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ハウスコム Research Memo(1):2024年3月期は事業の質的向上や効率化が進み営業利益は期初計画を超過達成
2024/07/02 13:01
*13:01JST ハウスコム Research Memo(1):2024年3月期は事業の質的向上や効率化が進み営業利益は期初計画を超過達成
■要約
ハウスコム<3275>は、首都圏、中部圏、関西圏を中心に不動産仲介業務及び関連サービスを提供する企業である。早くからITの可能性に着目し、画期的なサービスの開発・提供や事業活動の生産性向上に注力してきたことから、「不動産DXのハウスコム」と呼ばれている。また、「入居者側のエージェント」として入居者目線で多くの物件を平等に紹介する姿勢も同社の強みの1つとなっている。
1. 2024年3月期の連結業績概要
2024年3月期の連結業績は、営業収益が前期比4.6%減の13,529百万円、営業利益が同27.5%増の502百万円、経常利益が同10.5%増の685百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同25.5%増の410百万円だった。同社は期初計画を営業収益14,288百万円、営業利益462百万円、経常利益646百万円、親会社株主に帰属する当期純利益389百万円としており、営業収益は未達となったものの、営業利益以下については超過達成した。特にコア事業である不動産関連事業の営業収益は同4.7%減の11,951百万円、セグメント利益が同8.8%増の2,378百万円と減収増益であった。営業収益減少の主因は、店舗の統廃合や働き方改革を推進したことなどで、一時的に仲介件数がグループ全体で同5.7%減となったことにあり、大きな懸念は不要だろう。一方、営業利益については、2024年3月期より事業規模の拡大よりも事業の質的向上や効率化に重点を置いた施策を開始していることに加え、店舗の統廃合、ITを駆使した店舗内業務の効率化を推し進めたことで期初計画よりも良化しての着地となった。また、主要子会社の1つである大阪ハウスコム(株)で基幹システム活用やバックオフィス業務の本社移管が進み、特に収益性の改善が堅調であった。
2. 2025年3月期の連結業績見通し
2025年3月期の連結業績については、営業収益で前期比3.5%増の14,001百万円、営業利益で同11.4%増の560百万円、経常利益で同8.6%増の744百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同21.3%増の498百万円を見込んでいる。2024年3月期は営業収益に関しては減収となったが、2025年3月期は増収・増益を見込んでおり、収益構造の改善を推進することで営業利益率4.0%を目指す。2025年3月期の主な取り組みとして、(1) 働き方改革の推進や労働効率の向上及び、業務のDX化において営業収益と営業費用のバランスを取るべく直営店の店舗数の統廃合を進める、(2) 家主向け新サービスの導入・拡大、業務効率・生産性向上に向けたDXをさらに推進する、を挙げている。
3. 中長期の成長戦略と進捗状況
同社は「事業領域拡大による収益構造の転換」「既存事業分野の競争力強化等」「店舗数増加による規模の拡大」「グループ経営を前進させるための内部体制の強化」の『4つの施策』を推し進めている。「既存事業分野の競争力強化等」においては、引き続きDXによる集客力・競争力の強化と生産性の向上を実施した。これにより、2022年5月の宅地建物取引業法の改正で重要事項説明書と賃貸借契約書の交付をデジタルデータで実施可能となった流れをしっかりと自社の業績に取り込んだ。また、今後は入居後においても入居者との接点を維持し、営業収益の拡大に結び付けていく考えであり、外部企業と連携しながらデータの活用方法を模索している。「店舗数増加による規模の拡大」については、2023年3月期より方針を転換し、新規出店を抑制しつつ1店舗当たりの収益性向上に向けた舵取りを行ってきたが、その成果が見えてきたことから、2025年3月期には新たに5店舗の出店を計画している。事業の質的向上だけでなく、営業収益の拡大も同時に狙っていく構えだ。また、AIを積極的に活用する考えであり、無数にある賃貸物件のなかから顧客が最適解を得やすくしたり、顧客からの問い合わせに迅速・的確に対応するなど、生産性の改善や利益率の向上を図っていく。
■Key Points
・2024年3月期は期初計画に対して営業収益は未達も、営業利益は過達。事業の質的改善が進み想定を超える改善
・2025年3月期は営業収益、営業利益ともに前期を上回る計画。DX推進による業務効率の改善により、さらなる業績拡大を狙う
・中長期的な経営戦略として掲げた『4つの施策』を遂行中。2025年3月期は5店舗の新規出店を計画し、質的向上のさらなる推進とともに量的拡大に向けた攻めも開始
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
<AS>
■要約
ハウスコム<3275>は、首都圏、中部圏、関西圏を中心に不動産仲介業務及び関連サービスを提供する企業である。早くからITの可能性に着目し、画期的なサービスの開発・提供や事業活動の生産性向上に注力してきたことから、「不動産DXのハウスコム」と呼ばれている。また、「入居者側のエージェント」として入居者目線で多くの物件を平等に紹介する姿勢も同社の強みの1つとなっている。
1. 2024年3月期の連結業績概要
2024年3月期の連結業績は、営業収益が前期比4.6%減の13,529百万円、営業利益が同27.5%増の502百万円、経常利益が同10.5%増の685百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同25.5%増の410百万円だった。同社は期初計画を営業収益14,288百万円、営業利益462百万円、経常利益646百万円、親会社株主に帰属する当期純利益389百万円としており、営業収益は未達となったものの、営業利益以下については超過達成した。特にコア事業である不動産関連事業の営業収益は同4.7%減の11,951百万円、セグメント利益が同8.8%増の2,378百万円と減収増益であった。営業収益減少の主因は、店舗の統廃合や働き方改革を推進したことなどで、一時的に仲介件数がグループ全体で同5.7%減となったことにあり、大きな懸念は不要だろう。一方、営業利益については、2024年3月期より事業規模の拡大よりも事業の質的向上や効率化に重点を置いた施策を開始していることに加え、店舗の統廃合、ITを駆使した店舗内業務の効率化を推し進めたことで期初計画よりも良化しての着地となった。また、主要子会社の1つである大阪ハウスコム(株)で基幹システム活用やバックオフィス業務の本社移管が進み、特に収益性の改善が堅調であった。
2. 2025年3月期の連結業績見通し
2025年3月期の連結業績については、営業収益で前期比3.5%増の14,001百万円、営業利益で同11.4%増の560百万円、経常利益で同8.6%増の744百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同21.3%増の498百万円を見込んでいる。2024年3月期は営業収益に関しては減収となったが、2025年3月期は増収・増益を見込んでおり、収益構造の改善を推進することで営業利益率4.0%を目指す。2025年3月期の主な取り組みとして、(1) 働き方改革の推進や労働効率の向上及び、業務のDX化において営業収益と営業費用のバランスを取るべく直営店の店舗数の統廃合を進める、(2) 家主向け新サービスの導入・拡大、業務効率・生産性向上に向けたDXをさらに推進する、を挙げている。
3. 中長期の成長戦略と進捗状況
同社は「事業領域拡大による収益構造の転換」「既存事業分野の競争力強化等」「店舗数増加による規模の拡大」「グループ経営を前進させるための内部体制の強化」の『4つの施策』を推し進めている。「既存事業分野の競争力強化等」においては、引き続きDXによる集客力・競争力の強化と生産性の向上を実施した。これにより、2022年5月の宅地建物取引業法の改正で重要事項説明書と賃貸借契約書の交付をデジタルデータで実施可能となった流れをしっかりと自社の業績に取り込んだ。また、今後は入居後においても入居者との接点を維持し、営業収益の拡大に結び付けていく考えであり、外部企業と連携しながらデータの活用方法を模索している。「店舗数増加による規模の拡大」については、2023年3月期より方針を転換し、新規出店を抑制しつつ1店舗当たりの収益性向上に向けた舵取りを行ってきたが、その成果が見えてきたことから、2025年3月期には新たに5店舗の出店を計画している。事業の質的向上だけでなく、営業収益の拡大も同時に狙っていく構えだ。また、AIを積極的に活用する考えであり、無数にある賃貸物件のなかから顧客が最適解を得やすくしたり、顧客からの問い合わせに迅速・的確に対応するなど、生産性の改善や利益率の向上を図っていく。
■Key Points
・2024年3月期は期初計画に対して営業収益は未達も、営業利益は過達。事業の質的改善が進み想定を超える改善
・2025年3月期は営業収益、営業利益ともに前期を上回る計画。DX推進による業務効率の改善により、さらなる業績拡大を狙う
・中長期的な経営戦略として掲げた『4つの施策』を遂行中。2025年3月期は5店舗の新規出店を計画し、質的向上のさらなる推進とともに量的拡大に向けた攻めも開始
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
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