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アーバネット Research Memo(3):都心エリアでの都市型賃貸マンションの開発・1棟販売に特化(2)

*11:03JST アーバネット Research Memo(3):都心エリアでの都市型賃貸マンションの開発・1棟販売に特化(2)
■会社概要

3. 企業特長
アーバネットコーポレーション<3242>の特長(強み)として、優れたデザイン性や機能性、好立地へのこだわりによる差別化、気候変動対策や社会貢献活動を通じた商品価値の向上、アウトソーシングを最大限に利用した少人数体制により固定費を圧縮する効率的な経営などがある。

(1) 優れたデザイン性や機能性、好立地へのこだわり
同社は、設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、得意とする設計・開発に経営資源を集中しており、デザイン性や機能性に優れた「ものづくり」による差別化をはじめ、用地取得の可否を短時間で決定できる自社内プラン設計体制に強みを有している。特に、「6つ」のこだわりとして、1) 立地(都内23区内で駅から徒歩10分以内を基本)、2) 外観デザイン(モノトーンでインパクトのある外観)、3) ユーザーニーズ(アンケートによる徹底分析)、4) 収納(空間を最大限に生かした収納スペース)、5) 快適(自社開発のファシリティ「ユノバース」※1、6) アート(アートのある居住空間)を掲げており、それらが一体となった価値提供により、ターゲットとなる若い世代からの高い支持を受けてきた。また、「ものづくり」へのこだわりを通じて生まれてきた技術やアイデアを知的財産権への登録により保護している※2。

※1 足を伸ばせるユニットバス。
※2 実用新案権(アッパーキャビネット)や意匠権(ユノバース)、特許権(建物の外壁照明構造、側壁構造及びエントランス)などを保有している。


同社開発物件の優位性は、(一社)全国住宅産業協会(全住協)※優良事業審査会による優良事業賞において数多くの受賞実績があることでもわかる。最近では2024年4月に「メイクス氷川台アジールコート」が、同社プロジェクトとして9年連続11回目の受賞をした。当物件は首都圏初となるZEH-M Oriented 仕様(詳細は後述)の都市型賃貸マンションである。

※中堅企業を中心に上場企業を含む全国1,700社を擁する団体で、会員は首都圏並びに北海道から沖縄まで各地域において、マンション及び戸建住宅の供給や住宅をはじめとする不動産流通事業等を行っている。優良事業賞は2010年から始まり、同協会協会員が企画・開発したプロジェクトの中から、特に優秀なプロジェクト(事業及び企画・開発)を表彰するものである。


(2) 気候変動対策や社会貢献活動を通じた商品価値の向上
2020年1月には、自社開発の都市型賃貸マンションに台風対策を取り入れた「アーバネット防災プログラム」※を導入した。経営理念である「人々の安全で快適な『くらし』の提案を行い、豊かで健全な社会の実現を目指す」取り組みを進めている。気候変動によって発生する台風等の防災対策として、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献や商品価値の向上にもつなげる考えである。また、環境に配慮したZEH仕様マンションについても、2023年2月に首都圏初となる「メイクス氷川台アジールコート」が竣工したほか、2号、3号、4号についても開発中である。

※防災倉庫の設置や電気室の地上階設置など設計面に加え、強風対策、豪雨対策、停電対策など設備面での対策を施すものである。


また、アートと住空間の融合による社会貢献活動(CSR)の一環として、学生のみを対象とした立体アートコンペティション「アート・ミーツ・アーキテクチャー・コンペティション(AAC)」を2001年より毎年開催し、若手アーティストの発掘、支援、育成を行っている。この活動は(公社)企業メセナ協議会※からメセナ(芸術文化支援)として認定されるとともに、同協議会が主催する「メセナアワード2017」にて優秀賞「アートの玄関賞」を受賞している。

※企業による芸術文化支援活動の活性化を目的とした中間支援機関。


(3) アウトソーシングを活用した効率的な経営
同社は、都市型賃貸マンションの開発・1棟販売(卸売り:BtoB)をビジネスの核とし、アウトソーシングを最大限に利用した少人数体制による効率的な経営を行ってきた。2024年6月期末における同社単体の社員数(契約社員等を含む)は49名※1、1人当たりの売上高は約526百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が約36百万円と高い生産性を示している※2。特に固定費を低く抑えることで、高い収益性の確保と景気変動にも柔軟に対応できる体制を堅持している。加えて、1棟での卸売りは売れ残りリスクが少なく、竣工から短期間での資金回収を可能としており、不動産業界にあって安定性の高い事業構造と言える。

※1 用地仕入れ、設計部門、その他営業サポート、管理部門でバランスよく構成されている。
※2 2024年6月期(単体ベース)の売上高、親会社株主に帰属する当期純利益を期末の単体社員数(契約社員等を含む)で割り算した指標。


もっとも、今後は事業拡大に向けて人財確保にも取り組む方針であり、ケーナインのM&Aもその一環である。ケーナイン連結後の連結従業員数は82名※に拡大したが、高い生産性を維持している。

※このうち、ケーナインの正社員は23名(不動産事業部8名、建築工事部8名、設計企画部4名、業務推進部3名)。


人財育成や魅力ある職場づくりにも積極的である。2019年度の新卒採用再開を契機として、役員を含めた階層別研修、コンプライアンス研修・IT/DX研修などを実施し、生産性の向上やリスキリングにも取り組んできた。プロジェクト責任者への若手登用や用地仕入れにおける新卒採用など人財育成の成果も着実に出始めているようだ。また、2024年3月には5年連続で「健康経営優良法人2024」※に認定された。今後も、M&Aを含む社員数の増強や新人事制度の導入、各種手当新設、株式給付信託制度導入などによる人的資本の強化を図り、さらなる事業成長につなげる方針だ。

※地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



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