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キャリアリンク Research Memo(7):地方自治体向け案件の拡大により2027年3月期に営業利益50億円目指す
2024/06/27 14:27
*14:27JST キャリアリンク Research Memo(7):地方自治体向け案件の拡大により2027年3月期に営業利益50億円目指す
■キャリアリンク<6070>の今後の見通し
2. 中期経営計画
2024年5月に発表した3ヶ年の中期経営計画では、2026年3月期までの2年間をBPO関連事業の市場環境変化に対応し継続的な成長を実現するための体制構築期間と位置付けている。2024年3月期下期に取り組んだ取引地方自治体数拡大と業務領域の拡大、民間企業へのBPO取り組み強化に加えて、顧客ニーズや業種へのきめ細かい対応をコンセプトとする新規ビジネスモデルの開発や、AI等の導入によるDXを推進するなどビジネスプロセスの再構築に取り組み、顧客満足度の向上、業務改善・品質向上のための体制強化を図る方針だ。
2026年3月期までの2年間は「トライ&エラー」を繰り返しながら事業活動を推進するため、増収率は10%弱、営業利益率も7.5%前後で推移する計画だが、これら取り組みの成果が顕在化する2027年3月期には、増収率で15%、営業利益率で8.3%と売上成長の加速とともに収益性も向上する計画である。
成長戦略として、1) 長期継続が見込める案件を獲得していくことで収益基盤の強化を図る、2) 公共BPOの深化と案件多様化を推進する、3) 拠点拡充によって、取引先の地方自治体をさらに増加させる、の3点に取り組む方針だ。また、2026年3月期までの2年間で人材・インフラ両面で積極投資を行いつつ、戦略的施策(地方自治体取引数拡大、業務領域拡大、事務系及び製造系人材サービス事業における民間BPO推進、新規ビジネスモデルの開発、DXなどによる業務プロセス改革とサービス提供レベルの向上など)を実施し、2027年3月期以降の持続的成長基盤を構築していく。人的資本投資の面からは、人材のスキル・経験・知見をさらに蓄積、向上すべく、BPO業務に関する「リスキリング」を積極的に実施し、難易度が高く収益性の向上が見込める案件の受注能力を強化するとともに、顧客満足度の向上を図る。
公共BPOの深化に関しては、既に取引している地方自治体の周辺自治体(人口10万人以上など)との取引を深掘りし、取引地方自治体及び事業領域の拡大により収益基盤を拡大する。とりわけ、ITを活用した様々な住民サービスが普及し始めるなかで、こうした専門分野に対して積極的にアプローチし、長期継続的な案件を積み上げていく考えだ。イメージ的には、ITシステムとその管理運用者、関連業務の窓口スタッフなどをパッケージ化して提供するケースが想定され、同社の強みが活かせるとみている。取引先自治体数については、2024年3月期までの実績158自治体に対して2027年3月期までに230自治体を目標としている。また、同社単独だけではなく、各テーマに関するリーディングカンパニーとのアライアンス戦略なども状況に応じて行い、受注を獲得するケースも想定している。
計画の前提となるKPIとして、単年度ベースの取引先自治体数は2024年3月期の80自治体から2027年3月期は135自治体まで拡大し、また1自治体当たりの複数案件指数を1.5倍から2.0倍に増やしていく。1自治体当たりの受注単価については規模の小さい自治体や案件の比率が増えることを想定し、131百万円から93百万円に低下するが、地方自治体向け売上高については、2024年3月期の15,735百万円から2027年3月期は年率16.8%成長の25,094百万円となる見通しだ。一方、BPO事業者を含む民間企業については案件数で2024年3月期の61件から2027年3月期は80件に、平均受注単価は185百万円から155百万円に低下することを想定し、売上高は11,274百万円から年率3.1%成長の12,360百万円と堅実な成長を見込んでいる。BPO関連事業に占める地方自治体向け売上比率は2024年3月期の58.3%から2027年3月期は67.0%に上昇するが、実際には70~80%の水準になると思われる。また、民間企業向けのほうが平均受注単価が高くなっているが、大手BPO事業者からは官公庁などの大型案件を受注するケースが多いことによる。
マイナンバーカードの交付手続き業務については普及率が70%を超えたことから、2024年3月期をピークに今後は減少するが、代わりにマイナンバーの利活用分野(健康保険証、運転免許証、図書館カードの一体化などに付随する業務)の需要が立ち上がる。このため、これらを入札によりどれだけ多く受注できるかも、今後3年間の売上成長のポイントになる。そのほか、2025年3月期以降のテーマとしては子育て支援策の拡充や社会保険関連業務、法改正関連業務などがあり、これら需要を確実に取り込むことで業績を再成長軌道に乗せることは可能と弊社では見ている。社会保険関連業務では、2023年10月に奈良県大和高田市と保険医療課における連携協定を締結したことを発表した。
収益性と成長性の二軸で事業ポートフォリオを見ると、成長性かつ収益性の高いBPO関連事業は積極投資(人材投資、IT&DX投資、M&Aなど)により、持続的成長と高収益の維持・向上に取り組む。また、収益性はまだ低いものの高成長が続いている製造系人材サービス事業については、まだ成長過程にあるとの認識で、引き続き取引基盤の拡大を優先した成長を重視する方針だ。収益性、成長性が低いCRM関連事業部門や一般事務事業部門については、収益構造を改善し安定収益を確保しながら、BPO案件につなげていくフック役の機能としていく。そのほか、フィールド(営業及び営業代行)のBPOサービスは、新規顧客の開拓を進めて売上成長を目指す。また、JBSが展開しているペイロール(人事給与)のBPOサービスについては、企業のアウトソーシングニーズが旺盛なことから営業体制を強化して規模の拡大に取り組む意向だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■キャリアリンク<6070>の今後の見通し
2. 中期経営計画
2024年5月に発表した3ヶ年の中期経営計画では、2026年3月期までの2年間をBPO関連事業の市場環境変化に対応し継続的な成長を実現するための体制構築期間と位置付けている。2024年3月期下期に取り組んだ取引地方自治体数拡大と業務領域の拡大、民間企業へのBPO取り組み強化に加えて、顧客ニーズや業種へのきめ細かい対応をコンセプトとする新規ビジネスモデルの開発や、AI等の導入によるDXを推進するなどビジネスプロセスの再構築に取り組み、顧客満足度の向上、業務改善・品質向上のための体制強化を図る方針だ。
2026年3月期までの2年間は「トライ&エラー」を繰り返しながら事業活動を推進するため、増収率は10%弱、営業利益率も7.5%前後で推移する計画だが、これら取り組みの成果が顕在化する2027年3月期には、増収率で15%、営業利益率で8.3%と売上成長の加速とともに収益性も向上する計画である。
成長戦略として、1) 長期継続が見込める案件を獲得していくことで収益基盤の強化を図る、2) 公共BPOの深化と案件多様化を推進する、3) 拠点拡充によって、取引先の地方自治体をさらに増加させる、の3点に取り組む方針だ。また、2026年3月期までの2年間で人材・インフラ両面で積極投資を行いつつ、戦略的施策(地方自治体取引数拡大、業務領域拡大、事務系及び製造系人材サービス事業における民間BPO推進、新規ビジネスモデルの開発、DXなどによる業務プロセス改革とサービス提供レベルの向上など)を実施し、2027年3月期以降の持続的成長基盤を構築していく。人的資本投資の面からは、人材のスキル・経験・知見をさらに蓄積、向上すべく、BPO業務に関する「リスキリング」を積極的に実施し、難易度が高く収益性の向上が見込める案件の受注能力を強化するとともに、顧客満足度の向上を図る。
公共BPOの深化に関しては、既に取引している地方自治体の周辺自治体(人口10万人以上など)との取引を深掘りし、取引地方自治体及び事業領域の拡大により収益基盤を拡大する。とりわけ、ITを活用した様々な住民サービスが普及し始めるなかで、こうした専門分野に対して積極的にアプローチし、長期継続的な案件を積み上げていく考えだ。イメージ的には、ITシステムとその管理運用者、関連業務の窓口スタッフなどをパッケージ化して提供するケースが想定され、同社の強みが活かせるとみている。取引先自治体数については、2024年3月期までの実績158自治体に対して2027年3月期までに230自治体を目標としている。また、同社単独だけではなく、各テーマに関するリーディングカンパニーとのアライアンス戦略なども状況に応じて行い、受注を獲得するケースも想定している。
計画の前提となるKPIとして、単年度ベースの取引先自治体数は2024年3月期の80自治体から2027年3月期は135自治体まで拡大し、また1自治体当たりの複数案件指数を1.5倍から2.0倍に増やしていく。1自治体当たりの受注単価については規模の小さい自治体や案件の比率が増えることを想定し、131百万円から93百万円に低下するが、地方自治体向け売上高については、2024年3月期の15,735百万円から2027年3月期は年率16.8%成長の25,094百万円となる見通しだ。一方、BPO事業者を含む民間企業については案件数で2024年3月期の61件から2027年3月期は80件に、平均受注単価は185百万円から155百万円に低下することを想定し、売上高は11,274百万円から年率3.1%成長の12,360百万円と堅実な成長を見込んでいる。BPO関連事業に占める地方自治体向け売上比率は2024年3月期の58.3%から2027年3月期は67.0%に上昇するが、実際には70~80%の水準になると思われる。また、民間企業向けのほうが平均受注単価が高くなっているが、大手BPO事業者からは官公庁などの大型案件を受注するケースが多いことによる。
マイナンバーカードの交付手続き業務については普及率が70%を超えたことから、2024年3月期をピークに今後は減少するが、代わりにマイナンバーの利活用分野(健康保険証、運転免許証、図書館カードの一体化などに付随する業務)の需要が立ち上がる。このため、これらを入札によりどれだけ多く受注できるかも、今後3年間の売上成長のポイントになる。そのほか、2025年3月期以降のテーマとしては子育て支援策の拡充や社会保険関連業務、法改正関連業務などがあり、これら需要を確実に取り込むことで業績を再成長軌道に乗せることは可能と弊社では見ている。社会保険関連業務では、2023年10月に奈良県大和高田市と保険医療課における連携協定を締結したことを発表した。
収益性と成長性の二軸で事業ポートフォリオを見ると、成長性かつ収益性の高いBPO関連事業は積極投資(人材投資、IT&DX投資、M&Aなど)により、持続的成長と高収益の維持・向上に取り組む。また、収益性はまだ低いものの高成長が続いている製造系人材サービス事業については、まだ成長過程にあるとの認識で、引き続き取引基盤の拡大を優先した成長を重視する方針だ。収益性、成長性が低いCRM関連事業部門や一般事務事業部門については、収益構造を改善し安定収益を確保しながら、BPO案件につなげていくフック役の機能としていく。そのほか、フィールド(営業及び営業代行)のBPOサービスは、新規顧客の開拓を進めて売上成長を目指す。また、JBSが展開しているペイロール(人事給与)のBPOサービスについては、企業のアウトソーシングニーズが旺盛なことから営業体制を強化して規模の拡大に取り組む意向だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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