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新晃工業 Research Memo(7):ターゲットをデータセンターや空調設備工事メンテナンスなどに絞る
2024/08/13 14:47
*14:47JST 新晃工業 Research Memo(7):ターゲットをデータセンターや空調設備工事メンテナンスなどに絞る
■新晃工業<6458>の中期経営計画
2. グループ市場戦略
「move.2027」では事業戦略の中で、既存市場や既存製品の拡大とともに、市場規模が見込める新たな領域への事業拡張を目指す市場戦略を展開する。このため、ターゲット市場をデータセンター(市場規模250億円)、個別空調(同120億円)、空調設備工事メンテナンス(同2,100億円)、再エネ蓄熱・水素冷却(同150億円)の4つに定めた(市場規模は同社推定)。データセンター向けでは、グループのバリューチェーンを生かして製品のみならずトータルでサービスを提案することで、安定稼働と環境価値の2つの付加価値の提供を図り、売上高は2023年3月期の20億円から55億円(当初40億円から上方修正)へと3倍近くの増加を目指す。足元では好調な受注を続けているため、同社の強みが発揮できる有望ターゲットとして重点的に取り組んでいる。個別空調では、「オクージオ」の販売強化と、低GWP(地球温暖化係数)の新冷媒に対応するヒートポンプAHUの開発によって、売上高を20億円から30億円へと拡大する方針である。このため、2024年4月にヒートポンプAHUの専門販売部署を新設し、空調システム・工事・サービスの一体提案を進めているところである。また、環境に良い新しい冷媒の開発にも寄与する考えである。
空調設備工事・メンテナンスでは、サービスパックや定期点検パックによって工事の川下側を積極的に拡充するとともに、空調機のメンテナンス更新に関わる電気工事にも領域を広げる計画である。同社のターゲットの中でも市場規模が大きいため、自社製品とセットで新晃アトモスのメンテナンスを売り込む考えである。足元は高水準の需要が続いており、今後さらに勢いを増すようで、売上高を100億円から126億円へと拡大する方針である(当初108億円から上方修正)。再エネ蓄熱・水素冷却では、再生可能エネルギー向け蓄熱システムや水素精製プラントでの発熱を抑えるハイスペック冷却システムで市場を開拓する方針で、新たに7億円の売上を見込んでいる。このように新市場・新製品への領域拡大による増収分として、78億円のプラスオンを計画しているが、同時に、環境価値や建物価値の向上、稼働に対する信頼性、充実したサービスなど、顧客からハイレベルな対応が求められることになる。これには、業界最高レベルの環境性能の実現、安定稼働という信頼を支えるNo.1品質の追求、空調ノウハウの提供による建物価値の引き上げ、新サービスのリリースによる顧客利便性の向上、工事体制の拡充によるハイレベルな工事サービスの提供、蓄エネや水素冷却のニーズを満たす製品の提供などによって、顧客満足を引き上げることで対応する考えである。
こうしたターゲット市場の中でも、データセンターは製品の信頼性や環境性能が特に重要視される。データセンター向け空調は、AIやクラウド、5Gなどデジタル環境やインターネット環境が高度化するとともにニーズが強まってきたが、特に近年、学習過程で大きな電力が必要となる生成AIの普及により、熱制御が難しい大規模・高速・大容量のハイパースケールデータセンター向けの空調が注目されている。これに対し、空冷ではほかにない大風量で大きな熱負荷を処理できる同社のAHUが適していると言えるが、熱制御に強い液冷に関しても日本ビー・エー・シーが大型冷却塔などを扱っていることから、同社は空冷・液冷ともに用途対応を進めるとともに、空冷・液冷のハイブリッドにも対応する考えである。ただし、2030年までは空冷主体の納品が続く見込みで、その後の大規模なメンテナンス需要につながると予測される。同社ではハイパースケールデータセンターからの受注が増えているが、大風量のみならず、24時間安定稼働する品質や国内サービス体制に対する信頼が背景にあるものと思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SO>
■新晃工業<6458>の中期経営計画
2. グループ市場戦略
「move.2027」では事業戦略の中で、既存市場や既存製品の拡大とともに、市場規模が見込める新たな領域への事業拡張を目指す市場戦略を展開する。このため、ターゲット市場をデータセンター(市場規模250億円)、個別空調(同120億円)、空調設備工事メンテナンス(同2,100億円)、再エネ蓄熱・水素冷却(同150億円)の4つに定めた(市場規模は同社推定)。データセンター向けでは、グループのバリューチェーンを生かして製品のみならずトータルでサービスを提案することで、安定稼働と環境価値の2つの付加価値の提供を図り、売上高は2023年3月期の20億円から55億円(当初40億円から上方修正)へと3倍近くの増加を目指す。足元では好調な受注を続けているため、同社の強みが発揮できる有望ターゲットとして重点的に取り組んでいる。個別空調では、「オクージオ」の販売強化と、低GWP(地球温暖化係数)の新冷媒に対応するヒートポンプAHUの開発によって、売上高を20億円から30億円へと拡大する方針である。このため、2024年4月にヒートポンプAHUの専門販売部署を新設し、空調システム・工事・サービスの一体提案を進めているところである。また、環境に良い新しい冷媒の開発にも寄与する考えである。
空調設備工事・メンテナンスでは、サービスパックや定期点検パックによって工事の川下側を積極的に拡充するとともに、空調機のメンテナンス更新に関わる電気工事にも領域を広げる計画である。同社のターゲットの中でも市場規模が大きいため、自社製品とセットで新晃アトモスのメンテナンスを売り込む考えである。足元は高水準の需要が続いており、今後さらに勢いを増すようで、売上高を100億円から126億円へと拡大する方針である(当初108億円から上方修正)。再エネ蓄熱・水素冷却では、再生可能エネルギー向け蓄熱システムや水素精製プラントでの発熱を抑えるハイスペック冷却システムで市場を開拓する方針で、新たに7億円の売上を見込んでいる。このように新市場・新製品への領域拡大による増収分として、78億円のプラスオンを計画しているが、同時に、環境価値や建物価値の向上、稼働に対する信頼性、充実したサービスなど、顧客からハイレベルな対応が求められることになる。これには、業界最高レベルの環境性能の実現、安定稼働という信頼を支えるNo.1品質の追求、空調ノウハウの提供による建物価値の引き上げ、新サービスのリリースによる顧客利便性の向上、工事体制の拡充によるハイレベルな工事サービスの提供、蓄エネや水素冷却のニーズを満たす製品の提供などによって、顧客満足を引き上げることで対応する考えである。
こうしたターゲット市場の中でも、データセンターは製品の信頼性や環境性能が特に重要視される。データセンター向け空調は、AIやクラウド、5Gなどデジタル環境やインターネット環境が高度化するとともにニーズが強まってきたが、特に近年、学習過程で大きな電力が必要となる生成AIの普及により、熱制御が難しい大規模・高速・大容量のハイパースケールデータセンター向けの空調が注目されている。これに対し、空冷ではほかにない大風量で大きな熱負荷を処理できる同社のAHUが適していると言えるが、熱制御に強い液冷に関しても日本ビー・エー・シーが大型冷却塔などを扱っていることから、同社は空冷・液冷ともに用途対応を進めるとともに、空冷・液冷のハイブリッドにも対応する考えである。ただし、2030年までは空冷主体の納品が続く見込みで、その後の大規模なメンテナンス需要につながると予測される。同社ではハイパースケールデータセンターからの受注が増えているが、大風量のみならず、24時間安定稼働する品質や国内サービス体制に対する信頼が背景にあるものと思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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