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ケアネット Research Memo(5):2024年12月期第2四半期は増収減益。開発投資を実施、既存事業は安定推移

*11:05JST ケアネット Research Memo(5):2024年12月期第2四半期は増収減益。開発投資を実施、既存事業は安定推移
■ケアネット<2150>の業績動向

1. 2024年12月期第2四半期業績の概要
2024年12月期第2四半期の連結業績は、売上高は前年同期比2.7%増の5,149百万円、営業利益は同25.2%減の986百万円、経常利益は同26.4%減の983百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同35.2%減の557百万円となった。売上高は医薬DX事業が軟調に推移したものの、通年では計画に沿った進捗である。メディカルプラットフォーム事業では、前期にM&Aにより取得した病院経営支援事業が寄与した。営業利益は「ビジョン2026」に基づく積極的な開発投資により、減益となった。

人材面については積極的な採用を進めており、第2四半期末時点でケアネット単体では10名程度、グループ全体では35名程度の増員となった。新薬の臨床試験の支援業務を行うCRO事業やMRを派遣するCSO事業においては、人員が確保できればさらに売上を拡大できる余地がある。一方、ケアネット単体では新規事業をドライブさせる人材やM&A後のPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)を管理できる人材など、必要とする役割がより具体的である。同社は総合的に勘案し、よりメリハリをつけた採用活動を進める。

製薬市場は引き続きコスト引き締めの環境下にあり、プロモーション活動には一段と費用対効果が重視されている。そのため、既存サービスのパフォーマンス改善や新規サービスによる新たな付加価値の提供が求められている。同社は製薬業界の大きな変化を成長のチャンスと捉え、2024年から2026年までの3年間を「開発重点期間」と位置付けている。これまでに公表された数々のM&A施策は、中長期の飛躍的な成長に向けた布石であり、2027年12月期以降の成長加速が期待できると弊社では見ている。

なお、四半期ベースの業績推移では、第4四半期に売上の伸びが変わるという季節性が見られる。製薬企業のプロモーション活動が年後半に偏重する傾向にあることから、同社の売上高も第4四半期(10月~12月)が最も高くなる傾向にある。同社はこの傾向を繰り返しながら通期での増収を続けており、2024年12月期も例年どおり製薬企業の予算消化の動きに合わせ、第4四半期に売上高のピークを迎えると弊社では予想する。

(1) 医薬DX事業
医薬DX事業の売上高は前年同期比1.3%増の4,481百万円、セグメント利益は同11.8%減の1,630百万円となった。売上高は、製薬市場におけるコスト引き締めに加え、2024年4月から始まった医師の働き方改革により、製薬企業によるプロモーション活動に慎重な動きが見られた。そのため、第2四半期の受注状況は軟調に推移したが、通期計画に対する進捗に特段の懸念はない。「MRPlus」が軟調に推移した一方で、Web講演会が順調な伸びを見せた。また医師の労働時間管理が強化されたことで、場所の制約を受けないWeb講演会は今後も伸びが期待される。「MRPlus」の顧客企業数については50社を超え順調に推移した。また、eプロモーションサービスの基盤となる「CareNet.com」の登録医師会員数についても、2024年6月末時点で232,368人と順調に拡大した。セグメント利益については、「ビジョン2026」に基づく事業開発並びに人材採用等に伴い減益となったが、開発投資を進めることで中長期の成長につなげる方針である。

(2) メディカルプラットフォーム事業
メディカルプラットフォーム事業の売上高は前年同期比14.4%増の673百万円、セグメント利益は同24.2%減の177百万円となった。売上高は、2023年11月にM&Aにより取得したバリューネクストの病院経営支援事業が寄与した。セグメント利益は、キャリア事業・メディア事業における新規事業開発や人材採用への積極投資により減益となった。

医師向け転職支援サービス「キャリア」等の売上高は386百万円(同3.5%減)となった。病院側が医師の働き方改革の開始を受け転職に対するアクションを少し控えた等の影響が考えられるが、より働きやすい環境を求める動きは医師も同様であり、医師向け転職支援サービスに対するニーズは今後も底堅いと弊社では見ている。

医療教育動画サービス「CareNeTV」やその他サービスの売上高は287百万円(同52.7%増)となった。メディカルクリエイトの新規連結に伴い、順調に拡大した。


利益の蓄積により強固な財務基盤を実現
2. 財務状況と経営指標
2024年12月期第2四半期末の総資産は前期末比224百万円減少の13,944百万円となった。主な変動要因は、流動資産では現金及び預金が69百万円増加した一方で、売上債権が773百万円減少した。固定資産では投資その他の資産が606百万円増加した一方で、有形固定資産が8百万円、のれんが74百万円減少した。

負債合計は前期末比240百万円減少の2,426百万円となった。主な変動要因は、流動負債では、前受金が84百万円増加した一方で、買掛金が82百万円、ポイント引当金が9百万円減少した。固定負債では役員株式給付引当金が10百万円、長期借入金が44百万円増加した一方で、従業員株式給付引当金が8百万円減少した。純資産は同16百万円増加の11,517百万円となった。主な変動要因として、利益剰余金17百万円の増加が挙げられる。

経営指標は、負債の減少によって自己資本比率が前期末の79.3%から81.4%に上昇した。現金及び預金も90億円に迫る水準まで積み上がるなど、利益の蓄積に伴って財務基盤も強化されている。有利子負債比率は1.3%と実質無借金経営であり、財務の健全性は高いと弊社では考える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)



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