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平山 Research Memo(3):製造業向けを中心としたインソーシング・派遣事業が売上高、営業利益の約8割を占める

*12:03JST 平山 Research Memo(3):製造業向けを中心としたインソーシング・派遣事業が売上高、営業利益の約8割を占める
■事業概要

1. 事業内容
平山ホールディングス<7781>の事業は、製造業を主力顧客としたインソーシング・派遣事業、開発設計技術者等の派遣を行う技術者派遣事業、タイにおける製造派遣を主とした海外事業、その他事業の4つの事業セグメントで開示している。2024年6月期のセグメント別構成比では、インソーシング・派遣事業が売上高の80.1%、営業利益の76.2%を占める主力事業となっている。

(1) インソーシング・派遣事業
インソーシング・派遣事業は、製造業向けを中心に事業を拡大してきたが、2018年にFUN to FUNを子会社化したことで、小売業やサービス業(外食・宿泊・物流等)向けにも事業領域を拡大している。請負比率は2024年6月期で4割弱の水準となっている。製造請負では、平山に所属する現場改善コンサルタント※と連携して生産性向上やコスト削減に取り組むなど、他社にはないサービスを提供することで差別化を図っている。

※ 大手製造企業等の製造現場で改善活動に長年従事してきた経験者等で構成されており、顧客視点で問題点を改善し、技術・品質・コスト面で競争力の向上を図り、生産性の高い製造現場構築に努めている。現在、正社員で5名、パートナーとして20名程度のコンサルタントが従事している。

製造請負のビジネスモデルは、成果物に対して発注者から報酬が支払われる契約であるため、売上高は成果物単価×生産個数(製造設備は取引先(メーカー)から賃貸)で決まる仕組みとなっている。このため、現場改善の取り組みにより生産性向上を図り、製造コストを引き下げることができれば利益率が上昇し、逆に生産性が想定を下回れば利益率も低下する。一方、派遣サービスの売上高は派遣人数×時給×労働時間で決まるため、売上総利益率は一定水準で安定する反面、競合他社との差別化が難しい。このため、新規顧客への営業戦略として、まずは派遣契約から入り、その後に請負契約への切り替えを提案する。

顧客業種別売上構成比は、自動車部品、医療機器・医薬品、食品の3業種で全体の約6割を占めている。このほか建設機器・特殊車輛、デジタル関連(オフィス機器、家電、電子印刷等)、小売・ホテル、住宅設備、物流、半導体・電子部品と幅広い業種に展開している。このうち、製造業を平山で、小売・ホテルや物流などのサービス業界や食品業界の大半をFUN to FUNで手掛けている。2024年6月期における取引稼働社数は682社(前期703社)と若干減少したが、主にFUN to FUNにおいて食品業界を中心に低採算案件の整理を進めたことが主因だ。業種別の主要顧客は、自動車部品でトヨタ自動車<7203>グループ、医療機器・医薬品でテルモ、オフィス機器でリコー<7752>グループ、小売でイオン<8267>グループで都市型小型食品スーパーマーケット「まいばすけっと」を運営するまいばすけっと(株)、住宅設備でLIXIL<5938>グループ、TOTO<5332>グループ等が挙げられる。

(2) 技術者派遣事業
トップエンジニアリングが主に展開する技術者派遣事業では、宇宙航空・自動車・鉄道・プラント・家電・精密機器など幅広い分野のメーカーに対して、設計・開発や評価・解析等を行うエンジニアの派遣を行っているほか、フィールドエンジニアやデータセンター向けITエンジニアの派遣も行っている。2024年6月期における取引稼働社数は150社(前期は123社)、技術者の期末在籍数は525名(前期末は495名)といずれも過去最高を更新した。

(3) 海外事業
海外事業の売上の大半は、タイにおける現地日系企業向けの製造派遣事業が占めている。国内と同様、現場改善コンサルタントと連携したサービスを提供し、現場改善を行うことができる製造派遣会社として顧客開拓を進めている。製造派遣事業はJSHRで、コンサルティング業務や外国人労務管理サービスなどを平山タイで展開している。顧客先は自動車業界が多いため、タイの自動車生産動向と相関が高い。

(4) その他
その他事業は、コンサルティング事業、外国人雇用管理サポート事業、有料職業紹介事業、障がい福祉サービス業のほか、2018年に子会社化した平和鉄工所による機械・機具の製作・修理事業や、2019年に子会社化した平山ケアサービスの介護施設運営及び介護サービス事業などが含まれる。

コンサルティング事業では、製造現場における生産性向上を目的としたコンサルティングサービスのほか、海外メーカーの管理職に対して日本国内の製造現場見学と研修サービスを合わせたスタディツアー等のサービスを企画・提供している。また、サプライチェーンリスクの高まりを背景に製造業の国内回帰の動きが強まるなかで、2022年より工場立ち上げ支援コンサルティングサービスも開始している。製造業では長らく海外生産シフトが続いたこともあり、新規工場立ち上げの経験を持つ人材が枯渇しており、こうした企業からのニーズに応える格好でスタートした。新工場の生産性を高めるためには設備ラインのレイアウト設計やリアルタイムで可視化できる生産管理システム構築などが重要であり、こうした設計段階から支援している。契約期間は規模にもよるが2年程度と長いことから安定収益源となる。また、新工場稼働後に必要となるオペレーターの派遣や請負業務を受託するなどトータルで支援するサービスも開始している。

外国人雇用管理サポート事業では、外国人技能実習生の入国及び受け入れ先企業への入社サポート、寮・社宅物件管理や生活のサポート、帰国サポートまで一気通貫で受託する。グループ会社のサンライズ協同組合が外国人技能実習機構(OTIT)の「一般監理事業」の許可を取得し、ベトナム、ミャンマー、フィリピンの現地専門機関と連携しながら技能実習生の受け入れを行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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