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試される「世界最高」支持率【フィスコ・コラム】

*09:00JST 試される「世界最高」支持率【フィスコ・コラム】
モディ・インド首相の高支持率が試されています。米トランプ政権はインドからの輸入製品に高関税を課すだけでなく、宿敵パキスタンに接近し、経済、外交両面の波状攻撃が本格化。為替介入で持ちこたえるルピーの値動きとともに、政権支持率が注目されます。


米トランプ政権はロシア産原油の輸入を続けるインドに対し、最高50%の輸入関税を課したほか、最近では製薬や映画など個別分野への追加措置を打ち出しました。ジェネリック薬を主力とする製薬企業はコスト増で価格競争力を削がれ、米国市場でのシェア縮小は避けられないでしょう。映画産業も関税の大幅引き上げで上映費用が急騰すれば、配給会社の採算が悪化し、エンタメ界も無関係ではいられません。


教育や人材交流でも逆風が広がりました。米国は留学生ビザ費用を大幅に引き上げ、理工系を中心とした数十万人規模の学生に新たな障害が生じています。さらにIT技術者の派遣にも制限が加わり、インドの成長を支えてきた人材の循環が滞る懸念が出ています。研究協力や企業間ネットワークが揺らげば両国関係はさらに不透明化するとみられ、インド企業には対米依存を減らす戦略が問われています。

こうした米印貿易の縮小によるインド経済への影響について、複数の機関がGDP比で0.3-0.9%程度と試算しています。1%にも満たないとの観測から打撃は限定的に見えますが、高成長を前提に評価されてきたインドでは、そのぐらいの減速でも市場の失望を招きやすいのが実情。成長期待がしぼめば海外投資家の資金流出が加速し、株式や通貨に対するリスクプレミアムが拡大する局面となり得ます。


一方、米トランプ政権はインドの隣国パキスタンに接触し、外交面でも強い刺激を与えています。安全保障に敏感なインド国民の神経を逆撫でする行動で、今後緊張が高まる恐れもあります。これまで防衛面での強硬姿勢で支持を高めてきたモディ政権にとって、国境情勢やテロ対策での躓(つまづ)きは期待から失望へと世論が反転するリスクとなり、モディ氏の政権運営をも左右しかねません。


足元のルピー相場は1ドル=88ルピー台と、過去最安値圏での低迷が続きます。潤沢な外貨準備高によるドル売り介入で買い支えられているものの、対米関係の悪化は強い下押し圧力になります。ルピーの値動きは世界のリーダーのなかで最高水準を誇るモディ氏の支持率のバロメータでもあり、当面は目が離せそうにありません。

(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

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