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ネットイヤー Research Memo(7):NTTデータとの協業強化等により中長期的な成長を目指す(1)

*12:47JST ネットイヤー Research Memo(7):NTTデータとの協業強化等により中長期的な成長を目指す(1)
■今後の見通し

2.成長戦略
ネットイヤーグループ<3622>は、1) 顧客接点改善の対象領域拡張による競合優位性の強化、2) 多面的なサービス提供による重点顧客の拡充、3) NTTデータとの協業強化による安定的な顧客創出、4) 提供サービスの拡充、5) 人的リソースの確保・育成の5点を成長戦略として推進している。

(1) 顧客接点改善の対象領域拡張による競合優位性の強化
同社は顧客接点改善の対象領域を拡張し、価値提供の範囲を拡大することで顧客の多様なニーズに応え事業成長を加速させる。具体的には、従来のWeb領域に留まらず、デジタル領域全般(ソーシャルメディア、ネット広告、EC等)やリアル(実店舗)まで顧客接点を広げることで、顧客企業を支援できる範囲を広げ、競争が激しい市場において競合優位性を確保していく。

(2) 多面的なサービス提供による重点顧客の拡充
顧客企業に対する多面的なサービス提供による関係深化と、重点顧客数の増加による収益効率の向上を目指す。顧客接点ごとに企画やデザイン、開発、運用改善など複数のサービスをワンストップで提供することで、スターバックスのように複数年にわたって数億円規模の安定した取引が見込める重点顧客との取引深耕を図る。現在は数社に留まるが、10社程度の候補企業を重点顧客へと育成していく。

(3) NTTデータとの協業強化による安定的な顧客創出
NTTデータ及びグループ各社と顧客戦略を共有し、協働による営業開拓と両社の強みを生かした価値を提供していくことで、同社単独ではリーチしづらい重点顧客の創出を図る。2024年3月期は大型プロジェクトが終了したこともあり減収となったが、2025年3月期は新社長のプレゼンスも生かしながら協業案件の受注を獲得し、2023年3月期の水準までの売上回復を目指す。

(4) 提供サービスの拡充
中長期的な持続的成長を実現するため、カスタムプロジェクトの拡大だけではなく、ある程度仕組み化されたサービスの拡充による効率化が重要となるため、同社は現在「デザイン&アジャイル」「ブランドバリューアップ支援」「SaaSインテグレーション」「フルスタックSX」の4つのサービスの拡大に注力している。前期は一部で成果があったものの、顧客企業側のニーズと、同社が提案するサービスのギャップを埋めることができず、全体の収益を押し上げるまでには至らなかった。2025年3月期は顧客企業にとって魅力あるサービスとなるよう、サービス品質を向上することで拡販を図る。

さらには、新規サービスの開発も進めている。2023年9月に資本提携契約を締結したHexabaseとは、小規模事業者をターゲットとしたプロダクトを共同開発中で年内のリリースを目指している。Hexabaseは、企業が新規事業を立ち上げる際に必要となるシステムの開発基盤をクラウドサービスとして提供する、いわゆるBaaS(Backend as a Service)企業である。Hexabaseが提供するBaaS「Hexabase」は、エンジニアがバックエンドのコーディングなしで本格的なWebシステムの開発が可能であり、OSS※による先進的なマイクロサービス基盤により、業務プロセスやビジネスニーズに応じた多様なバックエンド機能をクラウドサービスとして一元的に提供している。Hexabaseとは今回の共同開発だけでなく、同社が手掛けるフロントエンド領域と「Hexabase」のサービスをセットで顧客に提案し、今まで取りこぼしていた見込み案件の受注成約率を高めるべく営業活動の連携も開始している。

※OSS(Open Source Software):ソースコードが公開されており、誰でも自由に閲覧、変更、配布可能なソフトウェア。


そのほか、自社にないリソースを持つ企業に対してM&Aやアライアンスを行い、効率的に事業基盤を強化・拡大する。特に、AIの活用はデジタルマーケティング領域においても重要になってきていることから、積極的に取り組む。具体的には、2023年9月に米国のAIプラットフォームベンダーであるbehamics,Inc.と国内初の代理店契約を締結した。

BehamicsはECサイトのパフォーマンスをAIで分析し、収益を向上させることに特化したEC向けSaaS AIプラットフォームを提供している。サービスの特徴としては、1) ECサイト上で商品閲覧中のユーザーに対して、正しく購入の意思決定を下せるように追加情報とリマインダーをポップアップで表示する機能、2) AIによって技術的及びパフォーマンスの問題を検出し、見つけにくいバグを自動的に発見する機能、3) AI分析によって迅速に収益増減の理由が把握できる機能の3つがある。同社はEC分野において「Shopify」の導入支援を手掛けており、behamicsのサービスも併せて提案することで、顧客のECビジネスの早期収益化を支援するとともに、EC分野における受注拡大につなげる考えだ。2024年4月には国内初ユーザーとして、50代以上の女性を対象に出版・物販事業を展開する(株)ハルメクの公式通販サイトに導入された。顧客からの評価は上々のようで、今後はハルメクの導入事例をもとに拡販していく。

また、2024年6月にはWebサイトのCRO(コンバージョン率最適化)を支援する新サービス「ネットイヤーCVR Max」の提供を開始した。(株)LeanGoのサイト改善ツール「DEJAM」を活用して顧客オウンドメディアのCVRを向上し、効率よく収益成長を支援するサービスとなる。これまで推進してきたPOS(パフォーマンス最適化サービス)におけるコンサルタントの経験と勘に頼ったアプローチからの脱却を図り、同社のUX視点と「DEJAM」の活用によって、データに基づく客観的な洞察と定性的な分析を行う。これにより、改善策の立案及び施策の実行・効果検証といったPDCAサイクルを通じたパフォーマンスの向上をサポートしていく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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