フィスコニュース
PCNET Research Memo(5):サブスクリプションの受注が好調を継続し、売上高は4期連続の増収
2024/08/19 12:45
*12:45JST PCNET Research Memo(5):サブスクリプションの受注が好調を継続し、売上高は4期連続の増収
■業績動向
1. 2024年5月期の連結業績概要
パシフィックネット<3021>の2024年5月期の連結業績は、売上高が6,921百万円(前期比8.1%増)、営業利益が658百万円(同24.2%増)、経常利益が636百万円(同22.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が432百万円(同28.5%増)となった。売上高は4期連続で過去最高を更新し、各段階利益は前期に続いて2ケタの増益を確保した。業績予想比では売上高7,100百万円に対して達成率97.5%、営業利益650百万円に対して同101.2%、経常利益620百万円に対して同102.6%、親会社株主に帰属する当期純利益395百万円に対して同109.4%と、売上高はわずかに目標未達となったものの、各段階利益は目標を上回った。国内の法人向け新規PCの出荷台数が伸び悩むなか、各サービスの認知度向上に努め、受注獲得を進めた結果、各事業の利益は堅調に推移した。なかでも同社の主力事業であるITサブスクリプション事業は契約受注を順調に伸ばし、売上高は前期比10.4%増、セグメント利益については、前期に実施したサブスクリプション資産の耐用年数変更に伴い、減価償却費が減少して増益した要因を除くと、前期比27.6%増となり、順調に業績を拡大させた。なお、同事業の四半期ごとの売上高は、2019年5月期以降2024年5月期までの年平均成長率で25.5%と着実に成長を遂げた。IT資産の管理や処分を行うITAD事業は減収増益となった。サービス収益の拡大や、収益性の高いPCに絞ってリユース販売するなど収益性を重視した施策の効果が現れた格好である。コミュニケーション・デバイス事業は増収、大幅増益となった。国内旅行に加え、訪日旅行や旅行業以外のイヤホンガイドの受注が増加した。
ITサブスクリプション事業においては、サブスクリプション資産を充実させてストック収益の拡大を図るビジネスモデルを採用しているため、先行投資としてのサブスク資産(PCなど)の調達や、全国ネットワークを展開するための設備投資、人材確保のための投資などが膨らみがちである。2024年5月期は、将来の事業拡大に向けてサブスク資産を積み上げたほか、札幌・名古屋・福岡支店の拡張・移転や、東京カスタマーセンターの新設など設備投資を行い、人材の積極採用や人事制度を刷新して給与をアップするといった人的資本への投資にも注力した。一方、資産の稼働率向上に取り組んでコストの適正化に対応し、増益を確保した。
ITAD事業においては、使用済みPCの排出台数低迷が響き、リユース販売が伸び悩んだ。しかし、高スペックPCなど収益性の高い商材に絞って販売を推進した結果、増益を確保した。一方でデータ消去などのサービス販売は、サービス範囲の拡張や営業強化に注力し順調に業績を拡大した。元々固定費抑制により利益率の高い事業ということもあり、2024年5月期の増益に貢献した形だ。コミュニケーション・デバイス事業では、新型コロナウイルス感染症の「5類移行」などによって国内旅行や訪日旅行の需要が回復し、それに伴いイヤホンガイドの需要も拡大した。さらには旅行業以外の分野(企業の工場見学用の受注など)にも積極的に取り組み、前期比で大幅な増益を果たした。
2. 事業構造改革の成果
同社はITサブスクリプションを中心としたストック収益の拡大を最も重要な経営課題と位置付けている。これまで取り組んできた事業構造改革により、環境変化に強く持続的成長が可能な収益構造に転換した。フロー収益は緩やかに減少する一方で、ITサブスクリプション事業の売上高は2017年5月期の922百万円から2024年5月期には4,944百万円に成長した。Windows 10のサポート終了等を控えており、今後も順調に拡大すると弊社では見ている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<SO>
■業績動向
1. 2024年5月期の連結業績概要
パシフィックネット<3021>の2024年5月期の連結業績は、売上高が6,921百万円(前期比8.1%増)、営業利益が658百万円(同24.2%増)、経常利益が636百万円(同22.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が432百万円(同28.5%増)となった。売上高は4期連続で過去最高を更新し、各段階利益は前期に続いて2ケタの増益を確保した。業績予想比では売上高7,100百万円に対して達成率97.5%、営業利益650百万円に対して同101.2%、経常利益620百万円に対して同102.6%、親会社株主に帰属する当期純利益395百万円に対して同109.4%と、売上高はわずかに目標未達となったものの、各段階利益は目標を上回った。国内の法人向け新規PCの出荷台数が伸び悩むなか、各サービスの認知度向上に努め、受注獲得を進めた結果、各事業の利益は堅調に推移した。なかでも同社の主力事業であるITサブスクリプション事業は契約受注を順調に伸ばし、売上高は前期比10.4%増、セグメント利益については、前期に実施したサブスクリプション資産の耐用年数変更に伴い、減価償却費が減少して増益した要因を除くと、前期比27.6%増となり、順調に業績を拡大させた。なお、同事業の四半期ごとの売上高は、2019年5月期以降2024年5月期までの年平均成長率で25.5%と着実に成長を遂げた。IT資産の管理や処分を行うITAD事業は減収増益となった。サービス収益の拡大や、収益性の高いPCに絞ってリユース販売するなど収益性を重視した施策の効果が現れた格好である。コミュニケーション・デバイス事業は増収、大幅増益となった。国内旅行に加え、訪日旅行や旅行業以外のイヤホンガイドの受注が増加した。
ITサブスクリプション事業においては、サブスクリプション資産を充実させてストック収益の拡大を図るビジネスモデルを採用しているため、先行投資としてのサブスク資産(PCなど)の調達や、全国ネットワークを展開するための設備投資、人材確保のための投資などが膨らみがちである。2024年5月期は、将来の事業拡大に向けてサブスク資産を積み上げたほか、札幌・名古屋・福岡支店の拡張・移転や、東京カスタマーセンターの新設など設備投資を行い、人材の積極採用や人事制度を刷新して給与をアップするといった人的資本への投資にも注力した。一方、資産の稼働率向上に取り組んでコストの適正化に対応し、増益を確保した。
ITAD事業においては、使用済みPCの排出台数低迷が響き、リユース販売が伸び悩んだ。しかし、高スペックPCなど収益性の高い商材に絞って販売を推進した結果、増益を確保した。一方でデータ消去などのサービス販売は、サービス範囲の拡張や営業強化に注力し順調に業績を拡大した。元々固定費抑制により利益率の高い事業ということもあり、2024年5月期の増益に貢献した形だ。コミュニケーション・デバイス事業では、新型コロナウイルス感染症の「5類移行」などによって国内旅行や訪日旅行の需要が回復し、それに伴いイヤホンガイドの需要も拡大した。さらには旅行業以外の分野(企業の工場見学用の受注など)にも積極的に取り組み、前期比で大幅な増益を果たした。
2. 事業構造改革の成果
同社はITサブスクリプションを中心としたストック収益の拡大を最も重要な経営課題と位置付けている。これまで取り組んできた事業構造改革により、環境変化に強く持続的成長が可能な収益構造に転換した。フロー収益は緩やかに減少する一方で、ITサブスクリプション事業の売上高は2017年5月期の922百万円から2024年5月期には4,944百万円に成長した。Windows 10のサポート終了等を控えており、今後も順調に拡大すると弊社では見ている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<SO>