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ケンコーマヨ Research Memo(7):2036年3月期に売上高1,250億円以上、営業利益率6%以上を目指す
2024/08/21 13:07
*13:07JST ケンコーマヨ Research Memo(7):2036年3月期に売上高1,250億円以上、営業利益率6%以上を目指す
■今後の見通し
2. 中長期経営計画『KENKO Vision 2035』
(1) 『KENKO Vision 2035』の概要
ケンコーマヨネーズ<2915>は2036年3月期までの12年間の中長期経営計画『KENKO Vision 2035』を発表した。「サラダ料理で世界一になる」をビジョンに掲げ、持続的な成長の実現に向けて抜本的改革と企業価値の向上を目指す。『KENKO Vision 2035』では第1フェーズ(2025年3月期~2028年3月期)を事業構造の改革期、第2フェーズ(2029年3月期~2032年3月期)を再成長期、第3フェーズ(2033年3月期~2036年3月期)を進化・発展期と位置付けた。
経営数値目標は、第1フェーズの最終年度となる2028年3月期に売上高1,020億円以上、営業利益33億円以上とし、2036年3月期には売上高で1,250億円以上、営業利益で75億円以上、営業利益率で6%以上を目標に掲げた。第1フェーズでは成長基盤を構築するための事業ポートフォリオ改革や事業拠点の再編、DX投資などの先行投資を実施することもあり、営業利益で年平均成長率3%以上と堅実な目標となっているが、第2フェーズ以降は年率10%以上と成長を加速する計画となっている。また、12年間の年平均売上成長率は3%以上を目標としているが、直近10年間が年率4%成長だったことを考えれば実現性の高い目標と言うことができる。
(2) 基本戦略
中長期経営計画では、基本戦略として「成長戦略」「スマート化」「人材投資」「サステナビリティと社会的責任」の4つをテーマに取り組む方針だ。
a) 成長戦略
まず市場環境の変化に適応できる強い事業基盤を構築するため、既存事業の収益基盤強化とブランド構築の実行、事業ポートフォリオの再構築に取り組む方針だ。具体的には、マーケットインの発想による商品開発の強化、基盤商品のブランディングによるNB商品売上比率の上昇(2024年3月期約30%→2028年3月期50%目標)、海外事業推進による海外売上比率の上昇(2036年3月期10%以上)、持続可能な原料調達、新規事業の創出などを推進する。EC事業は一般消費者や小規模事業者向けをターゲットに、同社の強みを生かしたオリジナリティのある商品(自社商品以外の料理アイテムなども含む)を拡充し、売上拡大を図る。
海外事業は、全世界に販売実績があるものの売上構成比としてはまだ小さい。ただ日本食の人気が年々高まりつつあることから調味料・加工食品の海外での拡大余地は大きいと考えており、同社は2025年3月期中に注力すべき地域や商品、販売戦略、生産拠点やM&Aの可能性なども含めて事業計画を策定する予定だ。
新規事業の創出については、同社がこれまでに蓄積してきた技術や知識を事業化する構想を描いている。具体的には、メニュー・レシピの販売や料理教室、品質管理技術の供与などを想定している。メニュー・レシピ販売については、食材の輸入事業者が新たな食材を国内の外食企業に売り込む際にメニュー・レシピを考え外食企業に売り込むケースや、新メニューの開発を検討している小規模の外食事業者向けにメニュー・レシピを販売するといったケースが考えられる。
b) スマート化
DXを通じて企業改革や生産性の向上を図るとともに、成長性・合理化・効率化を目的とした事業拠点の再編なども推進する。2024年7月より稼働を開始した新基幹システムでは、グループの利益状況を早期に可視化し、収益変動に対して迅速な対応が可能になる。今後はグループ経営の効率化が進むものと期待される。また、RPAやAIも積極的に活用し、業務効率の向上につなげる考えだ。
また、同社は2036年3月期までに労働生産性を30%アップすることを目標に掲げている。AIによる需要予測分析や協働ロボットの導入、生産拠点の再編、生産状況の可視化などによって最適生産を実現し、労働生産性を引き上げていく。事業拠点については、集約化と併せてエネルギーコストを抑えた新拠点の開設や能力増強投資などの検討を進めており、2036年3月期までに順次進める計画である。
c) 人材投資
グローバル企業化、働き方改革としてのダイバーシティを推進するほか、人材育成の強化やキャリアプランが形成できる施策の検討を進める。2024年4月より新人事制度の運用を開始し、自己実現や成長を実感できる制度やキャリアプランを実現する研修制度の充実、資格取得の支援制度などを導入した。また、多様性に対応した働き方(勤務体系、育児短時間勤務期間の延長、年間総労働時間の見直し)についても検討を進めている。採用面では、キャリア採用やグローバル化を見据えた採用活動を強化する方針だ。
d) サステナビリティと社会的責任
環境問題への取り組みと地域社会への貢献活動を推進するほか、グループ従業員の健康と働きがいに注力した健康経営を目指す。環境への取り組みとして、CO2排出量の削減については2019年度比原単位で2030年度に50%削減、2050年度にカーボンニュートラルの達成を目指す。また、環境に配慮した容器・包材の利用なども推進する方針だ。また、原材料の品質向上に対する取り組みとして原料評価基準の構築や素材系の研究、海外市場における品質管理強化などに取り組んでいく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■今後の見通し
2. 中長期経営計画『KENKO Vision 2035』
(1) 『KENKO Vision 2035』の概要
ケンコーマヨネーズ<2915>は2036年3月期までの12年間の中長期経営計画『KENKO Vision 2035』を発表した。「サラダ料理で世界一になる」をビジョンに掲げ、持続的な成長の実現に向けて抜本的改革と企業価値の向上を目指す。『KENKO Vision 2035』では第1フェーズ(2025年3月期~2028年3月期)を事業構造の改革期、第2フェーズ(2029年3月期~2032年3月期)を再成長期、第3フェーズ(2033年3月期~2036年3月期)を進化・発展期と位置付けた。
経営数値目標は、第1フェーズの最終年度となる2028年3月期に売上高1,020億円以上、営業利益33億円以上とし、2036年3月期には売上高で1,250億円以上、営業利益で75億円以上、営業利益率で6%以上を目標に掲げた。第1フェーズでは成長基盤を構築するための事業ポートフォリオ改革や事業拠点の再編、DX投資などの先行投資を実施することもあり、営業利益で年平均成長率3%以上と堅実な目標となっているが、第2フェーズ以降は年率10%以上と成長を加速する計画となっている。また、12年間の年平均売上成長率は3%以上を目標としているが、直近10年間が年率4%成長だったことを考えれば実現性の高い目標と言うことができる。
(2) 基本戦略
中長期経営計画では、基本戦略として「成長戦略」「スマート化」「人材投資」「サステナビリティと社会的責任」の4つをテーマに取り組む方針だ。
a) 成長戦略
まず市場環境の変化に適応できる強い事業基盤を構築するため、既存事業の収益基盤強化とブランド構築の実行、事業ポートフォリオの再構築に取り組む方針だ。具体的には、マーケットインの発想による商品開発の強化、基盤商品のブランディングによるNB商品売上比率の上昇(2024年3月期約30%→2028年3月期50%目標)、海外事業推進による海外売上比率の上昇(2036年3月期10%以上)、持続可能な原料調達、新規事業の創出などを推進する。EC事業は一般消費者や小規模事業者向けをターゲットに、同社の強みを生かしたオリジナリティのある商品(自社商品以外の料理アイテムなども含む)を拡充し、売上拡大を図る。
海外事業は、全世界に販売実績があるものの売上構成比としてはまだ小さい。ただ日本食の人気が年々高まりつつあることから調味料・加工食品の海外での拡大余地は大きいと考えており、同社は2025年3月期中に注力すべき地域や商品、販売戦略、生産拠点やM&Aの可能性なども含めて事業計画を策定する予定だ。
新規事業の創出については、同社がこれまでに蓄積してきた技術や知識を事業化する構想を描いている。具体的には、メニュー・レシピの販売や料理教室、品質管理技術の供与などを想定している。メニュー・レシピ販売については、食材の輸入事業者が新たな食材を国内の外食企業に売り込む際にメニュー・レシピを考え外食企業に売り込むケースや、新メニューの開発を検討している小規模の外食事業者向けにメニュー・レシピを販売するといったケースが考えられる。
b) スマート化
DXを通じて企業改革や生産性の向上を図るとともに、成長性・合理化・効率化を目的とした事業拠点の再編なども推進する。2024年7月より稼働を開始した新基幹システムでは、グループの利益状況を早期に可視化し、収益変動に対して迅速な対応が可能になる。今後はグループ経営の効率化が進むものと期待される。また、RPAやAIも積極的に活用し、業務効率の向上につなげる考えだ。
また、同社は2036年3月期までに労働生産性を30%アップすることを目標に掲げている。AIによる需要予測分析や協働ロボットの導入、生産拠点の再編、生産状況の可視化などによって最適生産を実現し、労働生産性を引き上げていく。事業拠点については、集約化と併せてエネルギーコストを抑えた新拠点の開設や能力増強投資などの検討を進めており、2036年3月期までに順次進める計画である。
c) 人材投資
グローバル企業化、働き方改革としてのダイバーシティを推進するほか、人材育成の強化やキャリアプランが形成できる施策の検討を進める。2024年4月より新人事制度の運用を開始し、自己実現や成長を実感できる制度やキャリアプランを実現する研修制度の充実、資格取得の支援制度などを導入した。また、多様性に対応した働き方(勤務体系、育児短時間勤務期間の延長、年間総労働時間の見直し)についても検討を進めている。採用面では、キャリア採用やグローバル化を見据えた採用活動を強化する方針だ。
d) サステナビリティと社会的責任
環境問題への取り組みと地域社会への貢献活動を推進するほか、グループ従業員の健康と働きがいに注力した健康経営を目指す。環境への取り組みとして、CO2排出量の削減については2019年度比原単位で2030年度に50%削減、2050年度にカーボンニュートラルの達成を目指す。また、環境に配慮した容器・包材の利用なども推進する方針だ。また、原材料の品質向上に対する取り組みとして原料評価基準の構築や素材系の研究、海外市場における品質管理強化などに取り組んでいく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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