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TDCソフト Research Memo(5):2024年3月期は増収増益で、上方修正計画を上回る進捗(1)
2024/07/09 15:05
*15:05JST TDCソフト Research Memo(5):2024年3月期は増収増益で、上方修正計画を上回る進捗(1)
■TDCソフト<4687>の業績動向
1. 情報サービス産業を取り巻く環境
情報サービス産業を取り巻く環境は、テレワーク環境の整備・強化に向けた需要が一巡した。一方で、クラウドコンピューティング、AI、IoT、RPA、ブロックチェーン、マイクロサービス等の技術革新によるDXの潮流が、企業の競争力強化に向けた戦略的な投資需要を高めた。特に同社が強みを持つ金融業界においては、老朽化した基幹システムがビジネス環境の激しい変化に対応できなくなってきており、現行の情報資産を生かしながら競争力強化に向けた次世代システムに刷新する、モダナイゼーションが活発化している。
2. 2024年3月期の業績
2024年3月期は、売上高39,698百万円(前期比12.6%増)、営業利益3,807百万円(同10.1%増)、経常利益4,253百万円(同14.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,089百万円(同24.1%増)と前期比増収増益となった。同社は2024年2月に業績予想を上方修正し、売上高39,500百万円(期初計画比5.9%増)、営業利益3,800百万円(同7.0%増)、経常利益4,250百万円(同13.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,005百万円(同19.7%増)とした。最終的には売上高、各段階利益とも修正計画を上回る好調な決算となった。戦略的IT投資の活発化という市場環境の好調を受け、各分野の売上高については、ITコンサルティング&サービス分野で前期比18.0%増、金融ITソリューション分野で同10.8%増、公共法人ITソリューション分野で同11.8%増、プラットフォームソリューション分野で同14.1%増と、いずれも2ケタの伸び率を確保した。高付加価値SIサービスである次世代型SI事業も、売上高は2020年3月期からの5年間で5.3倍、全体売上高に占める割合が25.5%と順調に伸びており、今後の事業拡大の牽引役となることが期待される。利益面では、売上総利益は増収により前期比で8.4%増加した。営業利益については新卒採用者数の拡大や早期戦力化のための人件費の増加や、次世代型SI事業拡大に向けた開発投資、ワークプレイス戦略「Smart Work構想」に伴う本社移転費用等の成長投資により販管費が同7.1%増加したものの、増収効果が上回り、同10.1%の増益となった。親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券売却益や賃上げ促進税制適用の減税効果により、同24.1%増と大幅増益となった。
各分野とも好調な業績を見せるなか、それを支える人材確保にも注力しており、新卒採用の拡大とともに中途採用も積極的に行っている。2024年度には新入社員を180名、2023年度には70名のキャリア人材を採用した。新入社員の早期戦力化に向け、まずは技術力を養うためにプログラミング教育を推進する。社員は定期的にプログラミングに関するテストを受験し、そのスコアを管理することで成長度を測る。同時に入社初期段階からのプロジェクト参加により実戦経験を積む機会を提供し、需要が見込まれる高付加価値SI案件などの推進者として育成することで、実際のプロジェクトでは入社2年目頃から戦力とする。ほかにも従来から実施しているパートナー企業とのアライアンス関係を維持・強化することで、拡大する顧客ニーズをビジネスとして取り込み、さらなる業績拡大につなげる考えだ。
3. 事業分野別の業績
(1) ITコンサルティング&サービス分野
2024年3月期においては、顧客企業のDX推進に向けたIT需要の高まりを背景に、エンタープライズ向けのSaaSソリューション案件が堅調に推移した。特に「ServiceNow」等のクラウドプラットフォームや「SalesForce」等の営業支援ツールの導入案件を多く手掛け、売上拡大に貢献した。売上高は前期比18.0%増の6,768百万円となった。
(2) 金融ITソリューション分野
2024年3月期においては、銀行系のシステム開発案件、特にNTTデータグループ<9613>が運営する地銀向け共同利用システムの統合クラウド化に伴うクラウドシフト関連案件が業績を牽引し、売上高は前期比10.8%増の17,618百万円となった。銀行関連のクラウド化やモダナイゼーションが活発になっているほか、クレジット業界向け電子決済関連の案件が増加している。この流れは2025年3月期以降も継続する見込みで、事業拡大余地は依然として大きいと弊社では見ている。
(3) 公共法人ITソリューション分野
流通業、製造業、サービス業や公共向けにシステム化構想・設計・開発・保守などの統合的なITソリューションを提供しており、2024年3月期においては官公庁や運輸業向けの開発案件等が増収に大きく貢献した。官公庁向け案件はDXの流れを受けて引き続き好調であるほか、同社が強みを持つ運輸業界においても2024年問題等を背景としたDX需要を取り込み、売上高は前期比11.8%増の10,637百万円となった。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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■TDCソフト<4687>の業績動向
1. 情報サービス産業を取り巻く環境
情報サービス産業を取り巻く環境は、テレワーク環境の整備・強化に向けた需要が一巡した。一方で、クラウドコンピューティング、AI、IoT、RPA、ブロックチェーン、マイクロサービス等の技術革新によるDXの潮流が、企業の競争力強化に向けた戦略的な投資需要を高めた。特に同社が強みを持つ金融業界においては、老朽化した基幹システムがビジネス環境の激しい変化に対応できなくなってきており、現行の情報資産を生かしながら競争力強化に向けた次世代システムに刷新する、モダナイゼーションが活発化している。
2. 2024年3月期の業績
2024年3月期は、売上高39,698百万円(前期比12.6%増)、営業利益3,807百万円(同10.1%増)、経常利益4,253百万円(同14.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,089百万円(同24.1%増)と前期比増収増益となった。同社は2024年2月に業績予想を上方修正し、売上高39,500百万円(期初計画比5.9%増)、営業利益3,800百万円(同7.0%増)、経常利益4,250百万円(同13.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,005百万円(同19.7%増)とした。最終的には売上高、各段階利益とも修正計画を上回る好調な決算となった。戦略的IT投資の活発化という市場環境の好調を受け、各分野の売上高については、ITコンサルティング&サービス分野で前期比18.0%増、金融ITソリューション分野で同10.8%増、公共法人ITソリューション分野で同11.8%増、プラットフォームソリューション分野で同14.1%増と、いずれも2ケタの伸び率を確保した。高付加価値SIサービスである次世代型SI事業も、売上高は2020年3月期からの5年間で5.3倍、全体売上高に占める割合が25.5%と順調に伸びており、今後の事業拡大の牽引役となることが期待される。利益面では、売上総利益は増収により前期比で8.4%増加した。営業利益については新卒採用者数の拡大や早期戦力化のための人件費の増加や、次世代型SI事業拡大に向けた開発投資、ワークプレイス戦略「Smart Work構想」に伴う本社移転費用等の成長投資により販管費が同7.1%増加したものの、増収効果が上回り、同10.1%の増益となった。親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券売却益や賃上げ促進税制適用の減税効果により、同24.1%増と大幅増益となった。
各分野とも好調な業績を見せるなか、それを支える人材確保にも注力しており、新卒採用の拡大とともに中途採用も積極的に行っている。2024年度には新入社員を180名、2023年度には70名のキャリア人材を採用した。新入社員の早期戦力化に向け、まずは技術力を養うためにプログラミング教育を推進する。社員は定期的にプログラミングに関するテストを受験し、そのスコアを管理することで成長度を測る。同時に入社初期段階からのプロジェクト参加により実戦経験を積む機会を提供し、需要が見込まれる高付加価値SI案件などの推進者として育成することで、実際のプロジェクトでは入社2年目頃から戦力とする。ほかにも従来から実施しているパートナー企業とのアライアンス関係を維持・強化することで、拡大する顧客ニーズをビジネスとして取り込み、さらなる業績拡大につなげる考えだ。
3. 事業分野別の業績
(1) ITコンサルティング&サービス分野
2024年3月期においては、顧客企業のDX推進に向けたIT需要の高まりを背景に、エンタープライズ向けのSaaSソリューション案件が堅調に推移した。特に「ServiceNow」等のクラウドプラットフォームや「SalesForce」等の営業支援ツールの導入案件を多く手掛け、売上拡大に貢献した。売上高は前期比18.0%増の6,768百万円となった。
(2) 金融ITソリューション分野
2024年3月期においては、銀行系のシステム開発案件、特にNTTデータグループ<9613>が運営する地銀向け共同利用システムの統合クラウド化に伴うクラウドシフト関連案件が業績を牽引し、売上高は前期比10.8%増の17,618百万円となった。銀行関連のクラウド化やモダナイゼーションが活発になっているほか、クレジット業界向け電子決済関連の案件が増加している。この流れは2025年3月期以降も継続する見込みで、事業拡大余地は依然として大きいと弊社では見ている。
(3) 公共法人ITソリューション分野
流通業、製造業、サービス業や公共向けにシステム化構想・設計・開発・保守などの統合的なITソリューションを提供しており、2024年3月期においては官公庁や運輸業向けの開発案件等が増収に大きく貢献した。官公庁向け案件はDXの流れを受けて引き続き好調であるほか、同社が強みを持つ運輸業界においても2024年問題等を背景としたDX需要を取り込み、売上高は前期比11.8%増の10,637百万円となった。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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