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P-京橋アートレジ Research Memo(6):手頃な価格や高い事業収支率につながる強み

*14:06JST P-京橋アートレジ Research Memo(6):手頃な価格や高い事業収支率につながる強み
■事業概要

4. 同社の強み
京橋アートレジデンス<5536>の強みは、ネットワーク、商品力、事業展開力にある。ネットワークはさらに、推進力、企画力、監理力、一気通貫した体制といった強みにもつながっている。こうした強みを背景に、東京23区内の住環境や生活利便性、賃貸需要の高い立地に、4~5階建、8~14戸数という、他社があまり手を出さないニッチな不動産を開発、販売優位性の高い3億円~5億円という手頃な価格で販売したうえで、高い事業収支率を達成できるのである。また、そうした強みは認知度と信用度の向上の源泉にもなっており、同社の成長を支えている。

ネットワークは、ニッチな新築マンションを建設できる施工業者など協力会社とつながることで、瑕疵・住民対策を含め開発から販売までおおむね2年という短期間で事業を展開する推進力、同社内の建築企画部を中心にグループ企業や協力会社を巻き込んだ企画力、用地取得から設計施工、販売・賃貸に至る協力会社に対する監理力という強みを生みだし、さらに開発から販売までの一気通貫した体制の構築にもつながっている。ネットワークはさらに、知名度や信頼が高まるにつれ不動産仲介業者や銀行、証券会社、税理士事務所、会計事務所との関係も太くしている。富裕層という同社のターゲットが重なるこうした企業・事務所とは、同社が顧客を紹介してもらうだけでなく、同社との取引によって顧客に金融や税務、運用、資産処理などのニーズが発生するため、相互補完の関係にある。また、顧客紹介などの点で富裕層とのネットワーク、情報交換の点で同業とのネットワークも強みと言える。特に同業とは、一般的に競合関係に陥ることが多いが、資産形成用収益賃貸レジデンスという競合が起きるにはニッチ過ぎる市場では、顧客情報や販売価格情報など情報交換を行うことで共存共栄が図られている。同社業態に近い新築投資用マンションのタスキが2024年4月に資産運用型の新日本建物と合併してより大きな共同持株会社タスキホールディングス<166A>となったが、同社にとって脅威というより情報力強化の点でメリットが大きいと考えられる。こうしたネットワーク力をさらに強めるため、共同事業、事業提携、資本提携など取引先との関係強化を目的に2024年4月に情報開発部を新設した。さらに6月、証券関連事業と中古不動産再生など不動産関連事業を併営するあかつき本社グループと提携し、資産形成用収益賃貸マンションを共同開発する予定だが、富裕層ネットワークの強化も期待されている。

しかし、商品力や事業展開力がなければ、こうしたネットワークも強みとして生かすことができない。このため同社は、トランクルームやカーシェアを付けたり、防音マンション「ラシクラス(RASICLAS)」を供給する(株)らしくと提携してミュージシャンやユーチューバー、ゲーマーからのニーズが強い防音マンションを開発するなど、企画力やデザイン性、資産価値の高い商品を安定供給できるよう商品力の強化を進めている。また、不動産テック企業と提携するなど不動産開発においてDX導入を続けるなど生産性と効率性の高い事業展開を行っており、相対的に高い事業収支率を実現している。同社は、同社自身とのシナジーも考慮したうえでスタートアップ投資を行っており、2024年6月オンライン上のロケーション情報を管理するDX化を得意とする(株)エフェクチュアルに投資し、事業展開力の強化を図っている。なお、ESG関連事業においても、環境課題や社会課題に継続的に取り組むことで構築してきた様々な業種とのネットワークが強みとなっている。


企画開発の人材を増強し、成長につなげる
5. 同社の課題
強みをさらに発揮するための最大の課題は、人材の確保と育成にあると考えられる。上場によって管理面の人材が補強でき、内部統制やリスク管理体制の整備・強化及びコンプライアンスの徹底は進んだ。今後は開発や企画の人材を増強する計画で、特にニッチで参入企業が少ないため開発余地が非常に大きい新築マンション事業において、開発~引渡を安定的に増やし成長につなげる方針である。また、総資産93億円に対し在庫が56億円、借入金が72億円という財務体質(2024年11月期第2四半期末)も課題と言える。在庫と借入金については、在庫自体がプロジェクトとして資金調達と紐付いていること、金融機関とのネットワークが強固になってきていることから、事業の拡大に伴って在庫や借入金が増加することは問題ないと考えられる。ただし、財務数値的には、在庫をしっかり収益化し(できれば在庫回転率を引き上げ)、将来的に自己資本比率を向上させていく必要があると思われる。また、事業拡大とともに在庫と紐付いているとはいえ借入金が増加していることに対して、エクイティファイナンスなど他の調達方法を検討することも課題かもしれない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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