をけん引してきた。特に、独自の収益モデルによる「磯丸水産」の出店が本格化した2010年9月期以降、業績の伸びが加速し、経常利益率も売上高の拡大に伴って大きく改善した。2013年9月期の経常利益率が目標とする8%を超えると、2015年9月期には11.7%にまで上昇し、その後も高い水準を維持した。2020年2月期は独自の「SFPフードアライアンス構想」の開始もあり店舗数及び業績は拡大したが、2021年2月期以降は、コロナ禍の影響により売上高は大きく後退したため不採算店舗の退店にも取り組んだ。その後、アフターコロナにおいては国内消費の回復やインバウンド需要の取り込み等により、足元業績はコロナ禍前の水準に戻ってきた。新たな成長ステージに向けて地方都市への出店や注力業態の育成にも取り組んでいる。
財務面では、2014年12月の東証2部への新規上場に伴う公募増資(約127億円)により、2015年9月期末の自己資本比率は76.8%に上昇し、その後もおよそ70%を超える水準で推移してきた。2021年2月期はコロナ禍の影響により親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことと、運転資金の借入(約90億円)を実施したことで自己資本比率が一時的に低下したものの、2022年2月期末には77.3%とコロナ禍前の水準に回復した。2024年2月期は上場維持基準(流通株式比率)への適合等を目的とする自己株式の取得により自己資本比率が58.2%に低下したが、自己資本利益率(ROE)は17.1%と大きく改善しており、財務バランスは非常に優れていると評価できる。
2. 2025年2月期上期の業績
2025年2月期上期の業績は、売上高が前年同期比5.3%増の15,037百万円、営業利益が同10.1%減の907百万円、経常利益が同7.7%減の1,023百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同8.2%増の705百万円と増収ながら営業減益となった。
夏場における台風の影響により一部店舗で休業が発生したものの、アフターコロナから取り組んできた営業時間(深夜帯)の伸長や好調なインバウンド需要の取り込みが奏功し、増収を確保した。既存店売上高(上期平均)は前年比104.8%に増加しており、とりわけ訪日客の売上高は高価格帯商品投入効果もあり拡大傾向をたどっている。また、前期より取り組んでいる地方都市への出店効果も順調に積み上げることができた。
出退店については、新規出店4店舗(うちFC2店舗)及び業態転換により1店舗を出店した一方、退店2店舗により2024年8月末の店舗数は207店舗(うちFC18店舗)となった。
損益面では、食事利用メインの訪日客増が原価率の押し上げ要因となった一方、メニュー見直し等により円安及び物価高による影響は限定的であり、ほぼ前年同期並みの原価率水準を維持することができた。ただ、販管費については、前期における採用拡大に伴う人件費増に加え、光熱費の増加(補助金効果のはく落)により大きく拡大した。第1四半期は、増収による費用増吸収で増益を確保できたものの、第2四半期は台風の影響などを受け減益となり、上期で営業減益となった。
財政状態については大きな変動はなく、総資産は前期末比2.4%増の13,625百万円となった一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同6.0%増の8,210百万円に増加したことから、自己資本比率は60.3%(前期末は58.2%)に改善した。
事業部門別の業績は以下のとおり。
(1) 鳥良事業部門
売上高は前年同期比1.5%増の2,620百万円となった。出退店はなく、2024年8月末の店舗数は35店舗となった。
(2) 磯丸事業部門
売上高は前年同期比5.5%増の9,121百万円となった。新規出店3店舗※及び退店1店舗により、2024年8月末の店舗数は直営99店舗、FC18店舗となった。
※ 「磯丸水産」1店舗(なんばセンター街店)のほか、「磯丸水産」(FC)1店舗(金沢店)、「磯丸水産食堂」(FC)1店舗(横浜ワールドポーターズ店)を出店。
(3) その他部門(大衆酒場業態を含む)
売上高は前年同期比11.6%増の2,278百万円となった。新規出店1店舗及び業態転換1店舗※により、2024年8月末の店舗数は31店舗となった。なお、そのうち注力している大衆酒場業態(「五の五」)の店舗数は10店舗である。
※ 「五の五」の新規出店1店舗(大阪・天王寺)及び業態転換1店舗(横浜)。
(4) フードアライアンスメンンバー(連結子会社)
売上高は前年同期比0.4%減の1,016百万円となった。退店1店舗により、2024年8月末の店舗数は24店舗となった。
3. 2025年2月期上期の総括
2025年2月期上期を総括すると、1) 採用拡大に伴う人件費増と2) 夏場における台風の影響により、利益面ではやや出遅れたものの、1) は前向きな費用増であることや、2) についても一過性の外部要因であることを勘案すれば、構造的なネガティブとして捉える必要はないであろう。一方、営業時間の伸長とともに既存店が順調に伸びているところは、同社業態の優位性が失われていないことを実証するものとして評価したい。また、好調なインバウンド需要が続くなかで、「磯丸水産」スタイルが訪日客を惹きつける誘引力となり、新たな収益ドライバーになっていることや、地方都市への出店についても、前期出店分を含めて、着実に実績が積み上がってきたことは、今後に向けても明るい材料と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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■SFPホールディングス<3198>の決算動向
1. 過去の業績推移
コロナ禍前(2020年2月期まで)の業績を振り返ると、店舗数の拡大が同社の成長をけん引してきた。特に、独自の収益モデルによる「磯丸水産」の出店が本格化した2010年9月期以降、業績の伸びが加速し、経常利益率も売上高の拡大に伴って大きく改善した。2013年9月期の経常利益率が目標とする8%を超えると、2015年9月期には11.7%にまで上昇し、その後も高い水準を維持した。2020年2月期は独自の「SFPフードアライアンス構想」の開始もあり店舗数及び業績は拡大したが、2021年2月期以降は、コロナ禍の影響により売上高は大きく後退したため不採算店舗の退店にも取り組んだ。その後、アフターコロナにおいては国内消費の回復やインバウンド需要の取り込み等により、足元業績はコロナ禍前の水準に戻ってきた。新たな成長ステージに向けて地方都市への出店や注力業態の育成にも取り組んでいる。
財務面では、2014年12月の東証2部への新規上場に伴う公募増資(約127億円)により、2015年9月期末の自己資本比率は76.8%に上昇し、その後もおよそ70%を超える水準で推移してきた。2021年2月期はコロナ禍の影響により親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことと、運転資金の借入(約90億円)を実施したことで自己資本比率が一時的に低下したものの、2022年2月期末には77.3%とコロナ禍前の水準に回復した。2024年2月期は上場維持基準(流通株式比率)への適合等を目的とする自己株式の取得により自己資本比率が58.2%に低下したが、自己資本利益率(ROE)は17.1%と大きく改善しており、財務バランスは非常に優れていると評価できる。
2. 2025年2月期上期の業績
2025年2月期上期の業績は、売上高が前年同期比5.3%増の15,037百万円、営業利益が同10.1%減の907百万円、経常利益が同7.7%減の1,023百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同8.2%増の705百万円と増収ながら営業減益となった。
夏場における台風の影響により一部店舗で休業が発生したものの、アフターコロナから取り組んできた営業時間(深夜帯)の伸長や好調なインバウンド需要の取り込みが奏功し、増収を確保した。既存店売上高(上期平均)は前年比104.8%に増加しており、とりわけ訪日客の売上高は高価格帯商品投入効果もあり拡大傾向をたどっている。また、前期より取り組んでいる地方都市への出店効果も順調に積み上げることができた。
出退店については、新規出店4店舗(うちFC2店舗)及び業態転換により1店舗を出店した一方、退店2店舗により2024年8月末の店舗数は207店舗(うちFC18店舗)となった。
損益面では、食事利用メインの訪日客増が原価率の押し上げ要因となった一方、メニュー見直し等により円安及び物価高による影響は限定的であり、ほぼ前年同期並みの原価率水準を維持することができた。ただ、販管費については、前期における採用拡大に伴う人件費増に加え、光熱費の増加(補助金効果のはく落)により大きく拡大した。第1四半期は、増収による費用増吸収で増益を確保できたものの、第2四半期は台風の影響などを受け減益となり、上期で営業減益となった。
財政状態については大きな変動はなく、総資産は前期末比2.4%増の13,625百万円となった一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同6.0%増の8,210百万円に増加したことから、自己資本比率は60.3%(前期末は58.2%)に改善した。
事業部門別の業績は以下のとおり。
(1) 鳥良事業部門
売上高は前年同期比1.5%増の2,620百万円となった。出退店はなく、2024年8月末の店舗数は35店舗となった。
(2) 磯丸事業部門
売上高は前年同期比5.5%増の9,121百万円となった。新規出店3店舗※及び退店1店舗により、2024年8月末の店舗数は直営99店舗、FC18店舗となった。
※ 「磯丸水産」1店舗(なんばセンター街店)のほか、「磯丸水産」(FC)1店舗(金沢店)、「磯丸水産食堂」(FC)1店舗(横浜ワールドポーターズ店)を出店。
(3) その他部門(大衆酒場業態を含む)
売上高は前年同期比11.6%増の2,278百万円となった。新規出店1店舗及び業態転換1店舗※により、2024年8月末の店舗数は31店舗となった。なお、そのうち注力している大衆酒場業態(「五の五」)の店舗数は10店舗である。
※ 「五の五」の新規出店1店舗(大阪・天王寺)及び業態転換1店舗(横浜)。
(4) フードアライアンスメンンバー(連結子会社)
売上高は前年同期比0.4%減の1,016百万円となった。退店1店舗により、2024年8月末の店舗数は24店舗となった。
3. 2025年2月期上期の総括
2025年2月期上期を総括すると、1) 採用拡大に伴う人件費増と2) 夏場における台風の影響により、利益面ではやや出遅れたものの、1) は前向きな費用増であることや、2) についても一過性の外部要因であることを勘案すれば、構造的なネガティブとして捉える必要はないであろう。一方、営業時間の伸長とともに既存店が順調に伸びているところは、同社業態の優位性が失われていないことを実証するものとして評価したい。また、好調なインバウンド需要が続くなかで、「磯丸水産」スタイルが訪日客を惹きつける誘引力となり、新たな収益ドライバーになっていることや、地方都市への出店についても、前期出店分を含めて、着実に実績が積み上がってきたことは、今後に向けても明るい材料と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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