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アルゼンチンペソの行方【フィスコ・コラム】

*09:00JST アルゼンチンペソの行方【フィスコ・コラム】
今年10月に中間選挙を控えるアルゼンチンで、ミレイ大統領が思い切った政策に踏み切りました。財政改革の一環で、国内外にインパクトを与えています。為替の実質自由化を受け、通貨ペソは乱高下。政権運営をにらみ、当面は落ち着きどころを探る展開となりそうです。


この1カ月弱のペソ相場はおおむね1ドル=1050-1200ペソのレンジ内でもみ合い、足元はレンジ下限の1110ペソ付近で推移しています。4月14日以降、為替の上限と下限を設定し市場にある程度変動の幅を持たせる「為替バンド制」に移行したことが背景にあります。直後の公式レートは1ドル=1182ペソ、闇レートは1270ペソとなり、両者の差(乖離幅)は縮小に向かいました。


従来は中央銀行が毎月1%ずつ為替レートを切り下げる「クローリング・ペッグ制」という仕組みを使って、インフレを抑えてきました。ただ、この方法では公式レートと市場実勢に近い「闇レート」との差が大きくなり、企業活動や投資判断が歪め、経済の不透明感が増します。通貨制度の改革により個人の外貨購入規制を緩和し、将来的には完全な変動相場制を目指す方針です。


アルゼンチンで今年10月に予定される中間選挙は今後のペソ相場の変動要因となりそうです。上院で3分の1、下院で半数の議席が今回改選されます。自由至上主義的な政策を掲げるミレイ政権を支える政党として2023年12月に発足した「自由前進党」が過半数を獲得できるかが最大の焦点。選挙戦はミレイ氏による改革路線継続の是非が争点で、選挙結果によっては改革の方向性に変化が生じる可能性もあります。


ミレイ氏は2023年の大統領選で「無政府資本主義」的な思想を掲げて勝利し、経済学者としての知見を生かして急進的な改革を進めてきました。公共支出の大幅削減や補助金の見直し、中央銀行の縮小などを打ち出した結果、2024年には12年ぶりに財政を黒字化。これにより国際通貨基金(IMF)との交渉も進展し、国際的な評価が一部で高まる一方、急激な引き締め策が貧困層を直撃しており、国内では不満もくすぶっています。


アルゼンチンの経済指標を見てみると、直近の国内総生産(GDP)で7期ぶりにプラスへ転じたばかり。インフレ率はピーク時の50%台に鈍化しているものの、世界的には引き続き高水準で家計を圧迫し続けています。国際金融市場の信頼感は回復傾向ながら、実体経済の改善には至っていません。ペソ相場も政策次第で再び動揺しかねず、政治情勢とともにペソの動向が注視されそうです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

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