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rakumo Research Memo(7):2024年12月期の業績予想は未定。値上げ効果も進み、不安要素は小さい

*14:07JST rakumo Research Memo(7):2024年12月期の業績予想は未定。値上げ効果も進み、不安要素は小さい
■今後の見通し

1. 2024年12月期の業績見通し
rakumo<4060>では現時点で合理的な業績予想の算出が困難であるとして、2024年12月期の業績見通しを引き続き非開示のままとしている。Googleの実質値上げ等による一時的なKPI指標の悪化はあったが、屋台骨となる外部環境に大きな変化はない。引き続きクラウド市場の高成長が続くことが構造的な追い風となるほか、同社が進めている新規顧客開拓のための各種販売施策の実施、新規プロダクトのローンチなど独自の販売拡大に向けた取り組み、規律あるコスト管理等により、高い売上高及び営業利益成長が続く見通しである。加えて同社が2024年4月から進めている10製品のうち5製品での価格改定は「rakumoカレンダー」では月額100円から150円へ、「rakumoボード」では月額150円から200円へ、「rakumoコンタクト」では月額50円から100円へとそれぞれ50円ずつ値上げしている。この効果が2025年12月期にかけて段階的に業績に表れる見通しである。同社は、同社製品が顧客のインフラに関わっていることに加え企業顧客の満足度も高いことから、値上げによって解約率が中長期的に上昇する可能性は低いとしている。既存クライアントの値上げによる売上増加効果が2025年12月期に大きく表れる可能性が高いことを考えると、足元では一時的なKPI指標の悪化が株式市場で懸念されているものの、2025年12月期に向けて悪化したKPI指標の改善、同社業績のさらなる加速が期待される。

2. SaaSサービスにおける事業及び価格改定実施の進捗状況
主力のSaaSサービスにおける2024年12月期第2四半期の売上高は前期比24.3%増と、第2四半期における上場来最大の成長率を達成し、全社売上高に占めるSaaSサービスの構成比は95.4%に達した(2023年12月期は90.6%)。同社ではSaaSサービスに一段と注力するため、ITオフショア開発サービスやソリューションサービスなどを縮小しており、2024年4月から実施している5製品の価格改定の効果も順調に表れ始めている。同社では値上げによる既存クライアントの売上増加効果は、2025年12月期は2024年12月期の3倍強になると試算している。同社製品自体の値上げによる顧客離れや解約率の上昇は起きていないと見ており、Google再販プログラム変更による影響が落ち着き、この第2四半期にあった急激な円安進行によるサーバー費用の増加など原価アップ要因も一巡すれば、値上げ効果が売上高成長率の加速と利益率上昇として表れると考えている。弊社試算では、1ライセンス当たり少なくとも月額50円の値上げとした場合、値上げにより同社の月間売上高を30百万円(=50円×60万ライセンス)、年間売上高を360百万円(=30百万円×12ヶ月)押し上げることになる※。そのため同社が実施した価格改定による業績貢献は大きく、価格改定効果がフルで寄与する2025年12月期にかけて同社業績が大きく拡大する可能性が高いと、弊社は考えている。

※ 試算上、10製品のうち5製品が値上げ対象であることから便宜上、118万ライセンスのうち60万ライセンスが値上げ対象としているが、今回の値上げ対象はGoogle Workspace版「rakumoカレンダー」などライセンス数の多い主力製品での値上げが中心で、実際の値上げ対象ライセンス数は60万ライセンスよりも多くなる可能性が高いと弊社では考えている。

3. 業界特化型セグメントマーケティングの進捗
同社では教育機関・自治体・建設業・医療等の業界セグメントに特化したマーケティング施策を実施することで効率的な顧客獲得を進めている。具体的には、Google Workspace導入企業のデータベースを活用した顧客の開拓、自治体向けイベントへの出店、建設業向けセミナーの開催、各業界セグメントに強い代理店との連携などの施策を実施している。特に教育機関や自治体では、顧客獲得が進んでおり、教育機関向けではこの第2四半期に4,000IDを超える大型案件を含む複数の案件を獲得した。下期においても複数の案件のリードが見えてきている状況にある。たとえば自治体向けは、第2四半期に1,000IDを超える大型案件を含む複数の案件を獲得し、下期においても4,000IDを超える案件を含む複数の自治体との契約が見えてきている状況である。こうした取り組みを様々な業種へ横展開することで、同社では顧客社数及びユニークユーザー数の獲得を加速する方針である。


4. 今後の成長に向けた新規プロダクト開発力強化
同社にとって継続的に新規プロダクトを生み出すことは、さらなる売上成長の加速のために必要不可欠であり、2023年12月期においても期初計画ではHR(人材・労務)系の新規プロダクトをローンチする計画であった。しかしながら、同社では当該製品のローンチ時期が2024年12月期以降にずれ込む見通しを既に示している。

一方で同社は直近4年間にわたり新たに上市した製品はなく、既存製品のみで事業を展開していることになる。そこで、収益性のある製品開発を専門とする外部パートナーとのタイアップをはじめとする新規プロダクト開発・ローンチに向けた体制強化へ着手した。同社はベトナムに開発リソースを有するほか、日本にもプロダクト部隊を擁している。今後は積極的な新製品開発に向けて開発部隊がチャレンジできる環境や企業文化を作り、毎年1つは新規プロダクトをローンチできるよう開発スピードの向上を図る。この第2四半期においては新規プロダクト開発チーム(外部パートナー及びAA社含む)の組成による新規プロダクトの検討を進めたとしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)



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