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ケンコーマヨ Research Memo(9):PBR1倍超の早期達成を目指す
2024/08/21 13:09
*13:09JST ケンコーマヨ Research Memo(9):PBR1倍超の早期達成を目指す
■「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」
2. 取り組み方針
PBR1倍の達成及び企業価値向上に向けた取り組みとして、ケンコーマヨネーズ<2915>は成長戦略の推進による収益拡大及び収益性の向上と併せて資本戦略を強化することでROEを8%以上に引き上げる方針だ。
(1) 営業利益率6%以上に向けた施策
ROEの要素の1つとなる当期純利益率を引き上げるためには、営業利益率の向上が必須となる。同社は、2024年3月期に3.3%だった営業利益率を2036年3月期に6%以上に引き上げることを目標に掲げている。営業利益率向上のための施策として事業ポートフォリオの再構築とグローバル展開の加速、新規事業の育成に取り組むほか、事業拠点再編による効率化やDX推進による労働生産性の向上(30%向上)に取り組む。また、現在1,300アイテムほどとなっている商品数の統廃合を推進することで、既存商品の収益力の強化を進めている。2024年3月期は150アイテムほどの削減を実施した。同社はなかでもサラダ・総菜類のアイテム数が多いと認識しているようで、需要を見ながら商品の統廃合、あるいは同一商品でも容量サイズの見直しを進めることにしている。商品アイテム数を絞り込むことで生産効率も向上する見通しだ。
営業利益率の今後の見通しについて、第1フェーズは事業基盤再構築のための先行投資期間となるため3%台と横ばい水準で推移すると見ており、こうした投資の効果が顕在化する2030年3月期以降に利益率も上昇傾向に転じるものと同社は見ている。
(2) 資本戦略
同社は2036年3月期にROE8%以上を目標として掲げており、営業利益率の向上と併せて自己資本の圧縮による財務レバレッジの向上にも取り組む方針だ。具体的には、政策保有株式を縮減し自己株式の取得を進める。自己株式取得については、第1フェーズで14億円程度を実施し、2036年3月期までに合計45億円の実施を見込んでいる。
(3) 株主還元
株主還元についても強化する。業績に左右されない安定配当を実施するため、DOE(株主資本配当率)を基準に配当を実施する方針である。DOEの水準については第1フェーズで1.5%以上、第2フェーズで2.0%以上、第3フェーズで2.5%以上と段階的に切り上げる計画としており、中長期的に見れば増配が期待できることになる。
(4) 財務戦略
中長期経営計画における資本配分(投資額)については、全体で749億円、うち成長戦略で239億円、スマート化で182億円、人材投資で122億円、サステナビリティと社会的責任で205億円を投下する計画となっている。このうち、事業拠点の強化や再編については第1フェーズだけで108億円と期間合計の190億円のうち5割強を投下する計画だ。年換算では27億円の投資となり、これは2021年3月期以降4年間の設備投資累計額(約24億円)を上回る規模である。直近4年間は利益確保を重視し設備投資を抑制してきたこともあるが、第1フェーズで投資を再開し事業基盤を再構築していくことになる。投資資金については、業績が計画どおりに成長すれば期間内の営業キャッシュ・フローで賄うことが可能な水準と見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SO>
■「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」
2. 取り組み方針
PBR1倍の達成及び企業価値向上に向けた取り組みとして、ケンコーマヨネーズ<2915>は成長戦略の推進による収益拡大及び収益性の向上と併せて資本戦略を強化することでROEを8%以上に引き上げる方針だ。
(1) 営業利益率6%以上に向けた施策
ROEの要素の1つとなる当期純利益率を引き上げるためには、営業利益率の向上が必須となる。同社は、2024年3月期に3.3%だった営業利益率を2036年3月期に6%以上に引き上げることを目標に掲げている。営業利益率向上のための施策として事業ポートフォリオの再構築とグローバル展開の加速、新規事業の育成に取り組むほか、事業拠点再編による効率化やDX推進による労働生産性の向上(30%向上)に取り組む。また、現在1,300アイテムほどとなっている商品数の統廃合を推進することで、既存商品の収益力の強化を進めている。2024年3月期は150アイテムほどの削減を実施した。同社はなかでもサラダ・総菜類のアイテム数が多いと認識しているようで、需要を見ながら商品の統廃合、あるいは同一商品でも容量サイズの見直しを進めることにしている。商品アイテム数を絞り込むことで生産効率も向上する見通しだ。
営業利益率の今後の見通しについて、第1フェーズは事業基盤再構築のための先行投資期間となるため3%台と横ばい水準で推移すると見ており、こうした投資の効果が顕在化する2030年3月期以降に利益率も上昇傾向に転じるものと同社は見ている。
(2) 資本戦略
同社は2036年3月期にROE8%以上を目標として掲げており、営業利益率の向上と併せて自己資本の圧縮による財務レバレッジの向上にも取り組む方針だ。具体的には、政策保有株式を縮減し自己株式の取得を進める。自己株式取得については、第1フェーズで14億円程度を実施し、2036年3月期までに合計45億円の実施を見込んでいる。
(3) 株主還元
株主還元についても強化する。業績に左右されない安定配当を実施するため、DOE(株主資本配当率)を基準に配当を実施する方針である。DOEの水準については第1フェーズで1.5%以上、第2フェーズで2.0%以上、第3フェーズで2.5%以上と段階的に切り上げる計画としており、中長期的に見れば増配が期待できることになる。
(4) 財務戦略
中長期経営計画における資本配分(投資額)については、全体で749億円、うち成長戦略で239億円、スマート化で182億円、人材投資で122億円、サステナビリティと社会的責任で205億円を投下する計画となっている。このうち、事業拠点の強化や再編については第1フェーズだけで108億円と期間合計の190億円のうち5割強を投下する計画だ。年換算では27億円の投資となり、これは2021年3月期以降4年間の設備投資累計額(約24億円)を上回る規模である。直近4年間は利益確保を重視し設備投資を抑制してきたこともあるが、第1フェーズで投資を再開し事業基盤を再構築していくことになる。投資資金については、業績が計画どおりに成長すれば期間内の営業キャッシュ・フローで賄うことが可能な水準と見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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