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カーニーの選択【フィスコ・コラム】

*09:00JST カーニーの選択【フィスコ・コラム】
ドル・カナダドルが心理的節目に接近し、売り買いが交錯しています。主因は米国の信用失墜によるドル売りですが、カナダドル自体に積極的な買いが入りやすい環境が整いつつあるのも事実。カナダドルの上昇は長期化するのか。注目されるのは、カナダが掲げる「第三の選択」の実効性です。


カナダ銀行(中銀)は1月の会合で政策金利を2.25%に据え置きました。マックレム総裁は不確実性の高さを理由に、次の政策変更の時期や方向性を見通すのは困難だと発言。金融政策が明確な道筋を示しにくい局面では、為替市場の関心は金利差よりも、通貨の質や政治環境に向けられます。こうしたなか、ここ数年節目として意識されてきた水準の1.35カナダドル付近に差し掛かっています。


年明け後の米ドル・カナダドル相場は方向感を欠きながらも、今月半ば以降はカナダドル高を試す場面が続いています。米国の財政、通商政策の不透明感によるドル売りに加え、カナダ中銀の利下げサイクル終了でドル安・カナダドル高も顕著になってきました。


その先を決める要因として浮上しているのが政治情勢です。カーニー政権は対米依存を見直し、多角的な外交・通商関係を築く方針。カナダは隣国の米国と常に一枚岩というわけではなく、これまでも幾度となく衝突してきました。1970年代にはトルドー首相(父)とニクソン米大統領との関係が冷え込み、欧州やアジアに貿易の活路を見出した経緯があります。現在もトランプ政権とのもつれを考えれば賢明な選択と言えるでしょう。


注目すべきは、カーニー政権が単に米国から距離を取るだけでなく、他国の指針となる行動を意識している点です。保護主義色を強める米国に対し、多国間協調やルール重視の姿勢を打ち出し、中堅国としての立ち位置を明確化。短期的には摩擦につながる場面もあるでしょうが、中長期的には政策の予見性と一貫性を市場に示す効果が期待されます。その一環として、対立していたインドとの対話も再開しました。


ドル安を背景にNY原油先物(WTI)は1バレル=60ドルを上回る水準に定着し、カナダドル買いの支援材料になっています。トランプ氏のドル安容認を受け、カナダドルが選好される地合いは当面続くかもしれません。米国の信用低下が意識される局面で、カナダが独自の選択を積み重ね、多国間の枠組みの中で存在感を高めていけば、カナダドルは相対的に信頼される通貨として位置づけられるでしょう。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。




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