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ケンコーマヨ Research Memo(6):2025年3月期業績を上方修正、7期ぶりに過去最高益更新へ
2024/08/21 13:06
*13:06JST ケンコーマヨ Research Memo(6):2025年3月期業績を上方修正、7期ぶりに過去最高益更新へ
■今後の見通し
1. 2025年3月期の業績見通し
ケンコーマヨネーズ<2915>は2024年8月5日付で、2025年3月期第1四半期業績の発表と併せて2025年3月期業績の上方修正を行った。売上高は前期比3.7%増の92,000百万円(期初計画比2,000百万円増)、営業利益は同52.6%増の4,500百万円(同1,300百万円増)、経常利益は同50.0%増の4,650百万円(同1,350百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は同16.4%増の3,185百万円(同925百万円増)となり、各利益は7期ぶりに過去最高を更新する見通しだ。第1四半期業績は売上高で前年同期比7.5%増の23,002百万円、営業利益で同769.3%増の1,735百万円と好調な滑り出しとなり、直近の経営環境等も踏まえて上方修正した。
期初の売上計画では、調味料・加工食品事業のうち、マヨネーズ・ドレッシング類が同2.2%減の26,396百万円、サラダ・総菜類が同2.8%増の22,517百万円、タマゴ加工品が同6.6%増の19,994百万円、その他が同1.3%減の1,435百万円を見込んでいたのに対して、第1四半期業績はマヨネーズ・ドレッシング類が前年同期比2.7%増の6,966百万円、サラダ・総菜類が同2.0%増の5,450百万円、タマゴ加工品が同28.2%増の5,349百万円となり、タマゴ加工品の回復が顕著となった。2024年3月期上期まで鶏卵不足により一時販売制限を行っていたが、下期以降は調達状況も安定したことで想定を上回る回復ペースとなった。通期売上高の上方修正分の大半はタマゴ加工品の増加によるものと見られる。その他の商品も、2025年3月期第1四半期では小容量サイズのサラダがコンビニエンスストア向けに、マヨネーズが量販店向けにそれぞれ伸長するなど堅調に推移している。なお、価格改定については2024年3月期第2四半期にサラダ・総菜類で実施したのが最後で、2025年3月期は予定していない。
総菜関連事業等の通期売上高は中食から外食への需要回帰の影響を織り込み、前期比0.3%増の18,774百万円と若干の増収で計画していたが、第1四半期は前年同期比2.5%増の4,585百万円と堅調に推移した。価格改定効果や高単価品の開発・販売、販売カテゴリーの拡大等に取り組んだことが増収につながった。
その他の事業については、サラダカフェを2024年7月に1店舗閉店(Chef’s DELI / WaSaRa 渋谷スクランブルスクエア店)した影響で減収となる見通しだ。
販路別では、外食業界向けの伸び率こそ鈍化するものの、市場環境に変化はなく引き続き堅調推移を見込む。2024年3月期に低調だったコンビニエンスストア向けは、タマゴ加工品の回復により増収に転じる見通しだ。量販店向けは外食需要拡大の影響により微増に留まる計画で、その他についてもマイナス要因は今のところ見当たらない。
外食業界の月次売上動向を見ると、2024年4月、5月と前年同月比で1ケタ増と伸び率が鈍化したものの、6月は12.4%増と再び2ケタ成長となった。円安に伴うインバウンド需要の拡大が追い風になっていると見られる。足元では為替が円高方向に転換したことでインバウンド需要の勢いが鈍化する可能性はあるものの、通期で1ケタ台半ばの成長は可能と弊社では見ている。中食(惣菜)の市場動向についても、2024年4月〜6月は前年同月比で3%台増と2023年と比較して伸び率がやや鈍化したものの、料理の「簡便化」や「個食化」といったトレンドに変わりないことから、今後も堅調に推移するものと予想される。
期初計画における営業利益の増減要因としては、人件費や2025年夏以降に稼働を予定している新基幹システムにかかわる減価償却費の計上による固定経費等の増加で1,732百万円、販売数量及び販売諸経費の増加で66百万円の減益要因となるものの、鶏卵や食用油等の原材料コスト低下で965百万円、価格改定で604百万円※、タマゴ加工品の製造ラインの稼動率向上や商品アイテム数の削減等に伴う生産効率の改善により478百万円の増益効果を見込んでいた。これに対して、営業利益の通期計画は今回1,300百万円の上方修正を行った。主にタマゴ加工品の製造ラインの稼動率向上に伴う生産効率の改善と原材料コストの低減効果による。なお第1四半期の営業利益の通期計画に対する進捗率は38.6%となり、下期の利益水準はやや下がる計画だが、これは鶏卵相場について現在の水準から2025年3月期下期は若干上昇することを想定していること、下期に設備投資など戦略投資の実施による関連費用の増加を見込んでいること、さらには鳥インフルエンザの発生リスクなどを考慮したものであり、利益ベースでの増額余地を残した修正計画と弊社では見ている。なお、売上高の約8%を占める物流費について「2024年問題」によるコストアップが見込まれるが、配送コスト上昇分の一部は顧客へ負担協力を仰ぐなどの対応を行い、増収効果で吸収できる範囲内に納まる見込みだ。
※2024年3月期第2四半期に実施した価格改定が通期で寄与する。
PT.Intan Kenkomayo Indonesiaについては能力増強が近々完了する見込みで、2025年3月期も堅調な業績が見込まれる。親会社株主に帰属する当期純利益を減益としているのは、投資有価証券売却益を見込んでいないためだが、同社は政策保有株式の縮減を財務戦略の1つとして掲げていることから、状況次第では2025年3月期も投資有価証券売却益が発生する可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SO>
■今後の見通し
1. 2025年3月期の業績見通し
ケンコーマヨネーズ<2915>は2024年8月5日付で、2025年3月期第1四半期業績の発表と併せて2025年3月期業績の上方修正を行った。売上高は前期比3.7%増の92,000百万円(期初計画比2,000百万円増)、営業利益は同52.6%増の4,500百万円(同1,300百万円増)、経常利益は同50.0%増の4,650百万円(同1,350百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は同16.4%増の3,185百万円(同925百万円増)となり、各利益は7期ぶりに過去最高を更新する見通しだ。第1四半期業績は売上高で前年同期比7.5%増の23,002百万円、営業利益で同769.3%増の1,735百万円と好調な滑り出しとなり、直近の経営環境等も踏まえて上方修正した。
期初の売上計画では、調味料・加工食品事業のうち、マヨネーズ・ドレッシング類が同2.2%減の26,396百万円、サラダ・総菜類が同2.8%増の22,517百万円、タマゴ加工品が同6.6%増の19,994百万円、その他が同1.3%減の1,435百万円を見込んでいたのに対して、第1四半期業績はマヨネーズ・ドレッシング類が前年同期比2.7%増の6,966百万円、サラダ・総菜類が同2.0%増の5,450百万円、タマゴ加工品が同28.2%増の5,349百万円となり、タマゴ加工品の回復が顕著となった。2024年3月期上期まで鶏卵不足により一時販売制限を行っていたが、下期以降は調達状況も安定したことで想定を上回る回復ペースとなった。通期売上高の上方修正分の大半はタマゴ加工品の増加によるものと見られる。その他の商品も、2025年3月期第1四半期では小容量サイズのサラダがコンビニエンスストア向けに、マヨネーズが量販店向けにそれぞれ伸長するなど堅調に推移している。なお、価格改定については2024年3月期第2四半期にサラダ・総菜類で実施したのが最後で、2025年3月期は予定していない。
総菜関連事業等の通期売上高は中食から外食への需要回帰の影響を織り込み、前期比0.3%増の18,774百万円と若干の増収で計画していたが、第1四半期は前年同期比2.5%増の4,585百万円と堅調に推移した。価格改定効果や高単価品の開発・販売、販売カテゴリーの拡大等に取り組んだことが増収につながった。
その他の事業については、サラダカフェを2024年7月に1店舗閉店(Chef’s DELI / WaSaRa 渋谷スクランブルスクエア店)した影響で減収となる見通しだ。
販路別では、外食業界向けの伸び率こそ鈍化するものの、市場環境に変化はなく引き続き堅調推移を見込む。2024年3月期に低調だったコンビニエンスストア向けは、タマゴ加工品の回復により増収に転じる見通しだ。量販店向けは外食需要拡大の影響により微増に留まる計画で、その他についてもマイナス要因は今のところ見当たらない。
外食業界の月次売上動向を見ると、2024年4月、5月と前年同月比で1ケタ増と伸び率が鈍化したものの、6月は12.4%増と再び2ケタ成長となった。円安に伴うインバウンド需要の拡大が追い風になっていると見られる。足元では為替が円高方向に転換したことでインバウンド需要の勢いが鈍化する可能性はあるものの、通期で1ケタ台半ばの成長は可能と弊社では見ている。中食(惣菜)の市場動向についても、2024年4月〜6月は前年同月比で3%台増と2023年と比較して伸び率がやや鈍化したものの、料理の「簡便化」や「個食化」といったトレンドに変わりないことから、今後も堅調に推移するものと予想される。
期初計画における営業利益の増減要因としては、人件費や2025年夏以降に稼働を予定している新基幹システムにかかわる減価償却費の計上による固定経費等の増加で1,732百万円、販売数量及び販売諸経費の増加で66百万円の減益要因となるものの、鶏卵や食用油等の原材料コスト低下で965百万円、価格改定で604百万円※、タマゴ加工品の製造ラインの稼動率向上や商品アイテム数の削減等に伴う生産効率の改善により478百万円の増益効果を見込んでいた。これに対して、営業利益の通期計画は今回1,300百万円の上方修正を行った。主にタマゴ加工品の製造ラインの稼動率向上に伴う生産効率の改善と原材料コストの低減効果による。なお第1四半期の営業利益の通期計画に対する進捗率は38.6%となり、下期の利益水準はやや下がる計画だが、これは鶏卵相場について現在の水準から2025年3月期下期は若干上昇することを想定していること、下期に設備投資など戦略投資の実施による関連費用の増加を見込んでいること、さらには鳥インフルエンザの発生リスクなどを考慮したものであり、利益ベースでの増額余地を残した修正計画と弊社では見ている。なお、売上高の約8%を占める物流費について「2024年問題」によるコストアップが見込まれるが、配送コスト上昇分の一部は顧客へ負担協力を仰ぐなどの対応を行い、増収効果で吸収できる範囲内に納まる見込みだ。
※2024年3月期第2四半期に実施した価格改定が通期で寄与する。
PT.Intan Kenkomayo Indonesiaについては能力増強が近々完了する見込みで、2025年3月期も堅調な業績が見込まれる。親会社株主に帰属する当期純利益を減益としているのは、投資有価証券売却益を見込んでいないためだが、同社は政策保有株式の縮減を財務戦略の1つとして掲げていることから、状況次第では2025年3月期も投資有価証券売却益が発生する可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SO>