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スイス中銀の目論見【フィスコ・コラム】

*09:00JST スイス中銀の目論見【フィスコ・コラム】
スイス国立銀行(中銀)が今月開催の定例会合でマイナス金利を再び導入するか、市場の注目を集めています。対ドルでのフラン高が背景にあるものの、米トランプ政権からは為替操作に関する監視国としてリストアップされ、身動きが取れない状況です。


6月3日に発表されたスイスの5月消費者物価指数(CPI)は前年比-0.1%と、4年超ぶりのマイナスに落ち込みました。それを受け利下げは確実視され、中銀は19日に現行0.25%の政策金利をゼロ、もしくは-0.25%に引き下げることが予想されます。マイナス金利再導入なら2022年以来3年ぶり。今回は0.25%の利下げにとどめても、年内の追加利下げでマイナス金利は避けられないと市場はみています。


スイス中銀は2015年にマイナス金利を導入し、1ユーロ=1.20フランの為替上限を突然撤廃して急激なフラン高を招いた後、-0.75%の超低金利と為替介入による通貨安政策を約7年間継続。その後はコロナ禍やウクライナ戦争などでフラン高圧力が再燃し、2022年にはユーロ・スイスは1.00フランを割り込みました。米金利引き締めに伴うドル高もあり、スイスは主要通貨間の変動に神経質な対応を迫られてきました。


スイスが足元で利下げ圧力に見舞われているのは、主に信認低下のドル安が背景にあります。米トランプ政権の高関税政策や財政赤字拡大を嫌気し、1ドル=0.88フラン付近から0.80フラン台前半まで急激にフラン高が進行。安全通貨のフランに買いが集まりました。こうした為替の過度な上昇は、輸出への打撃のみならず、国内のデフレ圧力を強める要因ともなっており、中銀としては見過ごせない状況です。


一方で、通貨安政策への警戒感も根強く、スイス中銀の対応は難しさを増しています。米トランプ政権は直近の為替報告書で「為替操作国」には認定しなかったものの、動向を注視する「監視リスト」にスイスとアイルランドを新たに追加しました。スイスは過去にも繰り返しリスト入りしており、為替介入やマイナス金利が「不公正な競争」と受け止められかねないリスクを抱えています。


為替介入が国際的な反発を招きやすい現状でスイス銀は利下げによる金融緩和でフラン高に対処せざるを得ず、今回は0.25%の利下げが有力視されています。それでも、市場では年内のマイナス金利再導入の可能性が指摘されます。トランプ政権の不透明な政策運営で通貨戦争に巻き込まれるなか、スイスがマイナス金利まで踏み込めば欧州中銀(ECB)への影響は小さくないでしょう。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

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