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AndDo Research Memo(6):不動産事業をけん引役に2期連続で過去最高業績を更新

*11:06JST AndDo Research Memo(6):不動産事業をけん引役に2期連続で過去最高業績を更新
■業績動向

1. 2024年6月期の業績概要
And Doホールディングス<3457>の2024年6月期の連結業績は、売上高が前期比36.4%増の67,579百万円、営業利益が同13.0%増の3,587百万円、経常利益が同2.9%増の3,457百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同12.8%増の2,476百万円となり、売上高、各段階利益ともに過去最高業績を2期連続で更新した。期初計画比では営業利益と経常利益が未達となったものの、不動産売買事業で利益を積み上げたことや、売上が2ケタ伸長するなかで販管費の伸びを適切にコントロールしたことで、営業利益は期初計画から0.3%減にとどまった。また、経常利益は匿名組合投資利益が減少した一方で、有利子負債の増加によって支払利息が増加したことで、営業外損益がマイナスとなったことが影響した。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益を計上したことにより、期初計画を上回って着地した。

事業セグメント別の動向としては、成長強化事業である不動産売買事業が引き続き業績をけん引した。注力している住宅系不動産の販売が好調に推移したことに加えて、コロナ禍に割安で仕入れた大型物件の売上が伸びたことも業績の拡大に寄与した。これらにより同事業の売上高は前期比73.1%増、営業利益は同33.9%増と急伸し、連結ベース売上高急伸と営業増益に貢献した。

(1) フランチャイズ事業
フランチャイズ事業の売上高は前期比0.7%増の3,237百万円、営業利益は同2.1%減の2,011百万円となった。開発余力の大きい首都圏エリアのほか、近畿、九州エリアの都市部を中心に、ブランド認知度の向上に加えて、積極的な広告宣伝投資と人材投資により、新規加盟店舗の獲得に注力した。コロナ禍で一時的に増加した退会数も平常化しており、累計加盟店舗数は順調に増加している。2024年6月期における新規加盟店舗数は104店舗(前期比8.8%減)で、累計加盟店舗数は707店舗(前期末比15店舗増)に増加した。また、スーパーバイザーによる加盟店フォロー体制の強化や各種新規サービスの開発及び提携企業の拡充を進めた結果、新規開店店舗数は100店舗(前期比19.4%減)、累計開店店舗数は643店舗(前期末比20店舗増)となった。累計加盟店舗数、累計開店店舗数は引き続き増加傾向にあるが、都市部注力エリアに加えて、九州エリアでの新規獲得が順調だったことが寄与した。また最近では、不動産のプロ経営者の新規加盟も増加しているほか、既存オーナーの複数出店も増えてきている。なお、わずかに減益となっているのは加盟開発促進に向けた人材投資を積極化したことが要因である。今後は、トップラインの拡大に伴って利益も積み上がることが想定される。

(2) ハウス・リースバック事業
ハウス・リースバック事業の売上高は前期比17.0%増の26,088百万円、営業利益は同1.3%減の3,208百万円となった。売上高はファンドへの売却を進めた結果、大きく伸びた。営業利益に関しては、前期に発生した大型収益物件売却の反動を受け、わずかながら減益となった。

老後の生活資金や事業資金への活用など顧客のニーズが高いなか、問い合わせ件数及び仕入契約件数が順調に推移し、新たに1,171件の物件を取得した。また、充実した在庫を生かして流動化を実施し1,226件をファンドや不動産買取会社などへ譲渡、再売買及び処分した。特にHLBファンド19号に対する譲渡は、53.6億円と過去最高額となった。こうしたなか、ファンドからの利益である匿名組合投資利益は同26.8%減の390百万円となった。ファンドへの譲渡による資産の流動化を推進したものの、HLBファンドの変則計上という一過性の要因により減益となった格好だ。これらの結果、累計保有件数は前期末比86件減の587件、累計保有総額は同16.2%減の8,880百万円となった。市場環境は良好であり、事業自体も順調に進捗したと弊社は見ている。流動化を促進しながらも保有物件は依然として高水準で持ち越されていることから、今後のさらなる成長が期待できる。なお、ファンドへ譲渡した後に得られる配当や解散時の分配金などもこのスキームに係る収益であるが、損益計算書では営業外収益に計上されるため、これを勘案して事業の収益を見る必要がある。

(3) 金融事業
金融事業の売上高は前期比6.5%減の491百万円、営業利益は同9.5%減の105百万円となった。同事業は、非中核事業である不動産担保融資の縮小に伴い減収減益となったものの、成長強化事業であるリバースモーゲージ保証事業は順調な進捗を見せた。提携金融機関の新規開拓及び連携強化によりリバースモーゲージ保証の認知度拡大と利用促進を図った結果、首都圏を始めとして取扱件数は順調に増加し、新規保証件数は前期比29.5%増の545件、累計保証件数は前期末比454件増の1,639件、累計保証残高は前期末比58.3%増の20,841百万円まで拡大した。不動産担保融資縮小の影響が下げ止まっていることに加えて、リバースモーゲージ保証残高を順調に積み上げたことで、減収減益幅が縮小した。今後は、保証残高が積み上がり事業規模が拡大するにつれ収益性も順調に高まるものと弊社は見ている。

提携金融機関に関しては、2024年6月期も首都圏の金融機関を中心に順調に提携先を増やした。提携金融機関が拡大するなかで今後、リバースモーゲージ保証事業がより一層浸透・普及していくことが期待される。

(4) 不動産売買事業
不動産売買事業の売上高は前期比73.1%増の34,444百万円、営業利益は同33.9%増の2,386百万円となり、売上高、営業利益ともに急伸した。住宅ローンの低金利が継続し、住宅需要が堅調に推移した結果、取引件数は同57.0%増の1,005件に膨らんだ。こうしたなか、注力する住宅系不動産の売上高は、前期比62.2%増の24,982百万円に急拡大した。加えて、コロナ禍に割安で仕入れた大型不動産の売上高が同110.8%増の9,461百万円に伸びたこともセグメント業績を押し上げた。中古住宅買取再販順調に業績を伸ばし、売上高は同116.8%増の6,488百万円に膨らんだ。同事業に関しては今後も、業績拡大に向けて仕入れを積極化する方針であり、足元では複数の買取専門店を新規出店している。また、仕入れ積極化に併せて人員の継続的な増員にも注力する。新規出店と人員増員によって取扱件数を伸ばし、業績をさらに拡大させる構えだ。在庫については随時商品化することで業績に転化する見通しで、中長期的に業績に寄与することが見込まれる。

(5) 不動産流通事業
不動産流通事業の売上高は前期比8.4%減の1,655百万円、営業利益は同5.9%増の578百万円となった。住宅ローンの低金利継続により実需は堅調に推移したものの、注力事業への人員シフトによる店舗統合の影響などにより、仲介件数は同14.1%減の1,742件となった。

(6) リフォーム事業
リフォーム事業の売上高は前期比3.5%減の2,440百万円、営業利益は同7.4%増の234百万円となった。不動産売買仲介事業との連携による中古住宅+リフォーム受注のほか、住宅設備メーカーなどとコラボレーションしたリフォームイベントを積極的に開催したものの、契約件数は同6.6%減の1,534件となった。一方、成長強化事業への人員シフトにより販管費は抑制され、生産性が向上した。

2. 財務状況と経営指標
2024年6月期末の資産合計は79,568百万円と前期末比3,459百万円減少した。主に、ハウス・リースバック事業及び不動産売買事業における保有物件増加に伴い棚卸資産が2,498百万円、棚卸資産の流動化及び匿名組合投資利益の計上に伴い投資有価証券が1,097百万円それぞれ増加した一方で、不動産売買事業における保有物件について、固定資産から販売用不動産への保有目的の変更などにより有形固定資産が5,994百万円減少したことによる。

負債合計は62,318百万円と同5,314百万円減少した。主に、1年内返済予定の長期借入金が2,113百万円、未払法人税等が531百万円それぞれ増加した一方で、短期借入金が4,296百万円、長期借入金が3,171百万円それぞれ減少したことによる。純資産合計は17,250百万円と同1,854百万円増加した。主に、ストックオプションの権利行使により資本金及び資本剰余金が79百万円それぞれ増加、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が2,476百万円増加した一方で、配当金の支払いにより利益剰余金が782百万円減少したことによる。

安全性の指標は、流動比率が前期末比12.6ポイント上昇し186.5%、自己資本比率が同3.1ポイント上昇し21.6%となった。

自己資本比率に関しては、固定資産売却で捻出した資金を有利子負債の返却に充当し負債を圧縮した一方で、当期純利益を積み上げたことにより上昇した。不動産売買事業の拡大に向けて積極的な仕入れを継続するなか、流動化や売却を積極化することにより財務の健全性が向上した。また、総資産の圧縮を図るなかで現金創出力も高まった。回転率を意識した資産の早期売却などによって棚卸資産を圧縮したことなどが寄与し、営業活動の結果獲得した資金は7,440百万円と2023年6月期の12,713百万円の支出からプラスに転じた。投資活動も適切な水準にコントロールし、フリーキャッシュフローは6,131百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)




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