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FCE Research Memo(4):DX推進事業、研修事業ともに好調で2ケタ増収増益

*12:04JST FCE Research Memo(4):DX推進事業、研修事業ともに好調で2ケタ増収増益
■業績動向

1. 2024年9月期第3四半期の業績動向
FCE<9564>の2024年9月期第3四半期の業績は、売上高3,680百万円(前年同期比17.0%増)、営業利益728百万円(同25.3%増)、経常利益735百万円(同28.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益487百万円(同30.6%増)と高い伸びとなった。前年同期同様に、第3四半期で通期業績予想をおおむね達成しており、業績は順調に推移している。

日本経済は、緩やかな回復基調にあるものの、ウクライナ及び中東地域をめぐる情勢の長期化や原材料価格の高騰、金融・為替市場の不安定化などにより不透明な状態が続いている。しかし、同社が展開するDX推進事業に関連する業界は、働き方改革や出社・リモートといった働き方を問わず、自動化や生産性改善に対するニーズは継続しており、市場環境は良好な状況が続いている。教育研修事業に関連する研修業界もeラーニング市場が拡大を継続しており、教育業界では文部科学省の掲げる「GIGAスクール構想」の下、学校におけるICT環境の整備・強化が継続的に進んでいる。こうした環境下で同社が事業の拡大と収益性の向上に取り組んだ結果、主力製品であるDX推進事業の「RPA Robo-Pat DX」と研修事業の「Smart Boarding」がともに好調に推移し、導入企業数・ARPUともに拡大、売上高は2ケタ増となった。利益面では、業績賞与など人件費を中心にコストが増加したが、高収益のストック型ビジネスであるため売上拡大に伴って採算が改善、営業利益は売上高を上回る伸びとなった。

同社は2024年に入ってから、新たな収益機会の獲得に向けて様々な取り組みを開始した。1月には、日本コスモトピアの全株式を取得して子会社化した。日本コスモトピアは、教育委員会を通じて小中学生の学力向上を支援するデジタル教材「みんなの学習クラブ」を販売するほか、学習塾向けに「Selfee」や「わくわく文庫」など小中高生向け主要教科に対応する自立学習総合支援システム、教室ビジネス事業者向けにICT教材を活用したシニア向け教育コンテンツを販売している。特に「みんなの学習クラブ」と「Selfee」は科目教育を目的にしているため、主体性教育を目的とする同社の「7つの習慣」や「フォーサイト」と強い補完性がある。このため、子会社化により、同社の販売先1,000校と日本コスモトピアの小中学校600校超及び学習塾400校超の顧客を相互に紹介し、クロスセルを行うことで互いの販売増につなげ、将来的には両社の製品をパッケージ化することで教育・学習メソッドを確立するなど、大きなシナジーが期待される。具体的に同社は、子会社化後3ヶ年の事業・シナジー展開に関して、1年目(2024年9月期)はクロスセルの開始や共通コストの効率化などの体制構築フェーズ、2年目は同社との連携強化や新規案件の獲得などのシナジー発現フェーズ、3年目は主体性教育と科目教育のパッケージ化と安定収益構造の確立などの業績拡大フェーズと想定している。日本コスモトピアの業況は順調のため、子会社化によるのれんの償却は発生する予定だが、売上高・利益ともに収益貢献が見込まれ、後述のとおり、子会社化を発表した第1四半期に業績を上方修正した。

また同年5月には、生成AIプロンプトプラットフォーム「ChatFCE」を「FCEプロンプトゲート」へと名称を変更するとともに動画コンテンツをバージョンアップし、新たな事業として本格的な展開を開始した。「FCEプロンプトゲート」は、月額課金で生成AIのプロンプトエンジニアを育成できるプラットフォームを提供するサービスで、同社が得意とするeラーニング形式の動画を通じて「AIプロンプト8+1の公式」の基礎を学び、テンプレート機能でプロンプトを作成し、データベースで管理・共有できる。教育現場で生成AIの活用への関心が高まってきたため、まずは同社顧客である全国約1,100校の学校への導入を推進し、さらに全国の教育委員会及び小中高35,000校を対象に「FCEプロンプトゲートアカデミック」の提案を進めていく。セミナーやWebマーケティングにより直販を先行する方針だが、同社の代理店網を活用することで2025年9月期にはある程度まとまった売上高を確保する考えだ。

さらに同年8月には、リンクアンドモチベーションと資本業務提携契約を締結した。リンクアンドモチベーションはモチベーションにフォーカスした経営コンサルタント会社で、顧客に大企業が多く、モチベーションの面から採用や育成、制度、風土などの組織人事に関わるソリューションを提供している。具体的には3Division・6事業を展開しているが、そのうち従業員エンゲージメントの向上を支援するコンサル・クラウド事業を成長ドライバーとして注力しており、なかでも組織改善クラウド「モチベーションクラウドシリーズ」を積極的に営業推進している。このように両社の顧客と製品は補完関係にあることから、同社が中小企業へ向けて「モチベーションクラウドシリーズ」を販売することで従業員エンゲージメントの向上を支援し、リンクアンドモチベーションは大企業に向けて「RPA Robo-Pat DX」や「FCEプロンプトゲート」を販売することで生産性向上を支援するなど、クロスセルによるシナジーを発揮することが期待できる。今回の提携は同社の中期的な業績向上に寄与することが予想されるが、リンクアンドモチベーションにおいても2027年の同社製品の月商を50百万円程度と想定しており、同社との提携には大きな期待を寄せているようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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